アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344426313

感想・レビュー・書評

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  • 一気読みしないと、脳内が混乱してしまう作品。時間があるときに再読(今度は一気読み)しようと思う。

  • 恋愛をテーマにした小説だけど、恋愛モノでありがちの、恋人が病気になる展開もないし、さえない女の子が王子様と恋する展開もないので、胃もたれしないで読める作品でした。

    で、個人的には、ルックスライクが良きでした。
    クレーマーの撃退方法を学べるのでおすすめです笑
    僕もいざという時が来たら使ってみます。

  • 昨今、世の中を見渡せば、暗いニュースがどうしても目を引いてしまう。
    それでも・・人を愛おしく思う気持ちがある限り、毎日がほんの少し明るくなる気がします。

    さて、作品紹介に移ります。
    伊坂さんの描く人物が、本当に大好き!
    私とは感性が異なる人物が多数描かれているはずなのに「友達になりたい」と思うのは何故(笑)?
    【ユーモアのある言葉・場面】

    〇 いいか、藤間、外交そのものだぞ。宗教も歴史も違う、別の国だ、女房なんて・・etc.
     ⇒夫婦間のいざこざを外交問題と揶揄するセンス・・脱帽(笑)

    〇 課長が、ミッキーの長時間手を振り続ける忍耐力について力説する場面
     ⇒誰かを笑顔にさせるには、並々ならぬ努力が必要ってことですか、課長(笑)

    【総括】
    お久しぶりの伊坂さんの作品。高校生の頃、夢中で読んだ日々を思い出しました。
    独特な世界観もさることながら、伊坂さんの描くキャラクターが大好きなのです。
    ※私が、ますます人間を大好きになってしまう・・(*´▽`*)
    ちなみに、映画も拝見しましたが、作品の雰囲気が私の好みにぴったりでした!
    明日も、良き出会いに巡り合えますように!

  • Kindleで読了。面白い!久しぶりの伊坂幸太郎ワールド、楽しさに浸れました。

    呪文⁈ のような題名は一生 覚えられそうにありませんが、直訳はドイツ語「ある小さな夜の曲」

    6話連作短編、登場人物のリンクが激しく、時間軸の行き来もあり、ノートにメモりながら読み進めました。

    ミュージシャン斉藤和義からの依頼で執筆した2作品は『出会い』をテーマに、後の作品はそこから話をひろげた作品だそうです。恋愛、親と娘、友人、仕事といろんな要素が入ったアトラクションのような本でした。

  • 伊坂幸太郎は伏線のマジシャンである。
    そう感じている。個人的に。

    この短編集でも、それぞれの短編の中で散りばめられた伏線が見事に束ねられ、かつ、適度に裏切られる。さらに、最終編では、短編集全体に散りばめられた伏線が丁寧に束ねられ、最後の最後で予想していなかった伏線がまとめられて終わる。短編の集合でありながら、短編集全体がきちんとまとまって終わる。

    やはり、伊坂幸太郎は丁寧な天才なのだ。

  • 作者には珍しい、恋愛をテーマにした短編2編に導かれて紡がれた連作短編集。

    3作目に至ってやっと、登場人物たちが時制を変えて繋がっているのに気がついて、登場人物たちの名前と、その年齢を別紙にメモしていった。ただし、言っておくが、これは短編集の第一作からやった方が愉しめる。初期の伊坂幸太郎のように、時制の捻れや、恐ろしい悪人や超能力者は登場しないので、驚きの発見を愉しめるのは3作目辺りからだし、最終編ではキチンとほとんど解説してくれているから早くしとかないと無駄になるからである。(もっとも、メモしていたから解説編は全くこんがらがらなくて済んだのではあるが)

    これを読むと、たまたま車のフロントガラスにバズ人形をくっつけていると、例えば駐車場でたまたま道を聞いて来たような若い彼氏のいない女性が、それを見て、「トイストーリー好きなんですか?」ではなく「伊坂幸太郎好きなんですか?」と聞いてくる幸運は、あってもいいではないか、という気がしてくる、ちょっと伊坂には珍しいハートウォーミングな作品がほとんどだった。

    ところで、文庫解説において
    吉田大助氏が「伊坂幸太郎は友愛の小説家だ」と規定していた。それには、私は異議がある。60%は同意するが、あと40%の伊坂幸太郎を「友愛」というオブラートに包んで意図的に隠そうとしている気がするからである。私は50%か、或いはそれ以上は、「伊坂幸太郎は社会派の小説家だ」と思っている。いや、違う!と伊坂幸太郎ファンで言う人は多いだろう。伊坂はそう言われるのを1番嫌っているんだ、と。本筋とはあまり関係ないが、この作品でこういうくだりがある。

    「でもまあ、危ない目に遭わないで良かったよ。こんなことを言うのもなんだけど、正義とかそういうのって曖昧で、危ないものなんだから」
    「はい」織田美緒は意外にも殊勝にうなずいた。「お母さんに言われます。自分が正しい、と思いはじめてきたら、自分を心配しろ、って」
    「へえ」
    「あと、相手の間違いを正す時こそ言葉を選べ、って。というか、先生、どうしてここに来たんですか?わたしたち揉めているのを察知して?」(187p)

