- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396334352
感想・レビュー・書評
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辛い境遇にありながら優しく見守られ強く生きる女性を描くのがうまい。
正念母子のストーリーは思いやるが故に会えない辛さがなんとも物悲しく久々に涙することに。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「墓寺」で湯灌の儀式を務める女性を主人公にした四編の時代連作集。数奇な運命に弄ばれる第一話、ミステリ色の濃い第二話と三話も良いが、母子の思いやりの深さが伝わる第四話が心に残る。江戸の葬儀に関する諸事情がうかがい知れるのも興味を惹かれる。
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女性版・江戸版「おくりびと」のような。
心温まり、ミステリー要素もあり。 -
「あい」に次ぎ読み入る。真っ直ぐな慎ましさが愛らしく愛しいヒロイン"お縁"。脇を固めるキャストも愚直かつ優しさに溢れる。沁みる章、プチミステリー捕物の章…それぞれとも流石の泣かせの結び。とにかく四季の表現使いまで沁み込んでくる♪。
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続編が出たのを機に再読です。
思った以上に忘れていて、ほとんど初読のイメージで読みました。
読み返してみると「みをつくし料理帖」とも共通する主人公を取り巻く群像の描き方の上手さを感じます。
基本、全員善人。けなげな主人公。辛い過去を持った人、主人公が憧れる人、優しく見守ってくれる人。何となく対比表ができそうです。たぶん、高田さんにとって落ち着く形なんでしょうね。
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10-015 2010/02/12 ☆☆☆☆
4つの連作短篇です。
父親の遺骸を手厚く湯灌する青年僧の姿に感動した娘が、自ら湯灌を行う者(三昧聖)となって経験する人の姿を描く人情物時代小説です。
湯灌と言う極限の場を扱いながら、少女を主人公にした物語であり、どこか清潔感に溢れ、人情者として見事な出来になっています。ただ、最後の作品がどこか捕り物調的になっているのが気になります。もし、続編を書かれるのなら(そして是非書いて欲しいのですが)、この方向には行かないで欲しいと思います。
ネットを見るとこの本の読者の多くの人が映画「おくりびと」を思い起こしています。舞台が現代と江戸時代、主人公が中年男性と少女という違いが有るにせよ、確かに全体に似た雰囲気があります。この本の初出が2008年6月、「おくりびと」の公開が2008年9月ですから偶然なのでしょうかね。 -
三味聖として、新仏さんの湯灌を行うお縁を巡る物語集。
私にとっての一番は「落合蛍」。蛍のように、やさしく、はかなく、悲しい物語。
小説家としての高田郁さんの処女作とか。
どんな物語を書いていきたいのか、思いがにじみ出た作品でもあるのでしょう。 -
時代物でこういう分野は初だった。 現代にあるものは当然昔もあったんだよなぁ。。。
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三味聖のお縁の物語。
聡明でもの静かな娘、お縁とその周辺の人達の人間物語。
江戸時代のしきたりや人間模様がわかりやすく、すぐに入り込める文章が心地よい。
主人公のまっすぐな性格や周辺の人達の支えがさらに良い読後感を与える。
人間として優しくなれる一冊でした。 -
葬儀。屍洗い。江戸時代の「おくりびと」とか「Six Feet Under」的な。個人的には最後の章で正念さんが全部持っていった。
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父に先立たれ、寺に引き取られたお緑。三味聖という遺体洗いの仕事をしている。おくりびと、と似たテーマだ。
人からは、ひどい仕事だと忌み嫌われるが、遺族はその場に立ち会うと、お緑をありがたがる。
寺に運び込まれる、子供やお年寄りを巡る、涙のエピソード満載。