アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)

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著者 : 伊坂幸太郎
  • 幻冬舎 (2017年8月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344426313

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 伊坂幸太郎はいいねぇ。帰省で福岡へ向かう新幹線の中で読了(しかし、今日の混雑は半端ない)。
    今回は、じんわりと胸の中を打たれる奇跡のような出会いのお話が6つ。
    「アイネクライネ」「ライトヘビー」や「ドクメンタ」のようなありそうで実際にはそうはない、小説とすれば些か陳腐な出会いでも、この作者にかかると、自分にもこうしたことが起こるといいなと思いたくなる話になる。
    「ルックスライク」の最後、良かったなぁ。かつての恋人が結婚した相手を見て『素敵な人と結婚したんだな、とわたしも嬉しかった』と言えるなんて…。
    ここまでの登場人物の現在と19年前と9年前が行ったり来たりして語られる最終話「ナハトムジーク」、それまで全く関係なかった司会者の言葉に、またジンと来た。

  • 最近、伊坂幸太郎という作家の持つアトモスフィアが分からなくなりつつあるのだけど、台詞廻しの上手さと、モチーフの秀逸さが光る短編集!

    どの話も、ニコッと笑える。
    安心して最後まで賞味可能。

    冒頭「アイネクライネ」では、あっ、これ斉藤和義‼︎ってフレーズに出会えて、あとがきに記されていたのが楽しかった。
    斉藤さん1回100円。探したくなる。

    時代外れのアンケートに乗ってきてくれた女の子の、カバンについていたバズライトイヤーから、友人夫婦に「トイストーリー」勧められて、「2」まで買っちゃう小野さんが、好きだ(笑)

    「ドクメンタ」では5年に一度の催し物から、免許更新でだけ出会う相手の話が展開される。
    免許更新場での出来事を、宿命的ドラマに出来てしまう作者の発想が、すごい。
    通帳の記帳、私も溜まってるんだよなー。『新党億劫』が出来たら、支持します。

    「メイクアップ」も好き。
    高校時代に仲間外れにされた相手と、ビジネスの場で再会する。
    相手は覚えていないのだけど、彼女が果たして善きものに成長したのかどうか、そして復讐すべきかどうか、とウロウロする話。
    設定としてはある話だけど、どうにもこうにも平行線で、でもささやかな罰が当たればと願ってしまう気持ちって、分かるなぁ。

  • 今空前の伊坂ブームがわたしの中で来ていて買ってしまった。
    短編集で全部面白かった!
    評価が4なのは、なんか全部の話で登場人物が繋がっていて、あ!と思うのに疲れてしまったから、、、笑
    こういう心境なのかな今は。
    前はすごいって純粋に感じていたのにな。

    織田の娘さんと、その同級生の自転車のシール泥棒の話が個人的に一番すき。

    2017.10.08

  • 1つの短編から派生して、登場人物を中心に物語を絡めていく。そして全体として一つの物語を作る。そういった形でこの小説は作られています。その絡め方が絶妙で、いろんなつながりを感じながら読み進めることで、世の中がつながっていることを感じることができます。解説で「友愛の」とあり、なるほどと感じました。そしてこの小説では「恋愛」から始めることで、その2つのキーワードが気持ちよく絡んでいきます。その世界に漂うように、登場人物の人間関係を漂うように、気持ちよく読ませていただきました。いろんな人が、いろんなところでつながっていて、それってすごいことで、でも結構身の回りにもありそうな、そんな心地よさを感じさせてくれる小説です。

  • 作者には珍しい、恋愛をテーマにした短編2編に導かれて紡がれた連作短編集。

    3作目に至ってやっと、登場人物たちが時制を変えて繋がっているのに気がついて、登場人物たちの名前と、その年齢を別紙にメモしていった。ただし、言っておくが、これは短編集の第一作からやった方が愉しめる。初期の伊坂幸太郎のように、時制の捻れや、恐ろしい悪人や超能力者は登場しないので、驚きの発見を愉しめるのは3作目辺りからだし、最終編ではキチンとほとんど解説してくれているから早くしとかないと無駄になるからである。(もっとも、メモしていたから解説編は全くこんがらがらなくて済んだのではあるが)

    これを読むと、たまたま車のフロントガラスにバズ人形をくっつけていると、例えば駐車場でたまたま道を聞いて来たような若い彼氏のいない女性が、それを見て、「トイストーリー好きなんですか?」ではなく「伊坂幸太郎好きなんですか?」と聞いてくる幸運は、あってもいいではないか、という気がしてくる、ちょっと伊坂には珍しいハートウォーミングな作品がほとんどだった。

