本日、サービスデー

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334926502

感想・レビュー・書評

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  • リストラ宣告された、さえない中年サラリーマン。彼の前にボンテージルックのセクシー悪魔と七三分けの天使が現れて、今日が彼のラッキーデーだと宣告する。どんな願いも叶うというその一日を、彼はどのように使うのか・・・「本日、サービスデー」

    殺人事件にまつわる物を持ち寄って評価する不思議なクラブ。殺される直前、被害者に打ってもらったレジのレシートを持つ主人公は、ひょんな事からそのクラブの会合に参加することになるが・・「東京しあわせクラブ」

    ぼろアパートに現れる、手首だけの幽霊、るり子。彼女との同居に問題を感じないバイト先の先輩を憂い、同じ大学の女子大生霊能者に相談を持ちかける主人公だったが・・・「あおぞら怪談」

    兄を見返すためにひとりだけでやってきた小さな沼。そこで対決することとなる少年とマッカチン(アメリカザリガニ)との勝負の行方は・・・「気合入門」

    自殺者は、死後、川を渡る前に未来ゴミを捨てられるそうです・・・「蒼い岸辺にて」

    以上5つからなる中短編集です。
    表題作は面白いけど都合よすぎるところもあり?
    ハッピーエンドは嫌いじゃないのでまぁいいか。
    「東京~」はラストだけがいまいち、そこまでブラックなラストにしなくてもいいのにな。主人公の身に降りかかるかもしれない恐ろしい未来を暗示させるだけの方がシンプルでよかったです。
    あと「あおぞら怪談」に出てくる幽霊が、『妖怪ア○ートの幽雅な日常』シリーズに出てくるお料理上手な手首幽霊・るり子さんとそっくりなんですけど(つーかおんなじ名前だし!)、これって『妖怪~』の方の香月さんサイドはご存知なのかしら??
    ちょっとその辺心配になっちゃいました。
    あ、お話自体はおかしなほのぼの感があって楽しめましたよ。
    残り2つは小編ですし、さらりと読了。「蒼い岸辺にて」はよくありがちな話でしたけど、つまらなくはないです。
    今回は全体的に「わー面白い!」とのめり込む話はなかったかな。
    読みやくすはあるので、ちょっと本を読みたくなったって時にはおススメです。

  • 図書館にて。
    人気作家の本を試しに読んでみた。
    表題作が良かった。大人のおとぎ話という感じ。
    でも今後作者借りするかはわからない。

  • 自分にとってはど真ん中の好みの本でした。ほとんど最後はハッピーエンドなので好きな本です。

  • 鶴ケ崎雄一郎はさえない中年営業マン。
    ある日、突然、部長からリストラの宣告をされた。その夜、自宅で一人昔の映画を見ていると、魔女サターニャが映りこんできて「明日はあなたのサービスデーだ」と告げた。

    翌日、朝からホントにおかしい。すべてがとんとん拍子にうまくいく。当然無理だった大口契約までライバル社を押しのけて契約にこぎつけたり、ものすごい美女と話ができたり・・・
    会社に戻ると部長の乗った飛行機が墜落し570人が犠牲になったというニュースが入る。実は今朝、九州に出張する部長を見たとき「飛行機が墜落しちゃえばいいのに」って思ってしまった。
    今日は思うことがなんでもかなうサービスデー。自分の責任だと自分を追い込む。
    神様に掛け合いサービスデーを返上するから飛行機事故はなかったことにしてほしいと懇願する。
    ・・・・・
    気づくと、昨夜自宅で映画を見ていた場面まで戻っていた。

    また同じ日の繰り返し。サービスデーではないのでいつもと同じさえない一日が始まった。
    数か月後、会社を辞めた鶴ケ崎はファッションビルの1階にレンタルビデオショップを開き繁盛していた。
    すべては駅近くの交差点の横断歩道でカリスマ歌姫を助けたことでできた人脈によるところだった。
    サービスデーを返上し、飛行機事故で亡くなった人を生き返らせるとき神様は鶴ケ崎の名前をみんなに伝えたため、潜在意識の中に彼の名前が組み込まれたのだ。彼の人生の中で、彼を助けてくれるという。
    サービスデー以上の贈り物だったと思う。
    【東京しあわせクラブ】
    犯罪にまつわるいろいろなものを定例会で持ち寄り自慢しあう。
    【あおぞら怪談】
    バイト先の先輩のアパートに現れた女の手首だけの幽霊。掃除や洗濯アイロンがけ、料理までしてくれる。
    【気合道場】
    3歳違いの兄にすべてかなわない小1の僕。
    なかなかつれないマッカチンを釣り上げたが、バケツをひっくり返し、結局逃げられた。気合が肝心。
    やがて、兄とキャッチボールをするようになった僕はプロ野球選手に。
    【蒼い岸辺にて】
    自殺した女性が気付いたのはすべてが蒼い世界。
    魂が体から離れなければ渡し船に乗れない。舟のこぎ手がその時間を利用して、彼女にこれから訪れるはずだったものを袋の中に吸い取った。袋の中から一つずつ卵を取り出しては説明する。
    親友ができ、彼氏ができ、きれいになり、結婚し、子供を授かるという未来。
    やがて彼女は引き返す決心をした。しかし、これらのことは卵であり、努力しなければ孵化することはないのだ。

