今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334727895

感想・レビュー・書評

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  • 私が生まれた時、既に太陽の塔はあり、それは大阪万博のシンボルとして世間に認められていた。
    彼が世間の”常識”と戦ってきたことや、閉塞感漂う日本の将来を憂いていたことも、私は知らなかった。
    もちろん、私は芸術や絵画など特別な知識や技術を持ち合わせていない。

    だから、この本を読んだ時は、いろんな意味で衝撃だった。
    奇人変人と揶揄され、「あの人は特別だ」と多くの人に突き放された人物は、現実には非常に論理的で、社会の空気を誰よりも敏感に感じ取ることのできる人だった。

    残念なのは、岡本太郎がこの本を執筆した57年前から、日本に漂う閉塞感は未だに払拭しきれていないということだ。
    この時代に彼が生きていたら、彼は何を為していただろうか?
    21世紀を生きる私たちは、1人1人が岡本太郎にならなければならない時代なのかも知れない。

  • 幼少の頃は「変なおじさん」でしかなかったが、日本にもこんな型破りな画家がいたことを誇りにさえ思う。大阪万博の本来の意図に反する自身の独創性は圧倒的で、芸術主義でもなければ、反芸術主義でもない。もはや主義を超えた「岡本太郎」という固有の血生臭い存在だ。

  • 日々を生きる勇気と元気を貰える本

  • ・本当の調和というのは、お互いに意見をぶっつけ、フェアにぶつかりあうこと。
    ・ぼくはこうしなさいとか、こうすべきだなんて言うつもりはない。ぼくだったらこうするというだけだ。それに共感する人、反発する人、それはご自由だ。
    ・積みへらすべきだと思う。財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失ってしまう。過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる。今までの自分なんか、蹴トバシてやる。そのつもりで、ちょうどいい。
    ・生きるということを真剣に考えれば、人間は内向的にならざるを得ない。誰もが内向性を持っているのだから、平気でいればいい。
    ・この世に苦しみ悩んでいるのは決して自分だけじゃない。世の中の人ほとんどが、おなじ悩みを持っていると言ってもいい。
    ・ただ自分で悩んでいたってだめだ。くよくよしたってそれはすこしも発展しない悩みで、いつも堂々めぐりに終わってしまう。だから決断を下す。
    ・自信なんていうのは相対的価値観だ。誰々よりも自分は上だ、とかいうものでしかない。
    ・プライドとは絶対感なものである。

  • 岡本太郎の芸術論

  • readerで読了。
    生誕100年ということで、気になっていた岡本太郎の本を読んでみました。太郎の芸術観が小気味よく語られていて、もう少し違った見方で芸術に接してみようと思わされました。

  • 岡本太郎の本。初版は1954年。
    創造的であることを徹底して追及している。したがって、模倣することや改善することも大切であるが、まったく新しいものを作り出すことが非常に大切であると説く。その中で、芸能と芸術の違いや子どもの持つ感性の大切や等を熱心に語っている。芸術の解説本ではなく、人間としてのエッセンスを説いているように感じる。50年以上の前に書かれたようだが、今でもまったく色あせない内容。ビジネスパーソンにもお勧め。

  • (欲しい!)嘉門達夫/文庫

  • まことに、強い筋の通った人だ。自分を見失ってない。空虚な現代で生命を輝かせている。

  • 平易な文章で読みやすく、生きることに真正面から猛烈に立ち向かっていく姿勢はすばらしいです。感動的ですらあります。

    ただ時代のせいでしょうか、芸術を語る時に「明朗な自由」や「人間精神の表現」といった抽象的な言葉が気になってしょうがない。
    なんか古くさいなと思ってしまう。

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著者プロフィール

岡本太郎 (おかもと・たろう)
芸術家。1911年生まれ。29年に渡仏し、30年代のパリで抽象芸術やシュルレアリスム運動に参加。パリ大学でマルセル・モースに民族学を学び、ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。40年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。51年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。70年大阪万博で太陽の塔を制作し、国民的存在になる。96年没。いまも若い世代に大きな影響を与え続けている。『岡本太郎の宇宙(全5巻)』(ちくま学芸文庫)、『美の世界旅行』(新潮文庫)、『日本再発見』(角川ソフィア文庫)、『沖縄文化論』(中公文庫)ほか著書多数。


平野暁臣 (ひらの・あきおみ)
空間メディアプロデューサー。岡本太郎創設の現代芸術研究所を主宰し、空間メディアの領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。『明日の神話』再生プロジェクト、生誕百年事業『TARO100祭』のゼネラルプロデューサーを務める。『岡本藝術』『岡本太郎の沖縄』『大阪万博』(小学館)、『岡本太郎の仕事論』(日経プレミア)ほか著書多数。

「2016年 『孤独がきみを強くする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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