    伊坂幸太郎は、街の自転車駐車場での小狡い料金詐欺から、国家的な陰謀まで、ほとんどの作品でこのように「言葉を選び」「謙遜しながら」「正義」を語って来た作者である。本来ならばそんなことはせずに、もっと堂々とエンタメの極地の恋愛や性や(戦争・冒険という)かっこいい生死を描けばいいのである。しかし伊坂幸太郎は、それを避けて「言葉を選び、謙遜しながら、正義を語って来た」と、わたしは思っている。そうせざるを得ない伊坂の動機があるからだと、わたしは思っている。伊坂幸太郎の観る社会を、読者であるわたしたちは、キチンと受け止めるべきなのではないか。

    本筋とは関係ないけと、そんなことも思った短編集でした。

    2017年9月20日読了

  • 最近、伊坂幸太郎という作家の持つアトモスフィアが分からなくなりつつあるのだけど、台詞廻しの上手さと、モチーフの秀逸さが光る短編集!

    どの話も、ニコッと笑える。
    安心して最後まで賞味可能。

    冒頭「アイネクライネ」では、あっ、これ斉藤和義‼︎ってフレーズに出会えて、あとがきに記されていたのが楽しかった。
    斉藤さん1回100円。探したくなる。

    時代外れのアンケートに乗ってきてくれた女の子の、カバンについていたバズライトイヤーから、友人夫婦に「トイストーリー」勧められて、「2」まで買っちゃう小野さんが、好きだ(笑)

    「ドクメンタ」では5年に一度の催し物から、免許更新でだけ出会う相手の話が展開される。
    免許更新場での出来事を、宿命的ドラマに出来てしまう作者の発想が、すごい。
    通帳の記帳、私も溜まってるんだよなー。『新党億劫』が出来たら、支持します。

    「メイクアップ」も好き。
    高校時代に仲間外れにされた相手と、ビジネスの場で再会する。
    相手は覚えていないのだけど、彼女が果たして善きものに成長したのかどうか、そして復讐すべきかどうか、とウロウロする話。
    設定としてはある話だけど、どうにもこうにも平行線で、でもささやかな罰が当たればと願ってしまう気持ちって、分かるなぁ。

  • 伊坂さんの本の世界には、理解はできないけど憎めないヤツが基本存在する。
    チルドレンの陣内、残り全部-の溝口、本作の一真。
    一真のような人間がいるから物語は面白おかしく進んでいくのだが、佐藤のような世間一般的な考えを持つ人間がいるからこそ成り立つ。読者の救いである。
    この章のこの人と、あの章のあの人が、そうかそうかそういう関係だったのね!が楽しい伊坂作品。今回はナハトムジークで一気に回収していった感じ。気持ちがいい。

    【相手の間違いを正す時こそ言葉を選べ】
    心に留めようと思う。
    誰も傷つけぬよう、傷つかぬように。

    伊坂さんの恋愛小説、新鮮でしたが私は好きです。
    映画もいつか挑戦しよう。

  • 伊坂さん読むの2作目。日常の中の感情を描くのが上手なんだなあ。
    いろんな人の日常と感情が薄く交わりあっていく連作短編。どの人生も魅力的でほっこりした。優しい目線。
    「特別な仕事に就けたから偉いわけじゃない」ってね。

  • 伊坂さん2冊目。
    映画化にあわせて読もうと思っていたのだが、気がついたら上映始まっていたのでこちらは間に合うかどうか微妙。
    
    10年(プラス9年)の時を超えて、現在と過去が交差しつつ幾人かの男女の「出会い」が描かれる連作短編集。
    おもしろくて2日で読み切ってしまった。
    
    「出会い方とかそういうのはどうでもいいんだよ」
    「いいか、後になって、『あの時、あそこにいたのが彼女で本当に良かった』って幸運に感謝できるようなのが、一番幸せなんだよ」
    
    恋愛に限らず人生なんてものは偶然の積み重ねでできているもので、あとから振り返れば「ああ、あれは運命だった」と思う「出会い」とは、結局、あとから振り返るからそう思えるわけで。
    
    恋愛絡みでなくて申し訳ないが、たとえば、私は友人が「最近、これ、おもしろくて読んでるんだよね」と教えてくれた雑誌に、その数年後、就職することになった。あの時、友人がその雑誌をもっていなかったら、たぶん名前も知らず、応募することもなかったと思う。
    
    そこに結構長いこと勤めた後、退職を一ヶ月後ぐらいに控えて、数日前に仕事関係でフォローした人のツイートで「○○さんがインターンを募集しているらしい」と知る。休憩中のカフェの中だった。あの時、あのツイートを見ていなければ今の仕事をしていなかったと思う。
    
    「出会い」が「運命」なのかどうか、そしてそれが「幸運」かどうかは、結局、その後の自分が決めるしかない。
    
    Aさんの友達がBさんで、そのBさんの上司がCさんで、Cさんの娘がDさんで、みたいな感じでこの物語の中では人と人がどこかでつながっていて、誰もが誰かに少しずつ影響を与えたり、誰かの運命になったりする。
    
    伊坂さんの文章は軽やかなんだけど地に足が着いているというか、非常に読んでいて気持ちがいい。
    

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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