わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309709659

感想・レビュー・書評

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  • とても魅力的な与太話。私たちの存在は物語を必要としている。

  • 訳がこなれていないせいなのか、面白いのになかなか読み進められないというか、読み進めるのに苦労した。
    私にとっては馴染みのない東欧チェコの近代史の断片に触れられたり、チェコの人の気質などが垣間見えて面白かったし、全世界の人間に共通するような普遍的なテーマが裏側を一貫して流れているため、奥が深くて、時間をかけて考え、一つ一つの言葉を飲み込みながら読みたいと思う本だった。

  • 訳がうまくないのか、とにかく読みづらい。
    お話自体は面白いのに、残念。

  • 文学

  • チェコ人の若者給仕のヤンは働き始めた見習いの時に支配人に諭された心得「何も見ないし何も聞かない」でも胸に刻まないといけないのは「ありとあらえることを見なければならないし、ありとあらえることに耳を傾けなければならない」との教えの通りの人生を歩む。いつか百万長者になることを目指しながら人生でどんな職につき艱難辛苦にあっても喜びを見出してもそのように人を社会をよく見聞きして歩み、しかもどんな得意な体験であったとしても押し黙り語らない。ところがどうだ、彼の心の中ではその瞬間の一部始終をエロティックにグロテスクにコミカルにシュールな世界を弾丸トークしまくっているのだった。それを表現するとしたら、ジンベイザメ級を余裕で不自由なく遊泳させている大型水族館の水槽に満々とたまる「水塊」を愛でていたら、亀裂と同時に中のなみなみ溢れる海水が自身に向かって津波のように襲ってくるようなもの。その「文塊」にのまれたままいつ引くとも解らないのに読み続けてしまうといった感じかな。どんなにシュールでもグロでもエロなシーンでもなぜか私の脳内映像には、チャップリンやバスター・キートンらのようなコミカルなトーキー映画ふうに展開していったので、切実なシーンでもコメディに映った。日本のコメディとは感覚が違うけど私にとって楽しくて面白い本の一冊となり大好きになりました。

  • 「その人を知りたければ、その人が何に対し怒るかを知れ」というセリフを漫画で読んでなるほどと思ったことがある。『英国王に〜』を読んでいて、金の使い方を知るのも人間観察の重要なファクターだなと気付かされた(当たり前かもしれないけど、世間知らずなもので)。
    百万長者になって、何をしたいか。この主人公君は、「ホテルを買いたい」までは思い描けたのだけど、その先に展望がなかったのだな。金でできることの限界を示しているのだろうか。雪で閉ざされた山小屋に、村の人々が会いに来てくれるラストがなかなかいい。彼らはヤンが勲章をもらうほどの有能な給仕だからでも、ホテルを持つ大富豪だからでもなく、「面白い話をするただのヤン」に会いに来る。この素朴な愛情が人生のすべてでいいじゃない。でもこのありがたさも、いろいろ経験してみないとわからないことかもね。どうしても人は誰かに見ていてもらいたいものだから。

  • チェコを舞台にした、低身長の給仕の男の一代記。ホラ話ふうでトンデモナイ事態がつるつると語られていき、楽しい。幻想的なシーンも多く、ティム・バートンやテリー・ギリアムに映画化してほしいな。
    そうこうするうち、ナチスが台頭し、人生の残酷さも味わいつつ、時代を俯瞰することに。「石の葬式」みたいな小説とか、ガルシアマルケス作品の趣も。意外な収穫だったな。ホテルものには目がないし♡

  • 初めての作家。先に翻訳者の解説を読む。解説の冒頭がやばい、心憎い。もしかしたら解説だけで終わるかも

  • なぜかユーモアをかんじる。

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著者プロフィール

20世紀後半のチェコ文学を代表する作家。
モラヴィア地方の町ブルノに生まれ、ビール醸造所で幼少期を過ごす。
プラハ・カレル大学修了後、いくつもの職業を転々としつつ創作を続けていた。
1963年、短編集『水底の真珠』でデビュー、高い評価を得る。その後も、躍動感あふれる語りが特徴的な作品群で、当代随一の作家と評された。
1968年の「プラハの春」挫折後の「正常化」時代には国内での作品発表ができなくなり、その後部分的な出版が許されるようになるものの、1989年の「ビロード革命」までは多くの作品が地下出版や外国の亡命出版社で刊行された。
代表作に『あまりにも騒がしい孤独』(邦訳:松籟社)、『わたしは英国王に給仕した』(同:河出書房新社)などがある。

「2022年 『十一月の嵐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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