ウツボカズラの甘い息 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.68
  • (100)
  • (286)
  • (220)
  • (31)
  • (7)
本棚登録 : 2474
感想 : 219
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344428027

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 平凡な日常が変容していく序盤。
    トリッキーで、これまでの前提が崩れていく怖さが感じられる中盤。
    しかしラストの、とくに犯人の動機の描写の薄さにちょっと物足りなさを覚えた。

    なんとなく五十嵐貴久の作品に似たテイストだと感じた。
    平均点は越えているが、もっと高みに向かうのではないかと読み進めると、え、この程度でおしまいなの? という感覚。
    リーダビリティの高さも共通する。両者とも素晴らしい。

    刑事の人物造形にページをさく必要があったのかは疑問だが、中川巡査の成長を別の作品で読みたいと思えた。

    ぜんぜん期待していなかった松井玲奈の解説が、想像を超えて的確でしっかりしていたので驚いた。ごめんなさい。

  • ジェットコースター的な。
    貧乏でいじめられた小学時代。ダイエットしてもてはやされた中学時代以降。今は二人の娘がいる太った主婦。ひょんなことから中学の変わり果てた同級生に会い、化粧品のセミナー講師をすることに。\500,000/回。セミナー・・・マルチ商法ぽい。罠にはまる主婦。
    事件を追う男女刑事。主婦が会ったと言っている同級生は既に死者。いったい誰が?って、さくさく読み進める。知らんわ、誰それ、となるが。うまい話にはご注意を。

  • いい話ミステリ、ではないけどなんか変に元気になった。
    重要な女性ふたりが、やたらにガッツあるからだろうか。よく、あたまのいい犯罪者とかむだに行動力のある迷惑なひとに対して“それだけの頭脳や行動力あったら、なんとでもできただろうになんでそんな”みたいなことをおもうけど、ちょっとそれに近い。すごいガッツなんだけど、なんでそうなっちゃうのって。
    でも、根本的なとこがぐらんぐらんな不安定なものの上にどんどんお城を作ってしまうような、元を断つのではなくて目先のしあわせに目が眩むってやり方はなんとなくわかる。共感できる。

    刑事ふたりは、あまり魅力的に感じなかった。魅力的である必要もないというか、ほんとうに記号みたいな刑事ならそれもそれでいいんだけどなにかいろいろありそうなかんじはあったので余計に。
    これはもしかしたらシリーズなのかな。違う作品で刑事の背景も描かれているのかな。
    秦さん。何様。と最初から最後までおもいつづけてた、何様。
    途中態度を軟化させるけどそれはべつになにか思い直したりではなくて単に“おれのおめがねにかなった”的な軟化だし。
    物語の登場人物で現実にこんなやついたらたまったもんじゃないけど物語の中に居る分にはとても魅力的、というひとがいるけど、それと逆で、現実ならこんなかんじのひとにいちいちひっかかりは感じないし喧嘩腰でもなく、ふつうのおじちゃんてかんじなんだろうけど物語の中でみるとちょっと気が散る何様ぶりではあった。

  • 全てが最後に綺麗に繋がっていくストーリーは
    読書後とても爽快な気持ちになりました。
    違う登場人物の視点もみたくなる作品でした!

  • マルチ商法に巻き込まれて行く文絵の物語と同時進行で進んで行く殺人事件がどこでどう繋がるのか予想が付かないまま読み進めて行くと、思いがけない文絵の家族の過去が判明したり、又ジェットコースターの様に展開して行く犯人像にまんまと作者に転がされながら終盤まで辿り着きました。

    殺人と巨額詐欺、この交錯していた2つの事件がラストでは全てのパズルのピースが収まるべき所に収まりましたが、終盤はやや急展開過ぎた感が残りました。

    人間の心の危うさ、脆さが描かれた読み応えのある作品でした。

  • 前半は中々読み進みませんでしたが、
    後半は一気読みでした。
    サングラスの女性が生きているのかいないのか
    最後までハラハラしました。

  • 中盤までは面白くスラスラ読めた。
    好きな、悪女ジャンルっぽく怪しく惹きつける女が周りを嵌めてゆく。
    終盤になると事件の真相解決が駆け足すぎる。過去の登場人物が突然たくさん出てくるけど中途半端。

    つまらなくはなかったけど、狐狼の血のようにもっとゾワっとさせて欲しかった。

  • 途中までは文絵の状況がしんどくて読み進め辛かったが、後半どんどん気になってしまい一気に読んでしまいました。
    意外な展開で面白かった。

  • 人の心の弱み入り込んで全てを奪っていく
    サングラスの女

    自分の欲のためにどれだけ犠牲になったのか…

    誤認逮捕のふみえさん
    どうなったんだろう
    気になる

  • これは一気読み。ひきつけられました。

全219件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
池井戸 潤
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×