  • サクッと読めました。短編集。

    「本日サービスデー」リストラが決まった冴えないサラーリーマンの前に現れたセクシーな悪魔サターナと生真面目な天使ガブリエル。
    後輩で上司の乗った飛行機が落ちた。自分が願ったために失われた500人もの命…。そのときサラリーマンは。
    「東京しあわせクラブ」犯罪、事件に関わったであろう物証をも持ち寄って自慢し合う悪趣味なクラブへ行くことになった小説家。彼らはそれらをどうやって入手しているのだろう。
    「あおぞら怪談」るり子と云う手首の幽霊と同棲するバイトの先輩の話し。
    「気合入門」いつも兄にバカにされている弟が一人で沼へザリガニ釣りへ…。人生は気合いだ!
    「蒼い岸辺にて」自殺した女性がたどり着いたのは蒼い世界だった。生きていれば訪れるはずだった未来はタマゴだった。
    タマゴは育てないと孵らないんだってさ。
    なるほど。

  • 初めて読んだ朱川湊人の作品。
    記憶違いでなければ、
    高校入試の国語の問題になっていたような・・・
    (誰か、教えてください。)
    40歳を過ぎたサラリーマン、郊外に家を建て、
    毎日2時間以上かけ通勤し、すっかりさびしくなった髪の毛、
    かわいげがなくなった妻、コドモたち。
    自分の人生に嫌気がさし始めたころ、
    神様から何でも願い事がかなうという、サービスデーを与えられる。

    どこそこでクスッと笑いながら、あっという間に読み上げた。
    40過ぎの男の人(例えばダンナなど)が、こんなふうに考えてたんだと再確認。
    表題以外に、短編がいくつかおさめられているけど、「あおぞら怪談」もなかなか
    好みの作品だった。    

  • サービスデー、人生にたった一度の神様からの贈り物。もしも、本当にサービスデーがあったなら…。昨日のワールドカップのPK戦は別の結果になってたのに!そんなささやかな願い事しか、思い浮かべられない私は、主人公に負けず劣らずの筋金入りの小市民。
    同じ事の繰り返しの様な退屈な毎日を必死こいて生きてる、少々疲れ気味の全国の小市民の皆さんへの人生の応援歌。コミカルなものから、ブラックなものまで、切り口は様々であるが、ちょっぴり幸せな気分になれそうな、なれなさそうな中編短編である。
    短いが、「蒼い岸辺にて」が一番好き。ゆる~い筆致なれど、朱川さんの良いところが出ている作品だなと思った。
    頑張れ、小市民!ありがとう、日本代表!

  • 世界中の人間には、それぞれに一日だけ、すべての願いが叶う日がある。それが、サービスデー。神様が与えてくれた、特別な一日。本来は教えてもらえないその日を、思いがけず知ることになったら。直木賞作家の幸運を呼ぶ小説。

  • さらっと読める短編集。表題作はとてもよい。「気合入門」のオチも秀逸。ただし、「東京しあわせクラブ」はいかんな。こういうのは自分にはあわない。

  • 今作でコメディタッチの作品の片鱗はあったのですね。
    表題作はコメディとユーモアとちょっぴり切なく、温かい
    ストーリーになってます。ベタって言えばそれまでですが
    こういう作品はみんなきっと好きですよね。

    他に4編の短編を収録。個人的には「東京しあわせクラブ」
    の印象が強いです。ちょっと黒くて殺伐としていて、何故か
    さほど嫌悪感がないってのはこの方の独特の作風なのかも
    しれません。まぁ、気持ちのよい話ではないんですけどねw。

    小粒ながらそれぞれ味わいのある短編集です。
    ただオビにあるキャッチと作品の内容は
    何かバランスが違ってる...と思いますけどw。

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著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朱川湊人の作品

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