今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334727895

感想・レビュー・書評

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  • 「今日の芸術は、うまくあってはいけない、きれいであってはならない。ここちよくあってはならない。」でお馴染みの本著。
    岡本太郎の太郎の文章がこんなに読みやすいと思ってなかった。一般向けってのもあるだろうけど。芸術には「わからない」が大事って述べてるけど、文筆はいいんすねとも思った。

    特に好きだった文章
    ・「自分は全人間である」
    ・「少数の先駆的なアヴァンギャルドの立場をのぞけば、文化とか教養とかいうものこそ、帰って現実生活よりも遅れるのです。」
    ・「まことに芸術はいつでもゆきづまっているのです。ゆきづまっているからこそ、ひらける。そして逆に、ひらけたと思うときにまたゆきづまっているのです。そういう危機に芸術の表情がある。」
    ・「子どもの自由は、このように戦いをへて、苦しみ、傷つき、その結果、獲得した自由ではないからです。当然無自覚であり、さらにそれは許された自由、許されているあいだだけの自由です。だから、力はない。ほほえましく、楽しくても、無内容です。」
    ・「おのれ自身にたいしては逆に残酷に批判的で、つまり謙虚でなければならないのです。日本ではどうもこれをとり違えて、謙虚というのは他人にたいしての身だしなみくらいに思っている。だから、『いいえ、私なんか、とても...』などと言って安心させておいて、けっこう腹の中ではうぬぼれているか、でなければ、とことんまで卑屈になりさがっているかです。」

    日本人の生活をせせこましくしてるのは、障子や襖といったすぐ覗かれてしまう建築様式のせいってのは確かに。西洋の裸体画の背景にある文化と真逆の文化なのにそのモチーフを直輸入して自然、写実主義と思い込んでるのはすげー滑稽。
    あと、日本は大陸から文化を受けるけど、うしろには太平洋が広がってるだけだから、他に吐き出されるということがない、文化の袋小路だ、ってのも面白い。独特の文化の醸成。
    芸術と芸ごとの違いはタメになった。だから芸術には邪道とか正道がないんだな。芸ごと精神が多くの日本人には染み付いてるからな...

  • 2020/06/21
    学生時代に読んだ気はするが改めて。
    岡本太郎の文章はとても読みやすい。
    パブリックイメージと違い、とても知的でよく纏まってる。当事者であり続けた生涯だからこそ、なんだろうな。
    彼の本を読むと、やらなくては…という気持ちになる。

  • バイブル

  • アヴァンギャルドへの目覚め。

    読みやすかった。

  • 芸術とは自己回復の情熱、自分自身の生き方を掴み、自分自身を作ること。
    また、それが自分を積極的に主張することにつながり、
    じぶんを捨てて大きなものに賭けることになる。
    だから、芸術は猛烈にじぶんを強くし、鋭くする。
    僕も絵を描こう。

  • 芸術が何のためにあるのか、課題は何か。
    芸術が遠い世界から手元に来たように感じられる。
    やはり天才。

  • 太陽の塔をチラつかせながら、彼の日本人観・人間世界観が垣間見れる。

    P163「「自由に描いてごらん」‥と言われて、‥描けなくなる。これは、いかに「自由」に対して自信がないかを示すものです。このような矛盾した、不自然な心理状態を見すごしてはなりません。これをどんどん追求して芸術、そして自分の生活の問題として、はっきり考えてゆかなければならないのです。」

  • 「太陽の塔」の制作者、岡本太郎さんの芸術論。
    難解な言葉で綴られる芸術史や芸術論ではなく
    「芸」と「芸術」、「模倣」と「創造」、「伝統」と「革新」という人間社会のテーマについて、筆者の等身大の言葉で語られていた。

    筆者の力強く躍動的な芸術への姿勢が感じられ、
    社会生活の指針となるような書籍であった。

  • 既成の価値観に安住せず苦しむこと、苦しいのに心の奥底からわいてきて自分につきつけられるものに向き合うことを、「それでいいんだ」ではなく、「そうあるべきである」とまでに力強く肯定してくれるエッセイです。

  • よき

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著者プロフィール

岡本太郎 (おかもと・たろう)
芸術家。1911年生まれ。29年に渡仏し、30年代のパリで抽象芸術やシュルレアリスム運動に参加。パリ大学でマルセル・モースに民族学を学び、ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。40年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。51年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。70年大阪万博で太陽の塔を制作し、国民的存在になる。96年没。いまも若い世代に大きな影響を与え続けている。『岡本太郎の宇宙(全5巻)』(ちくま学芸文庫)、『美の世界旅行』(新潮文庫)、『日本再発見』(角川ソフィア文庫)、『沖縄文化論』(中公文庫)ほか著書多数。


平野暁臣 (ひらの・あきおみ)
空間メディアプロデューサー。岡本太郎創設の現代芸術研究所を主宰し、空間メディアの領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。『明日の神話』再生プロジェクト、生誕百年事業『TARO100祭』のゼネラルプロデューサーを務める。『岡本藝術』『岡本太郎の沖縄』『大阪万博』(小学館)、『岡本太郎の仕事論』(日経プレミア)ほか著書多数。

「2016年 『孤独がきみを強くする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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