- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334727895
感想・レビュー・書評
-
【読了レビュー】感銘を受けた。特に芸術についてだけではなく、生きるスタンスについて切実に述べていて、古くからの人間と芸術のかかわりが明確に理解できた。
芸術を鑑賞するということは、突き詰めればそれは創造であるというくだりに、今までの実感からもストンと得心がいった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジュニア新書のような語り口だが、岡本の生命の爆発的な現れを語るにはこれくらいの文体がちょうどいいような気がする。
-
芸術は
うまくあってはならない。
きれいであってはならない。
心地よくあってはならない。
岡本太郎がかかげる芸術論。
理論的で、哲学的で、情緒的な芸術論。
読み終わった後には何かしたくなる。
そんな60年たった今も錆びない、本質をついた、
芸術、即人生。
な一冊です。 -
約60年以上前に書かれたことなのに、少しも朽ちていない。
-
太郎の芸術との向き合い方がよくわかる。真に新しいものを生み出す時の心構えや姿勢は、自分の身に置き換えて、しみじみ読んでみた。立ち止まりそうな時に読み返すといいかもしれない。
-
>今日の芸術は、
うまくあってはいけない。
きれいであってはならない。
ここちよくあってはならない。
今日では「キレイ、美しい」などと言われている絵が、当時はまったく相手にされなかった。ゴッホの描く絵は「まことに不愉快な、いやったらしいもの」だし、セザンヌは「へっぽこ絵描き」だった。
だけど芸術というのは現在形ではいつだってグロテスクなものなのだという指摘に考えさせられる。
美術(芸術)史を紐解きながら、本来芸術とはいかなるものであるか、また今日それを邪魔している体制的なものや、あるいは自己の抑圧的な気持ちを、「そんなこと気にしないでいい」とほぐしてくれる。そして「とにかく描いてみよう」と作者は促す。
これはたぶん、褒め言葉にならないだろうけど、想像してたよりかなり常識的です。
いや、「芸術」と「常識」がそもそも相いれないような…「芸術界」では「常識」? これも変なことばだ。
なんだかんだ言って、いつの時代も体制や自己抑圧は強い。
そういう権威的なものをひっくり返してしまう力を秘めた「芸術」とは、「確かこんな形だった」と思い出させてくれる。 -
TARO100の渦中で、わたしも熱病にうなされていました。もういちど、うなされたい。
-
平易な言葉で、芸術、人間の本質をびしびし突いてくる。彼は頭脳明晰な上に、とてつもなく勇気のある人だ。知性だけではなく、生命そのものに力を与えてくれる本。180度の価値の転換、目から鱗とはこの本を読んでの感想である。私もやるぞ。
-
芸術とは何かっていうことをこんなにも突き詰めた書き物ってそうそう無いんじゃないか。
しかもここまでわかりやすく書くっていうのは凄い才能だなと思う。
さすがです。 -
何気なく読んだけど、結構衝撃だった。
まず、岡本太郎さんの事は殆ど知らないんだけど勝手なイメージより全然論理的なんだなという事に驚いた。
故に文章はとても読みやすくグイグイ引き込まれる。
そして、内容も、昔の本なんだけど、現在でも納得できるしハッとさせられる。
文章最後のほうは、外国に対する日本人の卑屈さみたいな事が書かれているんだけど、それは東京に対する地方にでも当てはまる気がする。
今、自分が生きている、ここ、が現実で、生活の場であり、ここを変えていくこと。「型」というものはない。
芸術の話なんだけど、それだけに収まらない大きなメッセージを受け取った気がする。