それぞれの陽だまり: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(五) (光文社文庫 な 43-6 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)
- 光文社 (2019年12月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334779559
感想・レビュー・書評
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それぞれの陽だまり ー 日本橋牡丹堂 菓子ばなしシリーズの5作目
2019.12発行。字の大きさは…中。
素人落語のみやげ菓子、餡の甘さと母の想い、煉り切りの淡い夢、道成寺の桜 石橋の牡丹の4話。
鎌倉のはずれの村から菓子が好きで、菓子作りがしたくて江戸へ出て来た小萩が、牡丹堂の皆に助けられて、菓子に係わっていく。
此度は、山野辺藩より伊勢松坂との勝負に出した「揚げ饅頭」の次の菓子としての注文を受ける。
小萩は、男の職人には気が付かない、女の立場で考える。
千代紙で綺麗な箱を作り、趣向を凝らした色とりどりのお菓子を入れると…。
【読後】
此度は、伊勢松坂の勝代も静かで争いもなく穏やかな日々であった。
小萩が、弥兵衛から「男の職人には考えつかないことを考えろ。気づかないことに気づけ、見過ごしていることが、いっぱいあるだろう。それを探すんだよ」言われ、千代紙で綺麗な箱にお菓子を入れる事を思いつく。
この物語を読んでいると、心が温かくなる。
2020.03.13読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本橋牡丹堂シリーズ第五弾。菓子の事、自分の将来に悩む、小萩。
素人落語のみやげ菓子・・・山野辺藩に収める新作の菓子で、
店の者は手一杯。小萩は落語会の手みやげを考える。
小萩、須美。女性の目線が新作の菓子に花を添える。
飴の甘さと母の想い・・・能楽のおさらい会の依頼に、演目を菓子の
題材に決めた小萩。お福から聞く須美の過去と家族。
母の想いと子の想い。離れていても絆は深い。
煉り切りの淡い夢・・・新たな、山野辺藩に収める新作の菓子は、
能楽を主題に、小萩と留助が中心で進めることに。そして、
幾つかの変化が。曙のれん会、勘太、お福に弥兵衛も。
『道成寺』の桜、『石橋』の牡丹・・・隠居所への引っ越しを挟み、
収める菓子を完成させる。そんな中、須美の周辺で・・・。
弥兵衛の、伊佐の言葉が、小萩の心に覚悟を生む。
主要参考文献有り。
注文が増えて多忙になった牡丹堂の、出来事の連作短編です。
新たに登場した手伝いの須美の話が中心となりながら、
18歳になった小萩の内面と菓子作りでの苦悩が味を添えています。
見世の男たちは皆“職人”だと気づく小萩。
弥兵衛は言う。「男の職人には考えつかないことを考えろ」と。
「なりたい私になりたい」では、どうしたら良いのか?
落語や能を学ぶのも、糧になる。人の心を想う機微も学ぶ。
さり気なく力添えをしてくれる、牡丹堂の面々。山野辺藩の杉崎。
多くの人の協力と小萩への想いもまた、糧になる。
牡丹堂に来てから2年、小萩も、ただ菓子を学びたいだけではなく、
様々な事に気づき、悩むようになりました。成長していますね。
今回は、須美や留助が良かったです。彼らと接したことで、
新しい一歩を踏み出せたようにも、感じられました。 -
2019年12月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ5作目。素人落語のみやげ菓子、飴の甘さと母の想い、 煉り切りの淡い夢、『道成寺』の桜,『石橋』の牡丹、の4つの連作短編。小萩の目指すところも決まって来たようで、何よりです。がんばれ小萩。
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牡丹堂の家内仕事を賄う為に須美さんという出木杉さんな女性が加わりました。
小萩の負担を減らす為や牡丹堂がゆるやかに世代交代していく準備なのでしょう。
須美さんは好感の持てる人物なので加入はイヤではないです。
でも牡丹堂のゆるやかな世代交代の様が潔くも少し寂しい気持ちになりました。
小萩の菓子職人とは違う菓子作りの在り方がだんだん形になっていくのがいいです。
小萩を菓子職人!と言い張られるよりも無理も違和感もなくすんなり受け入れられます。
小萩がいく独自の菓子への道の今後がとてもたのしみになりました。
最後の引きで須美さんの状況に変化がありました。
須美さんにはこのまま牡丹堂の一員として居着いてほしい。
でも息子さんのことがあるので彼女は牡丹堂から去ってしまうのだろうか。
須美さんが牡丹堂の女将さんとして納まって息子さんとも暮らせる未来は難しいのだろうけど何とかなってほしいと願ってしまう。 -
日本橋牡丹堂菓子ばなし、シリーズのようです。
はじめて読みましたが、それでも十分楽しく読めました。
菓子職人として、いろいろ悩む日々の小萩と、お店に新しく入ってきたなんでもそつなくこなして、みんなに評判のいい須美さん。
お店の人間関係や、お菓子つくりにかける思いが面白かったです。シリーズの初刊から読んでみようかな、と思いました。 -
いい作品だなぁ。今の若い人達は読めないかもしれないけど。
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Audibleで。小萩に癒やされた。すみさんのこれからの身の振り方が気になる。
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須美さんどうするんだろう?
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フードライターの中島久枝さん、そのお菓子に対する造詣の深さは、読売夕刊連載コラム「甘味主義」でもお馴染みですw。お菓子作りを縦糸に、江戸の人情を横糸に絡めた「それぞれの陽だまり」(2019.12)、日本橋牡丹堂菓子ばなしシリーズ第5弾、いよいよ佳境に入っています(^-^)
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お菓子やさんが舞台で女の子が働くという設定のシリーズが他にもあって、頭の中で設定がこんがらがった。こっちは都会でないところからきた女の子の話。今回はなかなか読ませたけど、よく女だからとか言うところがちょっと好みでない。