ボタニカ

著者 :
  • 祥伝社
3.60
  • (51)
  • (147)
  • (127)
  • (20)
  • (9)
本棚登録 : 1536
感想 : 176
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396636173

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本の植物分類学の父といわれる「牧野富太郎」の生涯。
    (2023年のNHK朝ドラで取り上げられるが、本書とドラマの原作とは別)

    首尾一貫、富太郎の植物への愛と情熱がひたすらに書かれている。
    賢すぎて学校が退屈で、それより野山に出て採集したほうがよいと小学校を卒業しないまま己の道を突き進む。

    一生を植物に捧げ、研究成果や発表も素晴らしい数をもたらした。

    でも、

    それ以外は尊敬できる面がない人なのだ。

    裕福な家に育ち、金銭感覚はゼロ。
    借金に借金をかさねても、学問のためだとさらに金を使う。

    家族ができても家に留まることがない。
    最初の妻とは顔もあわせない。若い女を孕ませて、そっちにのりかえても金だけは送ってこさせる。
    病で子どもを亡くしたのに、また子を作ってはひもじい生活。

    援助をしてくれた恩人にも約束を反故にする。


    こんなにひどい人間なのに、植物への探究心に、人たらしなのか、慕う人も多かったらしい。

    素晴らしい面を差し引いても不快にしか感じなかった私には理解できない世界だった。

    これだけ専門知識を書かれているのに、本書に植物の絵が表紙と中のタイトルページの2点しかないのにも違和感。

    各章ごとに1点でも挿絵くらいあったら、もっとイメージを膨らませられたと思う。
    (こだわりの牧野博士がお許しになるはずない!という意見が出そうだな、とも思うが。)


    朝井かまてさんの「類」を読んだが、ドラマチックに話を膨らませるでもなく淡々と悶々と時間が経過していくのが、息苦しく感じられた。


    朝ドラではフィクションとして描かれ、神木隆之介さんが演じるそう。
    胸糞悪いところはバッサリ切られて美談になりそうなのかな…?

  • 何かを成し遂げる人は、こういうところがあるのだろうけど、身内には絶対欲しくない。
    このての人が小説の主人公となると、いろいろ破綻してるけどチャーミングなところがあるので、周囲の人に感情移入できるのだけど、全くできない。

  • 主人公の熱意や信念、行動力、業績には感心するが、その過程で実家を食いつぶすなど、周囲の人々への迷惑を全く省みない行状や行動様式には感情移入しにくいものがある。

    こういう人でないと並外れた業績を残すことができないのかも知れないとも思ったりするが。

    昭和天皇から国の宝と言われた場面は、とはいえ、深い感慨を禁じえないものであった。

  • すごく面白かった! 牧野先生の人柄がリアルに伝わってくる。植物への愛の深さ、研究の仕方や業績への執着、どれも生々しくて魅力的。
    周りの人たち、大変だっただろうなとも共感してしまうほど人間関係も面白い。
    ラストに至るまでの道筋も、パーっと花が咲いたかと思われてからの波瀾万丈!
    大河ドラマに、きっとなる。

  • 「日本植物学の父」と呼ばれた牧野富太郎氏の
    生涯を描く作品です。

    命名した植物はなんと1500以上あると言われて
    います。つまりそれだけの新種を発見している
    ということです。

    時代小説の大家である著者らしく、明治・大正
    ・昭和を生き抜いた主人公の生きた時代の目線
    で書かれている文章も高尚で素晴らしいです。

    ちなみに2023年度上期の朝の連続テレビ小説の
    主人公は牧野富太郎氏だそうです。

    神木隆之介君が演じるとか。

    しかし原作は本作品ではないです。それでも波
    乱に満ちた牧野氏の人生がどう描かれるのかが
    楽しみなる一冊です。

  • 植物好きは、読むべきです。

  • はた迷惑なのになぜか憎めない、まさに一つの才能が突出している人にありがちな方だったようだ。それでいて、ちゃんと周りに助けてくれる人が現れるのが不思議……ピンチにちゃんと救世主が現れる。特に彼の場合は二人の奥様の存在は何物にも代えがたいだろう。現代感覚で判断してはいけないのは十分承知の上でも、出来過ぎの奥さんだと思う。偉大な功績がどう成し遂げられたかは家族の物語でもあるようだ。

  • 牧野富太郎の伝記小説.
    奇人変人と言われながらその業績の素晴らしさ.草や樹々に語りかける富太郎の姿が初めから最後まで貫かれていて見事だ.ただ周りにいる人々特に妻や子供たちは大変だったろうと思うが,彼らが富太郎を恨むことなく支えているのはよほど捨ておけない魅力があったのだろう.
    富太郎の植物誌にかける情熱にお腹いっぱいになった.

  • 周りの人達とお互いに理解しあえない悲しさがあまりにもくっきりと映し出されていて素晴らしい もう少し相手を思いやる事ができたらと思うけれど叶わないのが残念

  • 前妻後妻のまっすぐなところがまた。

全176件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝井まかての作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×