浮世でランチ (河出文庫 や 17-2)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309409764

感想・レビュー・書評

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  • 14歳の思い出の私・丸山と25歳の現在の私のストーリーが並行に進んでいく。14歳の私は女の子同士仲良くしないといけないみたいな常識にとらわれるのが嫌いで、仲良くなりたい子には話しかけるけどそれ以外は無関心。25歳の私は相変わらず人付き合いは控えめでお昼もほとんど1人で食べていたが、もうすぐ職場を辞めてアジア諸国へ旅行しようと思っている矢先、同じ部署の2歳年上男性と食事をすることになる。思い出と現在が交差しながら自分自身を見つめたり、人との関わりを見直したり、神様について考えたりするという内容。私自身もあまり人とベタベタするのが苦手な方なのでなんとなく丸山の気持ちがわかるような気がした。(ちょっと丸山は偏屈すぎるけど。)犬井とも、鈴木くんとも、よくある恋愛関係にならないで友達のまま、職場のミカミさんともそんな関係にはならず、そんなとも良かった。誰とでも仲良くなれなくたって、別にいい。恋愛してなくたってべつにいい。もっと素直でいい。神様との手紙のやりとりとか、ミカミさんとの手紙とメールのやりとりが読んでて面白くて、誰かとこんなふうに会話出来るなら人生捨てたもんじゃないよなぁ、と少し羨ましかった。ミャンマーで犬井に再会するのかと思ったらまさかのあの人。彼女の手紙にグッときた。

    ストーリーの進み方がジブリの『おもひでぽろぽろ』っぽかったので結末もあんな感じなのかと思ったけど違いました。面白かったです。

  • 14歳の私と25歳の私の日々。

    14歳の私は狭くて閉じられた小さな世界で生きている。嫌いな人には近づかず、好きな人とだけ関わりあう。
    若くて未来は開かれているはずなのに、こんな自意識過剰で自分本位な付き合い方じゃ、未来に繋がる人との関係なんて築けやしない。

    25歳の私は自分の足でどこにだって行けて、自分次第では様々なことを選んだり選ばなかったりできる。
    興味のない人の誘いにも笑顔や社交辞令を返すことができる。
    でも私自身それが適切だなんて思っていない。

    36歳の私はどんな日々を送っているんだろうか?
    25歳の私より、うまく自分を薄めてまわりに馴染ませることができている?
    14歳の私のように、衝動に動かされて今まで積み上げてきたものをひっくり返したりしている?

    たとえどんな私であっても、犬井との14歳の日々は昨日のことのように思い出せるままでいてほしい。

    夏のイメージの小説だった。


  • 大人になりたかった。
    早く都会に出て、1人で生きたかった。

    25歳になった。
    会社に社員に給料に締め付けられ、
    セクハラもパワハラも日常化した
    小さな世界で電卓を叩いている。

    私たちは誰も本当の大人にはなれない。

    心の中は大人になりたかった14歳の私と
    何も変わらない。変われない。

    思いたいだけ。大人になったと。
    じゃないとここまで生きてきたモノが
    崩れ落ちてしまう気がするから。

  • 主人公の見ている景色の描写が好きだった。

  • 【子どもの時に描いていた大人の自分と、実際に大人になった今】

    自分の好きな人とだけ仲良くすればいい。他の人のことは全く興味がわかず仲良くしようという気持ちにならない14歳の主人公。

    男友達の犬井と早く25歳になりたいと話していた主人公が、実際に25歳になった。25歳になった自分は仕事をやめ、タイやミャンマーを旅している。14歳の時に描いていた25歳の自分と比べて、どうだろうか。

    わたしも20歳になったら大人になれるはず、30歳になったらもっと楽しいはず。と早く歳を重ねたいと思っていたので、○歳の自分に期待?する気持ちはとてもよく分かる。

    本質的には変わらなくても、周りの人とあたりさわりなく会話ができるようになったり、子供の時に縁を切った友達と自然と話せるようになったり、大人になるにつれてできるものなのだ。一人で海外旅行にも行けるようになる。

    期待していたとおりの大人になっているかは分からないけれど、できることが増えていく。大人になるのは悪くないなと思った。

  • タイトルに惹かれて購入。
    自分の世界と相手の世界。
    丸山は自分の世界をしっかり持っている。本人にとっては、揺るがないものでもあり、他人と相容れずにぶつかる原因でもある。
    それによって悩むこともあるかもしれないが、誰かの憧れになっていることもある。
    考えさせられるテーマなはずなのに淡々と進んでいくからか、読み終わっても重く暗い気持ちが残るわけではなかった。
    それぞれのその後の人生が気になる。

  • 面白かった。

  • 2017.1月。
    大人になるってどういうことなんだろう。中学生の自分も今の自分も、中身の基本的な部分はそう変わらない。同じような悩みや葛藤、複雑なものを抱えていても、なんとかかんとかどうにか自分で生きていくってことなのかなあ。
    .

  • タカソウがかわいい

  • 本の帯が気になって読んだ作品
    結構いいとこつく言葉が多くてはっとしました

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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