たんぽぽ娘 (河出文庫)

制作 : 伊藤典夫 
  • 河出書房新社
3.77
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本棚登録 : 821
感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309464053

感想・レビュー・書評

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  • 昔のSF仕立てのファンタジー。やはりこの手のジャンルは短編がいい。

    牧歌的という言葉が似合う。テーマはボーイ・ミーツ・ガール。昔の少女マンガを読んでる感じ。都合よすぎな面は否めないけど、手にした時の期待値よりは面白かった。

    「失われし時のかたみ」。さだまさしの「博物館」って唄に似てるなって思った。

  • 『たんぽぽ娘』を含むロバート·F·ヤングの短編集。

     私は、アニメCLANADで出てきたフレーズに『たんぽぽ娘』という作品があると聞き、当時読もうとしたら、絶版で高騰してました。

     その後、他作品で取り上げられてりし、再翻訳された走りがこの作品だったと思います。

     当時私も、これは読まなあかんやろということで、発売日に買ったこの作品。

     実は買った当初は『たんぽぽ娘』だけ読んで、そのまま10年寝かせていたみたいで、本棚から見つけて、今度は全部読んでみるかということで、読んでみました。

     まず、率直な感想は良く言えば玉石混交、悪く言えば『たんぽぽ娘』以外ほぼ駄作だなと思いました。

     なんなら中学校2年生が、俺が考えた凄い設定を考えたノートに書いていそうな内容だなと思うものも…

     短編でいわゆる雑誌に書かれた読切みたいなものが多いので、設定がわかりづらいというのもあるし、時代は1960年〜80年代というのもあって、私が、生まれる前のアメリカなので、文化や出来事がピンとこないというのもあるのかもしれません。

     ただ、この中でもやはり圧倒(というか、日本人向け?)なのが『たんぽぽ娘』だなと。

     その他『河を下る旅』、『ジャンヌの弓』、その時の時代が分かれば、『主従問題』が好きかなと思います。

     惑星が出てきたりするやつは良く分からんまま終わってかなぁっていう印象です。

     テーマというか、短編に共通しているのは、ロマンス(特に少女愛?割と成熟した女性には厳しい傾向があるような…)、アンチ戦争、反絶対君主みたいな指導者、セックス(種の保存?)があるように思いました。

     『たんぽぽ娘』が会心の一撃みたいな作品だったんだろうなと思いながらも、基本は雑誌掲載で短編を書いていた作者ですので、書きたいものに当時の流行りのものを無理矢理取り入れ感もなきにしもあらず、当時の雑誌の読者層に合ってたものがこういう作品だったという可能性もあり、当時はこういう作品が雑誌に溢れていたんだろうなと思いました。

     今読むと当たり前で古臭いで一蹴できてしまいそうな古典SFの短編集ですが、発表から50年くらい経った今でも、これは良いなと思える短編が何作かあって、なかでも『たんぽぽ娘』は今読んでも素敵な短編だと思えるだけでも本当は凄い作品なんだなと改めて思いました。

  • たんぽぽ色の髪の未来から来た少女。
    「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」
    「たんぽぽ娘」の、甘く切ない読後感。
    SF作家ロバート・F・ヤングの短編集。
    古臭さを感じさせない作品もあり、楽しめます。

  • 表題のたんぽぽ娘は読めたけれど、その他は昔のSFで、なんか眠くなる。
    読み進めるのが少し億劫でなかなか読み進めない。
    解説読むと著者さんなんかあれな人みたいだし。

  • 奇想コレクション
    「たんぽぽ娘」時空を超えた愛の物語。
    ロバート・F・ヤング作品では「時が新しかったころ」もおすすめ

  • たんぽぽ娘が日本人にはよく刺さると聞いていたが、自分も好みの作風だった。
    少女、時間旅行、再会という、こういう物語に弱いのかもしれない。

  • SFなんだけどファンタジー

  • 女子好みのSF、13篇。
    こんなに可愛いSF作品集を読んだのは初めてかも。

    「特別急行がおくれた日」
    「河を下る旅」…男女2人が天国か地獄か、あの世行きの川下りで出会って。。
    「エミリーと不滅の詩人たち」…陰キャ女子と詩人@博物館。
    「神風」
    「たんぽぽ娘」…最後に書きました。
    「荒寥の地より」
    「主従問題」…家のドアから幸福そうな異世界へ…と思いきや。今も昔も異世界は憧れなんですね。
    「第一次火星ミッション」…少年たちの宇宙の旅。宇宙への旅の書かれ方がほのぼのしてて良い。
    「失われし時のかたみ」
    「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」
    「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」
    「スターファインダー」
    「ジャンヌの弓」…未来の王子様が少女を迎えに行く、ようなお話。

    最後に、NO.1はやっぱり表題作の「たんぽぽ娘」です。
    「『ビブリア古書堂~』かぁ。読んだことない。」と思いつつ読了。
    話がもう可愛いすぎる。少女漫画。キュンキュンする。でも、読み終わった後に、「あれ?これ読んだことある…。」と過去のデータを探しました。

    2013/6/14発行のこの作品のみの本で読了していました!このときにも「ビブリアは未読」と書いていて笑ってしまいましたが、表紙が(おそらく)同一人物の女性なんでしょうけど、同じ女性とは思えない(;^ω^)

    https://booklog.jp/users/kei1122/archives/1/4835449479

  • 安心して読めるSF。皮肉ではない。
    どこか暗い背景を持ち、不穏な雰囲気が漂うが、結末は…安心します。

  • 「ビブリオ古書堂の事件手帖」で題名を知り、図書館で見つけたので読んでみました。河出書房新社から出されている奇想コレクションの1冊で装丁のきれいな本。表題作を含む13篇の短編集です。

    特に好きなのは「河を下る旅」「エミリーと不滅の詩人たち」「神風」「たんぽぽ娘」。
    「エミリーと不滅の詩人たち」は一種の企業小説で博物館の補助学芸員が詩人たちを助ける話で終わり方がイキ。「河を下る旅」と「神風」は極限下におけるボーイミーツガールの話。特に前者は人生も捨てたもんじゃないことを思い出させてくれる小説と思います。
    13篇の中で一番面白かったのは、やはり「たんぽぽ娘」。美しいSF小説です。中年男が未来から来たという若い女性に恋をします。「おとといは兎を見たわ、昨日は鹿、きょうはあなた」というフレーズの響きが好きです。ストーリーの展開、ラストが印象的。ネタバレになるので、内容は書けません。

    個人的にSF小説は苦手ですが、それでも寝る前に読んで何となく甘い気持ちで寝付くことができました。特に「たんぽぽ娘」は読む価値があります。

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著者プロフィール

1915年、ニューヨーク州生まれ。53年、デビュー。F&SF誌やサタデー・イブニング・ポスト誌などに200編近くの短編を発表。1986年没。短編集に『ジョナサンと宇宙クジラ』『ピーナツバター作戦』。

「2015年 『たんぽぽ娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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