月の扉 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740450

感想・レビュー・書評

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  • 那覇発羽田行きの定期便、琉球航空 第八便が、男女3人によりハイジャックされた。
    彼らの目的は、不当逮捕された師匠と仰ぐ石嶺 孝志氏を、空港に連れてくること。

    しかし、航空機のトイレという『密室』で、女性の遺体が発見される。自殺?事故?事件?

    普通に考えれば、犯人はハイジャック犯の3人しかいない。しかし、彼らは、知らないという。

    そこで、この謎を解くための探偵役として指名されたのが『座間味くん』。

    彼の推理は?
    女性を殺害したのは誰か?

    ハイジャックと密室殺人という2つの組合せは斬新で、ハラハラドキドキの連続です。
    最後の種明かしや意外な展開もあります。

    しかし、月の扉を開けて、あちら側(再生の世界)へ行くという目的(?)は、若干理解出来ない面もあり、残念です。

  • 石持浅海さんを読んでみたくてタイトル買いした。
    そしたらハイジャックの話だった。

    予想しない事態が次々に起こる展開に引き付けられて一気読み。
    意外な人物が探偵役に指名されて、しかも期待以上の推理力を発揮するのもなかなか良かった。
    座間味くん、おバカなチャラ男だと思ってたのに(笑)。
    座間味くんでシリーズ物になってるらしい。そちらも読みたくなった。

    カリスマへの心酔(または信仰)から彼らはハイジャックを犯す。この、動機が「信仰」ってところが、信じてない者からすれば滅茶苦茶に見えるけど、その重さは第三者には図れないだけにズルイ設定だなと思った。

    全ての事態の因果関係も明らかにされて、読み手としてはスッキリ。
    ☆4つにしようか迷っての☆3つ。やはり私はエンターテイメントを越えて考えさせるものがある本を求めているらしい…。

    しかし、この手法でハイジャックを試みる模倣犯とか出てこないかねぇ。心配だ。

  • 密室殺人、ハイジャック、幻想譚の3要素を詰め込んた意欲作。
    以下ネタバレあり。
    中でも想定外の密室殺人は意外性もありユニークなのだが、肝心の師匠の人物造形が弱いので、皆既月食での彼の祈りの力が拘置所の中では作用せず、広い空間でなければ発揮出来ない理由が最後までわからなかった。この辺は幻想譚の作為として本来気にならないのだが、作品自体が理詰めなのでかえって気になった。また、師匠が人質を殺した(実際は違う)ハイジャックの三人(霊能者なら飛行場に到着した時点で気づかない?)の行為を咎めるわけでもなく単純に再会を喜ぶだけなのもなんだか。ラストも彼らはハイジャックはしたが殺人はしていないため、おそらく無期懲役に処されるが、人質を盾に逃亡すれば射殺される可能性が高いのがわかっていながらなんで?という思いが拭えなかった。

  • ハイジャック苦手なんですよね。飛行機乗ると不安になっちゃって。
    でも、本書を捲る手は止まりません。
    人を魅了するカリスマ性ある師匠、不当逮捕にあい師匠を留置場から出すべくハイジャックをする3人。
    だが、何故かハイジャックの最中に機内で起こる殺人事件。
    座間味Tシャツを着ている事から、座間味くんと呼ばれあれよあれよと殺人事件の謎に迫る謎の座間味くん。
    えぇっ!てなるハイジャックの終わり。最後にいい夢を見れました。

  • TSUTAYAの勧めるコーナーにあって、中では読みやすそうだったから、図書館で借りてきて読んだのだけど、かなり面白かったな、これ。
    ハイジャックと密室的な殺人とファンタジーが重なり合っていてなかなか複雑になりそうなんだけど、作中、一つ一つを丁寧に説明しながら解いてくれるサラリーマン探偵(まぁ、こんな人はいないよ、とは思うけどね)のお陰で全然迷わず、そして沢山ある伏線が見事に回収されているのが自分でもわかって、脳のアハ体験的なものも感じられて、愉しい時間だった。

  • 非現実的なお話しでもあるので賛否が分かれるかなと思いますが、なかなか無い感じのお話しなので物語に惹き込まれます

    そしてこのお話しの中心は……
    何と言っても座間味くんの推理ですね(^^)
    すんごいヤツだなと思ってたら、この作品のあとに座間味くんの推理シリーズが色々と出てるんですねー

    まだ未読ですが取り敢えず買ってあります(^_^;)
    いまから読むのが楽しみですねー(*^^*)

  • ・読み終わって感じたこと
    個人的にスッキリしない

    ・面白かったシーン
    犯人探しのやり取り

    ・オススメしたい人
    宗教的描写が受け入れられて、非現実的思考が好きな方

  • 『葉桜の季節に君を想うということ』が日本推理作家協会賞を受賞した年の候補作のひとつだったそうで、楽しめた。謎解きの難しさとか爽快感には物足りなさもあったけど最後の展開(エピローグじゃない)は二時間ドラマみたいな感じで、そういうのが好きなら良い作品。『葉桜の〜』と時期が被ったのは不運だったかも。

  • 沖縄那覇空港で突如として発生した起きるハイジャック事件。犯行は計画通りに進んでいっていたが、
    犯人達も予期せぬ死体の出現によって事態は一転。機内は謎が謎を生む奇妙な現場と化す。

    類を見ない犯人たちの動向と要求。彼らの目的とは一体どこにあるのか。そして予定にない死体が生まれた理由とは。

    様々な謎と思惑が蠢き絡み合う本作品。

    犯人達が機内に乗り込むまでからハイジャック開始、そして死体発見から推理パート、そしてその推理も場面を進めるごとにどんどん展開され、息をつく暇もないほど目まぐるしく場面が変わっていく様子に思わず緊迫感を覚える。
    にも関わらず、肝心の機内の雰囲気は束の間の平穏さえ感じさせる。この平穏は登場人物たちの小気味良いトークによってもたらされているのだろう。緊張感とは裏腹にテンポよく軽快に進んでいくため一気に読み進める事が出来る。

    犯人たちが基本的には善良な性格をしており犯罪行為に対して後ろめたさを感じている部分が描写されているためかより入り込んで読み入ってしまう。

    少々残念だったのが、本作品のキーマンである師匠のカリスマ性が作中では強く伝わってこなかったことと、終わり方が非常にあっさりしていたように感じてしまったところだ。ただこれは途中の怒涛の展開によってハードルが上がりすぎていたのかもしれない。後に思い返してみるとこれ以上視聴者の予想をキチンと裏切る終わり方もないようにも思う。
    ミステリーによる血腥さと綺麗で奇妙な世界観が両立されており、引き込まれる作品であった。

  • 久しぶりのコージーでは無いミステリー。
    特殊な設定・環境を受け入れきれない面はありましたが、十分楽しめる内容でした。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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