- Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334076160
感想・レビュー・書評
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設定も雰囲気も好みだが、惜しむらくは技術が足りない。おバカキャラが途中から急に、セリフからして小難しい理屈を組み立てだしたり、重傷者がカンペがあるとしか思えないような長話をべらべら語りだしたり。タネ明かし編での「○○の正体は実は××でした」「○○は××が殺しました」的な記述はこの手の(あまり出来のよくない)作品にはありがちだが、それにしても何でもかんでもこれひとつで片付けすぎ。
主人公兼語り手はごく善良かつ凡庸な青年で、あまりに凄惨な目に遭ったためにしまいには魂が抜けかけてしまい、いくつかの謎を「そんなことはもうどうでもいい」とばかりに投げっぱなしにする。最初から最後までキャラぶれしなかったほぼ唯一の人であり、それを思えばある意味リアルな反応ではあるのだが、小説としては消化不良感が残った。
2022/9/18読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作者で選んだ。私にとって篠田さんの小説は誰が犯人か?どんなトリックか?というだけでなく、その事件をとりまく登場人物の心の動きがとても興味深い。この小説でも杜夫と冬樹の関係が事件というフィルターにかけられることによって、今まで見えなかった互いの思いが見えるようになっていく。篠田さんのこういう所、好きだなぁ。
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島、西洋館、莫大な財産の後継者選び、まずはそれらのキーワードに惹かれた。先が気になり一気読みした。正直言うと理解できないところが多かった。読んでいるときは楽しめたから良いんだけど。再読しようと思う。
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閉ざされた無人島の館に集められた2人ずつ5組の10人。
この状況で遺産が絡んだ競争となれば、事件がおきないわけがなく。
冒頭の闇の中を歩くシーンから不穏な気配があふれているし、、、
1人、また1人と消えていく。。。
杜夫と冬樹は、もっとなんとかならなかったのかな。
挿入される「ミノタウルス」のモノローグも恐ろしく、悲しい結末を予想させる。
犯人も、動機も、悲しくむなしい。 -
館の構造をイメージしづらくて、ミステリーなのに、色々と考えることが難しかった。
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ゴシックロマン?
篠田氏のこの雰囲気が好きなんだけど、今回はちょっと暗かったなー。
見せ場、的なシーンがあんまり機能してなかったような…。
すべてが埃にまみれて(とにかくこの表現が目に付いた)ぼやけてしまったような。
何故か真犯人に途中で感づいてしまい、そのぶん、ラストもうちょっと語ってほしかったなー -
館のイメージがイマイチ掴めず、分かりにくかったけど、まあ楽しめました。本格ミステリーではないと、わたしは思いましたが。篠田真由美さんの本は、確か二冊目。前に読んだやつのほうが面白かったなぁ。
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作中の雰囲気と、題名が美しくリンク。
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―おおまかなあらすじ―
小島に建つ巨大な西洋館を舞台に行われる莫大な財産の後継者を選び。後継者決定の条件は巨大ダイヤを館から発見すること。
しかし、ひとりまたひとりと死体で発見、もしくは消えてしまう。
この巨大な牢獄から生きて出ることができるのか!?
いわゆる「吹雪の山荘モノ」。古臭いと言われようと一番スキなパターンなんですね。
「孤島・館・殺人」ということで、ついつい手にとってしまったのですがミステリ的には肩透かしでした。綾辻行人さんの「十角館」までとはいかないけど、期待しすぎてたかな。
とてもお耽美な雰囲気です。あとがきでも「ゴシック・ロマンス」を強調されてましたが、本格ミステリではなかったということですね。
細かな謎が途中で小出しに明かされていくので、犯人がわかってもあまり驚きはありませんでした。
主人公の杜夫と冬樹の関係については最後まで読むと細かいところで納得でした。冬樹の苛めともとれるわがままにどうして杜夫が付き合っていられたか。深いなぁ。
そして冬樹。段々と魅力ある人物に描かれていて、杜夫の凡庸さが際立ってました。 -
館ミステリ、てのに惹かれた一冊。……なるほど、館のパワーが強大です。トリック類は小粒かなあ、という気もするけれど、主役は館だからいいか(笑)。そんだけ館好きには雰囲気だけで充分な一作と言えるかも。
ただ、こういう館ミステリにしては珍しく? 見取り図がないなあ。イメージするのに少々苦労したのは……私だけ?