女神 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334741242

感想・レビュー・書評

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  • リセットを繰り返しながら人生を泳ぐ謎多き女神を三組が追う。一組は犯罪を追い、一組は共闘関係になり、最後の一組は憧れの目標となってしまう。最後の一組、単なる興味から、なぜ興味をもつのかという葛藤、そして、実は同類憧れ、真似をすることで自分たちの再生につながるというくだりがスリリング。

  • 同僚で営業職の沙和子に憧れるOLの真澄。
    営業成績はトップクラスなのにガツガツした所がなく、いつも優雅な笑みを口元に浮かべる沙和子。
    仕事が出来てセンスもよく美人という完璧な女性。
    そんな彼女が時折顔を曇らせるのに気づいた真澄はその訳が知りたいと思い、同じアパートに住む友人と彼女の事を探り始める。
    そして見えてきた沙和子の真実の姿は思ったものよりもずっとどす黒く根の深いものだった。
    それと別に、失踪した20代の青年の両親からも彼女の姿が明らかになっていく。

    沙和子の正体を知ってからの真澄と友人、二人の女性の行動や心の動きが意外。
    典型にあてはまってなくていいと思いました。
    普通なら何故?と理解できない所ですが、この話では何となく理解できました。
    沙和子ほどでないにしろ、二人の女性も精神的に危うい部分をもっている。
    だから自分たちは上りつめられない所までとことんやっている沙和子に共鳴できたのだと思う。

    周囲も、そして本人も自分は完璧だと思っている。
    完璧な100%の自分からそうでない行動や容姿を差し引いていく彼女。
    それって痛い・・・。
    ややこしいけど、自分は完璧だと思っている時点でその人は完璧じゃないのだと思う。
    だから完璧に見せようとすればするほど綻びが見える。
    自分の思い描く100%はいつも予想内の中だけだから不測の事態には対応できない。
    確かに彼女は人間的感情のない恐い女性だけど、その辺も兼ね合わせて痛く悲しい人だと思いました。
    ただ沙和子が何故そうまでして完璧であろうとするのか、そのために不都合なものを次々排除していくのか、その原因を知ってからは彼女の進む方向性がちょっと違うような・・・迷走している感じがしました。

  • 沙和子の様に犯罪を犯してしまうのはやりすぎだけれど、良い意味で誰かを演じてより良い自分を作り上げるのは悪いことではないのではないかとも思える。
    自分自身を向上させていく為に多少の演技は必要なのかも。

    女神というより女優?

  • 驚きです。女神のような完璧な女性、沙和子。沙和子に憧れる真澄達。その真澄達の行動にまず驚き。

  • 「人というのは、他者から価値のない人間と決めつけられてしまったら、明日から生きていくだけの活力を、案外たやすく失ってしまう生き物なのだ。」
    「男というのは、「君の幸せ」と言いながら、自分の人生の設計図に、女を同伴者として取り込もうとする。頭に勝手に未来の絵を描き、設計図を引くという点では、沙和子のしていることも彼らと同じかもしれない。だが、沙和子は、男を登場人物にしても、男を取り込んだ図は描かない。」
    「私、やってみようかな。沙和子さんみたいにやってみようかな。そりゃ、ああはいかない。どうしたってスケールは、うんと小さくなると思う。私には、人を殺す度胸もないしさ。でもミニ君島でいい。私もしっかりシナリオ書いて、この先何年かの人生、自分でコーディネートして演じてみようかな。沙和子さんの言うとおりかもしれない。自分をコマにして、自分でゲームするからこそ楽しい。今よりも、もっともっと熱狂できるかもって。

  • こういうストーリー好きー!
    現実的ではないかもしれないけど、コンプレックスの塊みたいな主人公たちになんとも言えない親近感を覚えた。

  • 寄贈 タスク (2012/1/9)

    女は怖い、けどそれが真実という宣伝につられ読んでみました。
    本当にあったら面白いですね!!

  • 肌にまとわりつくような女の怖さ。
    じわりと下の方から這い上がってくる感覚。
    途中まではそれを楽しめたんだが、だんだん凡庸になったかなあ。

    最後が中途半端というか、投げっぱなしというか、
    なんとも放り出された感じが心地悪い。
    「ひとごろし」の時もそう思ったんだよなあ

  • Amazonでは酷評されていますが、個人的にはヒットの部類。
    但し、この作者は同じテーマの焼き直しが多いので、本棚に入れるのはこれ一冊で良いかな?

  • 消化不良。登場人物のバックグラウンドや心の動きがきちんと描かれないために、物語の展開に必然性が感じられずどうも場当たり的であったり都合が良すぎたりする感がある。更にそういう不自然な展開を補足するための説明的な文章が多過ぎてどうも物語に入り込みにくい。色々な要素を詰め込もうとして上手くいかなかった感じ。『汝の名』、『澪つくし』が面白かっただけに残念。

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著者プロフィール

明野照葉

東京都生まれ。一九九八年、「雨女」で第三十七回オール讀物推理小説新人賞を受賞。二〇〇〇年、『輪廻RINKAI』で第七回松本清張賞を受賞、一躍、注目を集める。ホラーやサスペンスタッチの作品を得意とし、女性の心理を描いた独自の作風はファンを魅了してやまない。『汝の名』『骨肉』『聖域』『冷ややかな肌』『廃墟のとき』『禁断』『その妻』『チャコズガーデン』(以上中公文庫)、『女神』『さえずる舌』『愛しいひと』『家族トランプ』『東京ヴィレッジ』『そっと覗いてみてごらん』など著作多数。

「2020年 『新装版 汝の名』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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