- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344027954
感想・レビュー・書評
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愛人の援助を受けセレブ気取りで暮らす32歳の千遥は、幼い頃から母の精神的虐待に痛めつけられてきた。
一方、中学生のとき父を亡くした27歳の亜沙子は、母と二人助け合って暮らしてきた。
千遥は公認会計士の試験に受かった年下の恋人と、亜沙子は母の薦めるおとなしい男と、結婚を決める。
けれどその結婚が、それぞれの“歪んだ”母娘関係を、さらに暴走させていく。
お名前はよくお見かけしますが、初めて読む作家さんでした。
母と娘の関係性に焦点を描いたこの作品、ものすごく、おもしろかったです。
そもそも、母と娘の関係って、ちょっと特殊ですよね。
母は娘を同一視しやすく、一方でライバル視しやすい。
そして娘にとっても母は幼少の頃から一番近く、承認を得たいと思う相手なのかもしれません。
互いに自立していたらこんな軋轢も生じないのかもしれないけど、良くも悪くも母親は無視できない存在だったり、距離の取り方が難しい。
特に毒親というわけでもなければ、過保護すぎるというわけでもない、普通の母親に育てられたと思っていましたが、読みながら思わず親との関係性を省みることになりました。
結婚とか、介護とか、親子の関係性が変わるきっかけってきっとあるんだろうし、当たり前かもしれないけど、いつまでも同じじゃないんだなぁと噛み締めながら読みました。
きっと子どもへの愛情を一瞬でも持ったことのない母親なんていないと信じたいけど、それでもすれ違いが生じるのは、どちらかに、あるいは互いに相手への甘えがあるからなんじゃないか、なんて風に思いながら本書を読み終えました。 -
2組の母娘の呪縛と依存の物語。
面白くて一気読みです。
母であり娘である私には、心当たりはないと自分では信じたいけれど、娘はどう思っているか、若干の不安も感じます。
子供に対して、自分の思い通りにしたいと思ってしまう過ちは、多くの親が犯してしまう事なのかも。
心しておきたいと、自分を戒めようと思いました。
それぞれの母娘の最後が怖いです。
呪縛はずっと続くのでしょうか。 -
2組の母娘の話にどんどん引き込まれ、一気に読了。
どちらかが一方に依存する親子の話は、さして珍しくはない。
わたしは幸いそういう関係にないが、周囲にいる母娘のことをつい思い浮かべた。
結局、幸せなのは千遥なのか、亜沙子なのか。
比べるものではないけどつい考えてしまうラストだった。 -
決して他人事とは思えず、読み進めるのがとても辛かった。
「これだけあなたのことを思っているのに、どうして分かってくれないの」という愛情は、子にとっては親のエゴでしか無いわけで。
親の気持ち子知らず、とは言ったものだけれど
子の気持ち親知らずだと実によく思う。
これで和解できたかメデタシメデタシ…とはいかないのが唯川流だなと、
ラストはゾッとして後味が悪かったです。(そこが良いんですが) -
この小説はやばい。たくさん母娘の話は読んできたけど、ダイレクトに胸に響くし自分の現実と重ねすぎて目をつぶって、次のページが開けなくなったりもした。私は亜沙子だな、と思ったけど、千遥は別の意味でとにかくやばい。
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2015.8.5リクエスト 913.6ユイ
2015.8.30