NOVA 1---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫 お 20-1 書き下ろし日本SFコレクション)

  • 河出書房新社
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感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309409948

感想・レビュー・書評

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  • 9月の5冊目。今年の147冊目。SFの短編集。

    気づいたことは、あんまりまだ漠然としないけど、ハードSFはちょっと苦手かもって思いました。というかロボット=SFという安直な考えが自分にはあり、しかもそれが根強いので、イマイチこの本に収められているような短編は面白いと感じられない。ただ、「エンゼルフレンチ」は涙腺を刺激しました。

  • 「忘却の侵略」「自生の夢」面白かった。「BeaverWeaver」読めませんでした。「ガラスの地球を救え!」どうしよう、好きじゃないのに忘れられない。

  • 恐らく、現在のところ『NOVA』シリーズの中では一番完成度が高いのではないかと思います。
    とにかく、『自生の夢』飛浩隆さんが最高。この短編だけのためにこの本を買う価値があることは、間違いありません。
    勿論、北野勇作さんや円城塔さんなども、良い仕事をしています。
    人に「何か面白いSFを教えて」と言われたら、とりあえずこれを薦めておけば間違いないのではないか、とか思ったりします。

  • SFの書き下ろし短編集。
    田中哲弥目当てで読んだけど、他にも面白いのがあった。
    ちなみに田中哲弥は「隣人」って短編を書き下ろしてた。最高。はた迷惑な一家が隣に引っ越して来るという不条理系で、現実の認識が交錯していく筒井的な表現方法。

    他では、山本弘の「七歩跳んだ男」、斉藤直子「ゴルコンダ」、飛浩隆「自生の夢」、小林泰三「忘却の侵略」が面白かった。
    「七歩跳んだ男」は、月面での殺人事件を取り扱ったミステリー。トンデモ系かと思ったら、本格派SFでビックリした。ミステリーとしても良く出来てる。
    「ゴルコンダ」は、妻が11人に増えるというドタバタコメディ。主人公の軽さが、軽快さを演出していて面白い。
    「自生の夢」は、未来的なクラウドシステムが、自立型のウイルスに侵食される話。広がりきったヴァーチャルなデータベースは、第二の自然であるという世界観が面白かった。
    「忘却の侵略」は、シュレディンガーの猫をモチーフとした、量子力学的なロジックで描かれたインベーダーもの。一見小難しそうに見えて、理解しやすいように表現されているのが好印象。

    あと、編者が『文学賞メッタ斬り』の人やと、読み終わってから知った。

  • 本格、奇想、幻想、純文学、ミステリ、恋愛…SFというジャンルが持つ幅の広さと可能性を詰め込んだオリジナル・アンソロジー。完全新作10編+伊藤計劃の絶筆を特別収録。
    (BOOKデータベースより)

    ***

    〈2〉は既読。
    2よりもちょっと難しくて、思いっきり理系な話が多かったという印象。

    「社員たち」北野勇作
    地中に埋まった会社を掘り返す話。うーん。可もなく不可もなく。

    「忘却の侵略」小林泰三
    面白かったけど、ちょっと?となる部分も。

    「エンゼルフレンチ」藤田雅矢
    好き。胸きゅんと切なさと。

    「七歩飛んだ男」山本弘
    読みやすく、面白かった。宇宙での殺人事件、もっと長く読んでみたい。

    「ガラスの地球を救え!」田中啓文
    面白く、最後は大森さんの解説通りになりました(笑)こういう流れに私は弱いのです。

    「隣人」田中哲弥
    こういうの、作り話でも本気でイライラしてしまう。

    「ゴルコンダ」斉藤直子
    主人公に若干イラっと。話は面白かった。

    「黎明コンビニ血祭り実話SP」牧野修
    よくわからなかった。*2はどこにつくの?私が見つけられなかっただけ?

    「Beaver Weavr」円城塔
    難しかった。。。

    「自生の夢」飛浩隆
    難しかったけど、好きな雰囲気。最後の真相がなんとも。

    「屍者の帝国」伊藤計劃
    ものすごく楽しめそう。続きが読めないのがただただ哀しい。

  •  書き下ろしのSF短編集であり、現在日本のSFの第一線にいる方々の作品を収録。なんと言っても目玉は、故伊藤計劃さんの「屍者の帝国」の遺稿。未完ではあるが、スチームパンク風のイギリスを舞台に、ワトスンが語り手となる本作は、ホームズシリーズの読者ならにやりと来る事請け合い。
     あと印象に残ったのは、悪い意味では田中啓文さんの「ガラスの地球を救え!」。良い意味では円城塔さんの「Beaver Weaver」と飛浩隆さんの「自生の夢」
     ガラスの地球はとにかく汚い(ゲロ的な意味で)。あと、これでもかというほどパロディで埋め尽くされている。訴えられないかと心配になるほどに。
     「Beaver Weaver」はよくわからない世界観だけれど、その裏にある理論は面白い。
     「自生の夢」はGoogleとtwitterと他色んな者を混ぜ合わせたら、とんでもない怪物が生まれたとう感じ。視点移動が多用され、先が気になる。

  • #dks 「自生の夢」飛浩隆 読んだ(また読書会間に合わず)。ひー面白すぎ。創造物と出来事が入れ子になってて、どっちが外側で内側なのか、中心が何なのか判らない。殆どが会話で構成されていて情景描写が僅かなのに、読書中になぜか荒涼な乾燥した広大な岩地が思い浮かんだ。(つづく)

