微笑む人

著者 :
  • 実業之日本社
3.09
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536071

感想・レビュー・書評

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  • 真面目で紳士的な銀行員だった仁藤俊実が妻子を殺害したという事件を、小説家の私がその背後関係を追求していく話だが、仁藤の過去を探っていくと次々に不可解な殺人事件が判明する.最終章で私は仁藤の小学校時代の同級生に会って話を聞くが意外な事実が判明する.面白かった!

  • 内容紹介
    エリート銀行員の仁藤俊実が、意外な理由で妻子を殺害、逮捕・拘留された安治川事件。
    犯人の仁藤は世間を騒がせ、ワイドショーでも連日報道された。
    この事件に興味をもった小説家の「私」は、ノンフィクションとしてまとめるべく関係者の取材を始める。
    周辺の人物は一様に「仁藤はいい人」と語るが、一方で冷酷な一面もあるようだ。
    さらに、仁藤の元同僚、大学の同級生らが不審な死を遂げていることが判明し……。
    仁藤は本当に殺人を犯しているのか、そしてその理由とは!?

    貫井氏が「ぼくのミステリーの最高到達点」と語る傑作。
    読者を待つのは、予想しえない戦慄のラスト。

  •  図書館より
     異常な動機で妻子を殺した仁藤俊美。彼の実像に迫る作家の姿をルポタージュ風に描いた小説。

     派手さはないのですが話の引き込み方がとても巧いということは感じました。証言が中心の作品ですが、次々と現れる意外な仁藤の人物像に引き込まれていきます。

     本棚のカテゴリから考えてミステリー・サスペンスに分類したのですが、それではこの本をちゃんと捉えきれていない気もします。この本の結末はミステリ系の好きな読者、何らかの事件が起こった際、犯人の実像に迫ろうとするワイドショーやその視聴者に対する強烈なアンチテーゼのような気もします。

     評価が何とも難しい作品ですが、こういう悪が増えてきているように思える昨今では、この結末は書かれるべくして書かれたものなのかもしれません。

  • 好き嫌いははっきり分かれると思いますが、
    私はとても興味深く拝読しました。
    壮大なルポタージュが、
    衝撃的な幕切れへの長い長い前置きだったなんて!

    結局、自分の気持ちや考え方を
    100%理解してくれる他人なんていない。
    (というか、不可能だということ。)
    そして、人は自分の見たいようにしか物事を見ないことや、
    大衆心理や民意の恐ろしさ。

    「これを読んでいるアンタも、心に闇を抱え、
    勝手な思いこみで毎日を過ごしている愚かな一人なんだよ!」
    と貫井さんに突き付けられた気がします。

  • 不可解な理由で妻子を殺害したエリート銀行員。周囲の評判とその犯行内容の異常さとのギャップから犯人に興味を持ち調べ始める小説家。周辺へ聞き取りをするうちに浮かび上がる数々の不審な死。果たしてこのエリート銀行員は本当はどういった人物なのか・・・とうストーリー。
    ルポルタージュ風ですが、読ませる力はさすが貫井さんといったところ。特に躓くこともなく、グイグイ引き込まれていきます。この犯人はどういう人間なのか、いろいろ想像を膨らまし結末を楽しみにしていたら最後肩透かし。けっこう好みが分かれるラストかも。たしかにこれもミステリーですが、それを言っちゃお終いでしょ、という気も。
    まぁでも、本文にもあるように「分かりやすい物語を見て安心したかったの?」ってことなんだと思います。主題は。そう考えれば最もな結末なわけで。それでも現実に分かりやすい物語なんてそうそう転がってないんだから、小説の中でくらい分かりやすい物語でスッキリしたかった、なんて個人的には思っちゃうわけです。

  • この結末は、読者の好みによって評価の分かれる作品だと思う。僕は好き。いや、大好き。
    名作「プリズム」の味わいを感じることができる。こういうのも、小説の可能性のひとつではないだろうか。
    一人称の主人公と共に仁藤の原点を模索する。その過程はとても面白く、先が気になってページをめくる手が止まらない。結末に好みは分かれても、この面白さだけは否定できないのでは?と思う。

  • これはオチ、なのか…?という疑問は残るけど(ーー;)でも書き手である作家が、この犯人(だと思われる人)を理解しようとして、真相(らしきもの)に迫っていく過程が面白くてドキドキする。

  • エリート銀行員の仁藤俊実が、意外な理由で妻子を殺害、逮捕・拘留された安治川事件。
    犯人の仁藤は世間を騒がせ、ワイドショーでも連日報道された。
    この事件に興味をもった小説家の「私」は、ノンフィクションとしてまとめるべく関係者の取材を始める。
    周辺の人物は一様に「仁藤はいい人」と語るが、一方で冷酷な一面もあるようだ。
    さらに、仁藤の元同僚、大学の同級生らが不審な死を遂げていることが判明し……。
    仁藤は本当に殺人を犯しているのか、そしてその理由とは!?

  • 初めて貫井さんの本をよませて頂きましたが、なんともすっきりしない結末でした。。謎は謎のまま、それが結論と言えばそれまでですが、残念なかんじです。

  • 本を置く場所が無くなったから、という理由で妻子を殺したと供述する仁藤。
    エリートで整った容姿、勤務先では穏やかな人柄と有能さで一目置かれる存在。
    小説家が、色々な人にインタビューを試み、仁藤の真の姿を探ろうとする。
    ほとんどの人が「彼が妻子を殺すなんて考えられない」と答える中、仁藤の周りでいくつもの不審死があった事がわかってくる。
    途中までは本当に面白かったが、結末がはっきりしないのが、個人的には☆-1.

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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