ボタニカ

著者 :
  • 祥伝社
3.60
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本棚登録 : 1538
感想 : 176
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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396636173

感想・レビュー・書評

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  • まかてさんの新作は、昨年刊行された『白光』に続き、明治期に現れた偉人を扱った伝記小説だった。今回取り上げられるのは日本植物学の父・牧野富太郎。
    ぼくは小学校低学年の頃、長野(山梨かも?)あたりの寺に泊まり込み、植物・昆虫採集をメインとしたイベントに(強制)参加させられ、その時に牧野さんの名前が頭に刷り込まれた。とても楽しみにページを開いたのだが……。
    どうも思っていたのと違い過ぎる人物像で、物語が進むほど読む手が遅くなる。あまりの無責任さに怒りすら覚える始末だった。研究者としてはすごいのだろうけど、人としては最低だ。

  • あまりのボリュームになかなか進まなかったとき、この本の特設サイトを発見し、朝井まかてさんのコメントを読み心に響いた。朝井まかてさんの本を読んでいると不思議とポカポカと暖かくなる。
    主人公の部屋で標本が主人公を呼び掛けるシーンが好き。

  • 牧野富太郎博士の生涯がとても良く分かりました

    研究一筋で借金まみれ。生活能力がない富太郎氏を、祖母や2人の妻が良く支えたものです

    並外れた実績を上げる人は、これぐらいでないとダメなんですね

  • 明るく前向きな感じが、周りも明るくなる。
    何とかなる。という自信はどこからくるのか
    好きなものがあるって、力になるんですね。

  • NHKの朝ドラ『らんまん』、絶好調のようです。過日、このドラマについてFacebookにアップした際に、友人から朝井まかての『ボタニカ』を紹介してもらったので、読んでみました。

    久々に小説を読む楽しみを味わいました。広辞苑が横にあった方が良いんですが、調べるのがまったく苦にならないんです、これが。最終章から少しだけ紹介すると、「闊い」、「圭角」、「頤」等々。

    読み進むうちに、
      類稀なる天才だけど、人間的にはど~なのよ!
      奇人変人を遥かに通り越してる!
    と呆れるばかりでした
    「第十一章 奇人変人」で娘婿と富太郎が次の会話を交わしています。
      「お義父さんに社会的な常識や実務能力を求めるなんて、土台が無理なんですよ」
      「そうでもないはずだと、自分では思うとったがなあ」
      「本物の奇人変人は自覚がありませんからね」
    が、最後の二章(「恋女房」、「ボタニカ」)で牧野富太郎という天才をなんとか受け入れることができました。「恋女房」の章で、猶(佐川における妻:この事実は自伝にも多くの評伝にも記されていないそう)が次のように言っており、これで私もなんとか牧野富太郎を受け入れました。
      「ただひたすら、あなたに夢中だったのかもしれませんねえ。草木に夢中なあなたに」

    とは言え、こんな人とは絶対に関りを持ちたくないという思いに変わりはありません。

    実家の造り酒屋を潰し、明治に作った借金の二千円(現在だと4,000万円相当)は三菱本家の岩崎家(土佐出身の縁)が返済、大正に作った借金が三万円(現在だと1億2,000万円相当)は神戸の資産家が返済(富太郎の植物標本を買い取り、それを富太郎に寄贈:神戸に植物研究所を創ることが条件となっていたが、これが進まず資産家との間でトラブルになる)。開いた口が塞がらないとはこういう時に使うのでしょう。

    アインシュタインもモーツァルトもアスペルガー障害であったと言います。おそらく牧野富太郎も同様であったのでしょう。

    NHK朝ドラ「らんまん」は牧野富太郎をモデルとした『フィクション』とのこと。今日(06/30)、祖母が他界して一区切りとなりましが、これからどのように描かれるのか関心が高まります。

  • なかなか長い本だったので4日くらいかかった。
    そしてブクログの感想を見てても「主人公がダメ男すぎる」という感想ばっかりだった。だから結局はそういう話なのかなと思っていたけど、読み終えた結果は割と気に行った。

    植物研究をする、かなり研究くるいの主人公の執着にもぐっと来たし、身を滅ぼしそうなくらいにお金を使い込んでも研究することなんて私にはできないから。借金抱えるくらいならやめようと思ってしまうのが普通なのでは?
    助けてくれる人が現れて、うまく行かなくなったとしても自分の意志を曲げない、そういう自分のやり方やプライドを持ってる人ってすごいなぁと思った。たしかに他のことに関してはダメ人間だったけど。