    #dks googleや増殖するウィルス、膨大な情報が断片化され別の情報が自動生成されていく様子は、非常に身近で、「既にあるもの」。人格や意思までもが既存のエッセンスの合成で生みだされたら…。しかも、これは全部「言葉」の話だ。全部、実体は無いのかも。と考えると、ほんと面白い。


    #dks (これで最後にしよ)物語に挟まれている「ブルーベルベット」や「ミツバチのささやき」のイメージが箸休めになって、重量感のある話を最後まで読み切れ楽しめた。初めて読んだ作家だったけど、他の作品も読んでみたい。お薦めしてくれた人ありがとうございます。

  • 伊藤計劃の名でこの本に魅かれたが、「SF」という分野を初めて特化して読んだ。さすがに違和感だらけ。2、3度読み込まないと僕の読み方では理解しきれない。しかし、新鮮味があって、何人かの作家の作品は読んでみたいと思った。個人的には、山本弘氏、飛浩隆氏が良かった。

  •  日本のSFということで、最近好んでいる作家が並んでいるため、玉石混交を覚悟して手に取った。

     トップバッターの「社員たち(北野勇作)」は駄作。「忘却の侵略(小林泰三)」は大阪大学基礎工学部の方。なかなか面白かった。シュレディンガーの猫が出てくるとたいてい面白く思うのは私の欠点かな。そして、「エンゼルフレンチ(藤田雅矢)」は泣けるお話。きれいだなぁ。

     既読の「七歩跳んだ男(山本弘)」はパスして「ガラスの地球を救え!(田中啓文)」に飛ぶが、超駄作。気を取り直すが、「隣人(田中哲弥)」もまたいやになる。今度こその気持ちで「ゴルコンダ(斉藤直子)」にたどり着くが、イマイチ。さらに「黎明コンビニ血祭り実話SP(牧野修)」はさっぱりだし、何度目かのリベンジ「Beaver Weaver(円城塔)」も苦手なまま終わる。

     ラストに期待したが「自生の夢(飛浩隆)」も難解だし、既読の「屍者の帝国(伊藤計劃)」は絶筆だから感想も何も・・・。

     ということで予想通り玉石混交。まぁまぁかなぁ。

  •  アンソロジーにはいつだってワクワクさせられる。一冊の本の中に様々な才能が、時には雑多に詰め込まれ、息つく間もなく色々な世界に連れて行ってくれる。
     そしてアンソロジーは一つのジャンルの隆盛に貢献することもある。<異形コレクション>シリーズなどはその代表例だろう。日本のホラー界は<異形>以前と<異形>以後に分けられるくらいだ。その影響はSFやミステリなどの周辺ジャンルにも波及している。

     前置きが長くなったが、『NOVA』は翻訳家・評論家としても活躍する大森望氏が満を持して送り出す新作SFのアンソロジーである。彼は、自身が2008年に創元SF文庫でスタートさせた<年刊日本SF傑作選>シリーズの中でも、わが国に短編SF発表の場が非常に少ない事をしきりに嘆いていた。
     そんな大森氏があえて「編」者ではなく「責任編集」者として挑む書き下ろし短編SFアンソロジー。年間2冊を目途に刊行を目指すようだが、これが軌道に乗れば日本SF界にとって強力な突破力を持つシリーズになるかも知れない。
     収録作は下記の通り。シリーズ開幕にふさわしく、名前を聞くだけでワクワクするようなラインナップだ。収録順。

    北野勇作「社員たち」、小林泰三「忘却の侵略」、藤田雅矢「エンゼルフレンチ」、山本弘「七歩跳んだ男」、田中啓文「ガラスの地球を救え!」、田中哲弥「隣人」、斉藤直子「ゴルコンダ」、牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」、円城塔「Beaver Weaver」、飛浩隆「自生の夢」、伊藤計劃「屍者の帝国」

     最後の一編は、伊藤計劃氏の死去により絶筆となった第四長編のプロローグ部分。これを読んだだけでも恐らく傑作になったであろう事が想像できる。今回特別に収録された。
     その他の作品もいずれ劣らぬ作品ばかり。不条理なものからオチが効いたもの、怖いものから温かいもの、ギャグとしか思えないものまで、それぞれの作家性が実によく表れている。
     中でも大森氏が語るとおり、牧野修‐円城塔‐飛浩隆と続く微妙にシンクロした後半の三連作は怒涛の破壊力。テキストによる現実改変がそれぞれの作家の手により展開される。特に円城塔氏のスペースオペラ(!?)は圧巻だ。
     雑誌≪S-Fマガジン≫2010年3月号のレビューで指摘されている通り、この3作のおかげで全体的にまとまりすぎてしまった感はあるが、シリーズとして今後さらに大きく飛躍していくことは十分期待できる。

     ちなみに同雑誌の2010年2月号では、大森氏自身が連載「大森望の新SF観光局」の中でタイトル名の由来を書いている。それによると、『オービット』やら『ユニバース』やらといった候補の中からどうしようかと考えていた時、目に入ったハリイ・ハリスン編の本の題名からとったらしい。新作ばかりの作品集なので「新星」というタイトルはピッタリだと思うが、実際の新星は恒星の最期の姿であったりする。この本はそうならない事を祈っている。次巻のメンツもほぼ決まっているようなので、それを楽しみに待ちたい。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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