    ところで、文庫解説において
    吉田大助氏が「伊坂幸太郎は友愛の小説家だ」と規定していた。それには、私は異議がある。60%は同意するが、あと40%の伊坂幸太郎を「友愛」というオブラートに包んで意図的に隠そうとしている気がするからである。私は50%か、或いはそれ以上は、「伊坂幸太郎は社会派の小説家だ」と思っている。いや、違う!と伊坂幸太郎ファンで言う人は多いだろう。伊坂はそう言われるのを1番嫌っているんだ、と。本筋とはあまり関係ないが、この作品でこういうくだりがある。

    「でもまあ、危ない目に遭わないで良かったよ。こんなことを言うのもなんだけど、正義とかそういうのって曖昧で、危ないものなんだから」
    「はい」織田美緒は意外にも殊勝にうなずいた。「お母さんに言われます。自分が正しい、と思いはじめてきたら、自分を心配しろ、って」
    「へえ」
    「あと、相手の間違いを正す時こそ言葉を選べ、って。というか、先生、どうしてここに来たんですか?わたしたち揉めているのを察知して?」(187p)

    伊坂幸太郎は、街の自転車駐車場での小狡い料金詐欺から、国家的な陰謀まで、ほとんどの作品でこのように「言葉を選び」「謙遜しながら」「正義」を語って来た作者である。本来ならばそんなことはせずに、もっと堂々とエンタメの極地の恋愛や性や(戦争・冒険という)かっこいい生死を描けばいいのである。しかし伊坂幸太郎は、それを避けて「言葉を選び、謙遜しながら、正義を語って来た」と、わたしは思っている。そうせざるを得ない伊坂の動機があるからだと、わたしは思っている。伊坂幸太郎の観る社会を、読者であるわたしたちは、キチンと受け止めるべきなのではないか。

    本筋とは関係ないけと、そんなことも思った短編集でした。

    2017年9月20日読了

  • ★4.0
    全6編が収録された連作短編集。時に厳しく時に優しい人生が、広いようで狭い人間関係と現在・過去・未来を交えて描かれる。そんな物語の舞台となるのは、駐輪場やファミレス等、誰もが知っている馴染みのある場所。そして、それぞれに何らかの欠点や不得手があるけれど、それがあるからこそ、誰かと一緒に生きていくのだとしみじみと感じさせる。それにしても、個々の状況に合わせたフレーズを聴かせてくれる、“斉藤さん”がすこぶる素敵!殺し屋たちが登場する奇抜な作品も良いけれど、ちょっぴり緩くて温かい本作の方が好きかも。

  • 短編の連作集。
    相変わらず時間軸の使い方と話の繋げ方がうまい。
    語る順番で、こんなにも話にメリハリがつくんだなぁ。
    とても心温まる話でした。

  • お得意の連作短編集で、安心感というか安定感は相変わらず抜群。まあハズレませんわな。今回はミステリ要素とは無縁だったけど、何気ない青春モノというか家族モノも、伊坂ワールドに組み込まれるとこうも楽しくスリリングに。脇役にはなるんだろうけど、ボクサーの彼が好きでした。

  • ようやく読んだ。
    斉藤和義の曲を聴いて以来ずっと気になっていた。

    陽気なギャングシリーズや他の作品は読んでいた。
    作品の中で描かれる言葉遣いがとても心地よいと思っていた。要は好きな作家だ。

    そして、この作品だった。
    短編連作。
    積み上げられていく物語。
    ロバート・アルトマンの映画のようなテンポ。

    物語の終盤、リングに立つラウンドボーイの登場につい涙してしまった。
    なんだよ、熱いじゃないか。

    やっぱり好きな作品だった。

  • 読み始めて間もなく、どこかで読んだことがあるだろうか?と思い、斎藤和義の歌だと気づく。

    登場人物が友人、恋人、娘息子、兄弟として繋がっているのがおもしろい。20年間の時空を行き来するのでメモは必至であった。
    〈19年前〉日本初のヘビー級チャンピオン誕生となるも、再戦で敗北
    佐藤(マーケットリサーチ会社勤務)27歳
    織田一真(佐藤の大学時代の友人)27歳
    織田由美(佐藤の大学時代の友人)27歳
    美奈子(織田由美の高校時代の友人、美容師)27歳
    小野学(ウィンストン小野)27歳
    板橋香澄(小野学の姉、美奈子の客)29歳
    山田寛子(化粧品会社勤務、美奈子の友人)
    藤間(佐藤の上司)39歳
    耳の悪い少年(中学生)
    〈その10年後、現在から9年前〉
    ウィンストン小野36歳VSオーエンスコット25歳
    織田美緒 16歳
    藤間亜美子16歳
    地味な男子生徒(合唱コンクール口パク問題)
    久留米和人16歳
    窪田結衣(山田寛子の部下)28歳
    ラウンドボーイ(耳の悪い少年)

    〈現在〉
    モデル(耳の悪い少年)
    漫才師、司会(口パク男子)

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アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)の作品紹介

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)の単行本

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)のKindle版

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