  • ボリュームはあったけど…ただ疲れた…
    こんなにも自己中な人に振り回される周りの人たち、お気の毒すぎ…
    やっぱり1つのことにあまりにも傑出した方はどこかヘンということね。

  • 牧野富太郎博士は、日本の植物学の父といわれる人。常にフィールドワークをし続け、机上の学者であることを拒否し続けた。その一生が、丹念な調査と想像力で生き生きと描かれている。私は山野草が好きなので、とてもありがたい方、と思って読み始めたが、そのとんでもない人生に、驚きの連続だった。あまりに奔放すぎるので☆ひとつ減らしてしまった。
    学問のためとはいえ、途方もない借金を抱え、当人はひたすら日本各地を飛び回って植物採集する。夥しい標本を作り、世界の識者に問い合わせ、高価な本を買って調べ尽くす。のちに実績は認められても、小学校中退の学歴と、なりふり構わない仕事ぶりが災いして、職場の大学教授からは疎まれることが多く、敵も多かった。ようやく博士号が与えられたのは64歳の時である。

    さらに、時代とはいえ、妻となった人たちにも衝撃を受けた。
    最初の妻、猶(なお)については、家業のため祖母が取り決めた縁談であるとはいえ、富太郎もほとんど愛情を感じていないような描かれ方だ。しかも、東京で富太郎は子をなして結婚するので、重婚状態が長く続く。
    上京して見初めて結婚したスエには、貧乏も底が抜けるような生活をさせ続けた。子供13人(中育ったのは7人)という子沢山。家賃を払いきれず30回以上の引っ越し。それでもスエは、子供たちに「うちに金がないのは学問のためだから、恥じることはない」と言い聞かせていたというからすごい。
    猶はもっとすごい。困窮するスエを見かねて金銭的援助を惜しまない。言ってみれば自分を捨てて走った先の女である。それでも主人に恥をかかせまいとする姿は、武士の妻のようだ。スエからもまめに手紙を送り、猶との交流を深めていた。このつながりは、奔放すぎる男に振り回される女たちの共闘であったのかもしれない。猶の援助は、ついに身代が潰れるまで続くのだ。
    猶は、作中で結婚式と葬式の場面に現れるのだが、どちらも見事な存在感を見せて、出色の描写だ。
    読み進むにつれ、女性たちが気になってくる。2人には、富太郎はどう映っていたのだろうか。ともに結婚していた相手である。猶も、スエも、富太郎のために尽くした。猶とスエの視点から書かれたスピンオフを想像して、今、それを読みたくて仕方がない。

  • 次回の朝ドラ『らんまん』の主人公、牧野富太郎の一生。ボリュームもすごかったけど、彼の人となりもなかなかだった。植物への情熱はすごいけど、支えてくれた人達への気配りがまるでなく、猶さんへのあの仕打ち。よく耐えたなと思う。好き勝手させてくれた祖母が守ってきた代々の家もあっさり潰してしまい、子沢山なのにお金を湯水のように使う。マイナスなイメージを持ってしまったので、別の観点から書かれた牧野富太郎の話も読んでみたい。

  • Kindleで読んだ。
    小学校中退ながらも独学で植物研究に没頭した牧野富太郎。東京大学理学部植物学教室に出入りを許され、新種の発見など目覚ましい成果を上げるが…。稀代の植物学者を描く長編小説。


    造り酒屋「岸屋」の跡取りとして生まれ、小さい頃から植物の観察をしていた富太郎。
    好きなものに一直線!努力をおしまず突き進んでいく。
    小学校の臨時教師になった時は、学ぶことの楽しさを教えてくれるような教師だった。
    “教えること、すなわち一方的に伝えることではない。教えることは、自らで何かに辿り着く瞬間を辛抱強く待つことでもある。”

    植物が全て!な富太郎なので、夫として父としてはかなり問題あり…。
    必要と思った本はすぐに買うので家計は火の車。
    “お前、こんな男によう従いてきたなあ。”と本人が思うほど。

    2023年前期の朝ドラとして神木くん主演でやるんだよね。
    久しぶりに朝ドラ観ようと思う!

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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