父からの手紙 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740320

感想・レビュー・書評

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  • 家族を想い方は人それぞれで、それが家族にとって正解とは言い切れない。それにしても圭一が一番貧乏くじではないのかな?

  • 家族を捨て、家を出た父から誕生日に毎年手紙を受け取り、その手紙の言葉を胸に不幸を乗り切る娘
    婚約者が殺され、結婚に反対していた弟に容疑がかかり真相を追いつつ、居なくなった父を探す。

    もう一人の主人公、圭一は刑務所から出所し、自分が何故殺人を犯したのかなくした記憶を取り戻すため、また発端となった兄の自殺の真相を確かめるため義姉を探す。

    読めそうな展開は、早めに推理して気持ちよく潰してくれて進んでいくあたりが良い。
    同じ事が繰り返されているような感じはあったが
    二つの線が繋がってから、なかなか面白かった。

    だけど、不幸の連続
    なんとも特殊な境遇の特殊な事件に巻き込まれた人達なので、感情移入がしづらかった。
    私も父親なので「家族を想う父の気持ちの在り方」に共感できなくも無いのだが、明らかな間違いがあり、それも登場人物が指摘している通りで、話の中で自己完結してるように読めてしまいなんだか感動したようしないような宙ぶらりんな状態で終えてしまった。いや、それでもラストは心にくるものがあった。

    少ない文字の中で、丁寧に描かれている人物が良いのだが、少しずつ違和感があり気になってしまうのが残念だった。

    麻美子パート:父親の不倫に対して理解していることに違和感。それだけ父を想う気持ちが強かった、ということか?
    夢の話は不要、別の方法があったのでは無いか?

    圭一パート:出所後の生活の切迫感が無いこと、生活より探偵のような事を優先するあたりに違和感が…自制が出来ず犯行に及んでしまった弱さなのか? 記憶喪失や、勘違いしていたことへの違和感などなど

    解説によると、逢坂剛さん、宮部みゆきさんあたりと近い年にオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビューされたと聞くと、唸ってしまう。
    こんなに読ませる構成の作家さんを今まで知らなかったとは…
    作家は皆そうなのかもしれないけど、一つのテーマに挑み、描ききれないものや、こぼれ落ちる要素を何作かを通じて描こうとしていく姿勢が素晴らしい。

    • ikezawaさん
      様々な事件の原因が、重く心に引っかかっている為、そのあと起きた事を考えると素直に感動出来ない部分がある。町工場の息子が、父親の死の悲しみに打...
      様々な事件の原因が、重く心に引っかかっている為、そのあと起きた事を考えると素直に感動出来ない部分がある。町工場の息子が、父親の死の悲しみに打ち勝ったこと、それを主人公が手助けできたことだけが救い。
      2019/08/22
  •  誰かのために自分を犠牲にする。が、その結果が必ずしもその誰かのためになるとは限らない。
     苦難も一様にあらず。苦難を避けても違った苦難に見舞われる。避けるのではなく乗り越えるしか我々に道はない。

  • 説明
    家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。完璧なミステリー仕立ての中に、人と人との強い絆を描く感動作。

  • 初読みの作家。期待せずに読んだのだが、深い哀しみと感動を覚えるミステリー作品だった。

    麻美子と伸吾の姉弟の元には十年前に突然、失踪した父親から毎年、誕生日に手紙が届く。父親はどこで、何をしているのだろうか。一方、殺人の罪で服役していた圭一が出所し、新たな生活を始める…麻美子と伸吾の姉弟と圭一が偶然にも出会い…

    十年間、途絶える事が無かった誕生日の手紙から深い父親の愛情が伝わる。父親の失踪の真相と圭一の犯した殺人事件が少しづつリンクしていく過程が面白い。

  • 父の手紙からにじみ出る愛情
    失踪、自殺、夫婦、兄弟
    「自殺の手段を用いたことが阿久津伸吉の最大の過ちだった」
    「幸福とは、いかなる困難や試練にも負けずに生きていくことにあるのだ」

  • すごく高評価されていたが、そこまでは共感せず。普通のミステリーで、普通に面白かったかな。

  • 離婚により 家を出た父親から届く手紙…
    殺人を犯し出所した男…

    2つのストーリーがどぅ関係し、どぅ重なるのか?
    ずーっと??で読んでましたが……
    2つのストーリーが絡まってからは、せつなく、でも深い愛情に心打たれます。


    その時、よかれと思った自己犠牲者も必ずしも、誰かの為になる訳じゃなく、むしろ 辛く苦くさせてしまう事もあるのですね。

    「困難は避けるのではなく乗り越えて強くなる」
    避けたくなる事ばかりですが……
    「希望は最大の力」「行動あるのみです」





  • 昭和だなー。メロドラマチックというかなんというか、著者の人間観は1980年代くらいで止まってしまっているのではないだろうか。子を思う父の気持ちとか、好きだけど言い出せなかった秘めた恋心とか、待ち続ける女とか、幼なじみとか、ふた昔くらい前の観念が盛りだくさんである。私を抱いてとか抱いてくれないのというセリフに象徴される前時代的なジメジメした感じが少し懐かしいがまあおおむねしんどい。
    話のきっかけになった殺人の謎がどんどんどうでもよくなってきて結局父親の謎がメインテーマになってしまうのもどうなんだろ。殺人の謎は最後らへんで非情におざなりに解決されるんだけどそれでいいのか?主人公初め登場人物も類型的で生きた人間という感じがしないので鮮烈であるはずのラストシーンも微妙。まあ少し泣きそうにはなった。。。

  • ギシ、ギシ、ギシ・・・
    おそらく一生分くらいは読んだな、「義姉」という単語。

    序盤から次々と不幸が降ってきて、読んでて気が滅入って来る。
    これでもか、これでもか、と。

    シャバに出てきて以来、ずっと義姉義姉言ってるが気持ち悪い。
    犯罪の動機が記憶から喪失しているというご都合主義な設定。
    やけにフットワークの軽いヒロイン。
    不自然にやって来るヒーロー。

    一応ハッピーエンドのようなカンジの着陸点だけど、
    上記のご都合主義のおかげで、度々白けてしまった。

    途中で自殺した人は無駄死に・・・ではないにしろ、救われないなと。

    終盤で既にオチは見えてるんで、ラストでのカタルシス弱め。
    手紙の読み返すシーンはさすがに心に染みるが、
    全体的には2時間ドラマの雰囲気。

    ☆3.5

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著者プロフィール

一九四七年、東京都生まれ。八三年「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。八八年「絆」で日本推理作家協会賞、九〇年「土俵を走る殺意」で吉川英治文学新人賞を受賞。他に「仇討ち東海道」「遠山金四郎」「風烈廻り与力・青柳剣一郎」「栄次郎江戸暦」「蘭方医・宇津木新吾」「親子十手捕物帳」「八丁堀赤鬼忠孝譚」「義賊・神田小僧」シリーズなど著書多数。

「2023年 『剣の約束 はぐれ武士・松永九郎兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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