街場のメディア論 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334035778

感想・レビュー・書評

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  • まえがきがあまり堅苦しさもなかったので、何となく読み進めていたらどんどんのめり込んで、気がついたら読み終えた一冊。教育論から本筋のメディア論等一冊で取り扱うテーマは多岐に渡っていたように感じます。基本的に目の前にあるものがこの世の正義として疑わないスタイルのため、はっとする言葉によく巡り会うことができました。

  • 361-U
    小論文・進路コーナー

  • 医療と教育は市場原理にのせてはいけないものなのに、その路線でメディアが論じてきてしまったこと、学生や患者が、最上の努力で最大の効果を得ようとしていること、批判をすることが権利であり貢献していると錯覚していること、そしてそれを善意に基づいて行っているという刷り込まれた無自覚な意識と行為が、医療と教育を崩壊させている…。
    もやっとすることを、内田先生は論理的にわかりやすく整理してくれています。
    12年経ってますが、全く色褪せてないです。

  • まえがき
    第一講 キャリアは他人のためのもの
    第二講 マスメディアの嘘と演技
    第三講 メディアと「クレイマー」
    第四講 「正義」の暴走
    第五講 メディアと「変えないほうがよいもの」
    第六講 読者はどこにいるのか
    第七講 贈与経済と読書
    第八講 わけのわからない未来へ
    あとがき

    クレーマー論
    患者様と呼んだことによって変わったこと

  • ビジネスマインドに頭から爪先まで浸かった結果、何事にも適用可能なマインドと勘違いしてしまう。
    ビジネスマインドで考えてはいけないことがあることを気付くという意味で非常に有益な一冊。

  • 長年積読本だったが読了した。視点と分析が面白く、もっと早くに読んでおけば良かったと後悔している。

  • メディアの問題に関して、「ビジネス」としての商取引モデルをもとに考えるのではなく、価値の贈与返礼モデルをもとに考察した内容。
    メディアの問題点に関してはおおよそ同意できた。医療や教育の崩壊も、商取引モデルに当てはめると説明されるという著者の指摘は非常に興味深いものだった。
    優れた内容の本だが2010年に出版されたものであり、(マスメディアが変化したかどうかはともかく)新興メディアの出現や新たなデバイス・サービスの出現により、当時とは環境は大きく変化した。著者も指摘しているが、この点に関しては注意して読む必要がある。

  • 自分のやりたいことより、周囲からお願いされることを優先しよう


    医療崩壊のきっかけ
    市場原理主義を病院にも導入したから

  • はしかの流行によって休校をした話
    『「休んだ間に受けられなかった授業についての補償を大学はどういうかたちで行うのか」と訊ねてきました。わたしはしばらく意味がわかりませんでした。自宅待機は「伝染病の感染を防ぐ」という公共的な目的のための措置であって両制である彼の娘はこの措置によって「伝染病の感染機会から隔離される」というかたちですでに「受益」したと私は考えていたからです。』

    心当たりのたくさんある話ですね。

  • ・情報を評価するときに最優先の基準は「その情報を得ることによって、世界の成り立ちについての理解が深まるかどうか」ということです。

     この本の主題には直接関係ありませんが、私は、第一講「キャリアは他人のためのもの」が好きです。

    《人間がその才能を開花させるのは、「他人のため」に働くときだからです。人の役に立ちたいと願うときにこそ、人間の能力は伸びる。とにかく「これ、やってください」と懇願されて、他にやってくれそうな人がいないという状態で、「しかたないなあ、私がやるしかないのか」という立場に立ち至ったときに、人間の能力は向上する。ピンポイントで、他ならぬ私が、余人を以ては代え難いものとして、召喚されたという事実が人間を覚醒に導くのです。》

     第六講「読者はどこにいるのか」も私にとって興味深い内容です。

    《電子書籍が読者に提供するメリットの最大のものは 「紙ベースの出版ビジネスでは利益が出ない本」を再び リーズナブルな状態に甦らせたことです。「読者が読みたかったけど、読むことが難しかった本」への アクセシビリティを飛躍的に高めたえたことです。
     つまり、電子書籍の登場により、紙ベースの出版ビジネスが おびやかされることを危惧するよりも、紙ベースでは利益が 出ない本に注目が集まることによって、出版に繋がるなど、ポジティブな展開を促進するように動くべきだ。》

     これからは編集者がネタを探すのではなく、電子媒体で 読む読者が、ネタを探してくれる時代になる。

     2010年6月中旬に書いたという「あとがき」の中で”好んで「腐りやすい」イシューを扱うというのは、たぶん僕の悪癖の一つなのでしょう。

     さて、今回のメディア論の賞味期限はどこまで保つのでしょうか。”と仰っていた内田樹先生でしたが、2018年7月中旬の時点では、”メディアが集中的に論じる論件については、僕たちも選択的に詳しい。

     けれども、メディアが扱わないトピックについてはほとんど何も知らない。”という状態は、ネットというメディアのシェア拡大をスマフォの普及が加速させたために、ある意味予言通りになっているような…

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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