鬱の力 (幻冬舎新書 い 5-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344980877

感想・レビュー・書評

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  • 共感できなかった。

  • 2013年6冊目。

    「鬱とは『強すぎる感受性』のことではないのだろうか。接し方によっては力なのではないか」
    そんな仮説を自分の中で持っていたが、この本によってその仮説がある程度肯定された気がする。
    治療すべき「うつ病」はあるにしても、今の時代の暗いニュースに囲まれて、「少しばかりの鬱」を感じることはむしろ健全であると説かれている。
    僕自身PTSD(心的外傷後ストレス障害)と併発してうつ病が診断され治療中の身だが、
    「他者を憂える力」という意味での憂鬱は完全に失いたくはないという気持ちもどこかにある。
    その意味が、この本を読んで分かった気がする。

  • 鬱な時だからこそ見えてくるものもあるという見方は興味深かったですが、話題があちこち飛びすぎて今ひとつまとまりに欠けているように思えました。

  • 今の時代は、昔は、躁か鬱か、とかいう話をつらつらと話してる、だけ!?っと言ったら失礼かなぁ。
    誠に恐縮ですが、何か薄っぺらい内容、、と思ったわけで。
    新書本、特有の、か。

    ただ、心療内科っていうのが身近なものになってきた、という話については、心療内科という存在を、昨年に初めて知った俺にとっては、まったくその通りだと思った。
    実体験だが、、心療内科も、良し悪しが特にあるので、病院選定にはご注意されたし!

    ということで、話は逸れたが、
    信仰について、死について、鬱について、躁について、医療について、とか脱線脱線しつつ、総じて、鬱の話に戻る、的な本です。
    これからは「どうなる、こうなる」という話を、お二人でつらつら語っています。

  • [ 内容 ]
    「鬱の気分」が日本を覆っている。
    「鬱」イコール悪と思われているが、本当にそうだろうか?
    「鬱」こそ人間の優しさ・内面的豊かさの証であり、治療が必要な「うつ病」とは分けて考えるべきではあるまいか。
    同じ問題意識を抱いた作家と精神科医が、うつ病の急増、減らない自殺、共同体の崩壊など、日本人が直面する心の問題を徹底的に語りあう。
    戦後六十年の「躁の時代」を経て、これから迎える一億総ウツ時代に、「鬱」を「明日へのエネルギー」に変える、新しい生き方の提案。

    [ 目次 ]
    はじめに-時代は「鬱」へ向かう(精神科が特別な場所でなくなった 「ちょっと鬱」くらいが正しい生き方 鬱には生命力が秘められている)
    第1部 鬱は「治す」ものなのか(精神医療の現場で起きていること 「なぜ人を殺してはいけないか」と問われたら 「欝な気分」と「うつ病」は違う いまの医療の常識が揺らいでいる 代替医療の流行が問いかける問題 泣くこと、悲しむことから力をもらう 最後には神を信じるアメリカ社会 神なき人生のよるべなき不安 死刑は被害者遺族の心を癒すか 哲学もまた「悲哀」から生まれる)
    第2部 日本社会は劣化したのか(時代の先端に立つ人の心が壊れていく 脳は本当にすべてを支配しているのか 生死に関わることを厭う医師たち 病院をコンビニと同じに考える人たち 見えないアパルトヘイトが進んでいる 逸脱した存在を受け入れる豊かさ 一つの人格だけでは生きていけない 崩壊するコミュニティ、病んでいく心 自殺は単なる「一人の死」ではない 高齢期のメランコリーを乗り越えるために あらゆるものは変化していく)
    第3部 「鬱の思想」を生きる(雪は「美」か、「病んだ自然」か 言葉の力がもたらす奇跡 歴史は熱狂と閉塞を繰り返してきた 性のタブーが破られた果てに 時代が鬱だから明るさを求める 人にはなぜ「あの世」が必要なのか 打つの悲しみは仏さんの悲しみ 「人生は苦である」という出発点) おわりに?鬱は力である(文明は鬱のなかで成熟する 自分だけのために生きるのでなく)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • お二人とも冷静にいろんな角度から、鬱と社会とを観察しているため、読者に的確な俯瞰的視点をもたらしてくれる。

    現在が鬱の時代であることを、受け入れることが大事である。
    新しい社会はそこから始まるということを感じることができた。

  • 2009.6

  • 正直、もっと、内容が濃いことを期待していました。なぜ、「九州の人はこんなで、東北の人はこんなで…」
    という話ばかりなのでしょう?

  • 香山さんと五木さんの鬱に関する対談。
    「鬱」は最近のはやりだ。
    そしてそれを加えるとプラスイメージになる「○○の力」という表現もブームのようだ。

  • 前職時代は、あまり話題にならなかったのですが、業界的にも、時の流れ的にも鬱が話題になるようになりました。自分自身も一時、そんな状況に・・・

    さて、この本は、五木寛之さんと香山リカさんの対談形式になっています。
    まえがきにもありますが、「治療すべきうつ病と、人間本来の感情である『鬱』はわけなければならない」という言葉はとても印象に残りました。

    また、高度経済成長やバブルの時代は「躁」の時代であり、現代は「鬱」の時代であろうという分析も興味深いものがありました。
    そして、躁の時代は熱狂を伴って暴走を引き起こしかねないという指摘。

    その他、宗教的観点などにも思索はおよんでいます。

    そして、この「鬱」をネガティブにとらえすぎず、力に転換していこうと訴えかけています。

    自身の経験にも照らしてこの訴えかけには応えていきたい。

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著者プロフィール

1932年、福岡県生まれ。作家。生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。戦後、北朝鮮平壌より引き揚げる。52年に上京し、早稲田大学文学部ロシア文学科入学。57年中退後、編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞受賞。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『百寺巡礼』『生きるヒント』『折れない言葉』などがある。2022年より日本藝術院会員。

「2023年 『新・地図のない旅 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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