電車のなかで本を読む

著者 :
  • 青春出版社
3.62
  • (29)
  • (63)
  • (47)
  • (15)
  • (4)
本棚登録 : 1379
感想 : 68
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413232999

作品紹介・あらすじ

良いと思うものだけを刊行してきた、ひとり出版社・夏葉社の代表が、これまでに読んできたなかから、自分の体験をまじえつつ、珠玉の49冊を紹介します。著者は、鬱屈としていた20代、すがるように本を読みました。本のなかには、自分と同じように、思い通りにいかない人生にもがいている人がいたり、自分の狭い考えを広げてくれる先達がいました。本書は、高知新聞別刷り「K+(ケープラス)」に連載された選りすぐりの寄稿文を加筆・修正し、さらに書き下ろしを3編加えました。「ぼくは電車のなかでは原則、スマホを見ずに、本を読んでいました。そうすると、だいたい1週間で1冊本が読めて、年間で50冊本が読めました。10年電車で本を読めば500冊もの本が読めます。それは間違いなく、人生を豊かにしてくれます」(著者)。誰かの人生を支える本を作りたいと願う著者が、読書の素晴らしさを伝えます。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 高知新聞社発行のフリーペーパー「K+」に六年にわたって連載された書評。

    すべての文章は本を読む習慣のない高知の親戚たちに向けて書かれたそうです。
    図書館で借りた本なので読んでみたいと思った本を、どんな本が載っているか紹介を兼ねて以下にメモします。

    本当に読むかどうかはちょっとわかりません。


    第一章 高知から本を思う

    ぼくを救ってくれた一篇の詩
    『さよならのあとで』
    ヘンリー・スコット・ホランド著

    本を読むことの意味
    『パトリックと本を読む』
    ミシェル・クオ著

    好きな街で本屋を始めた人
    『ぼくにはこれしかなかった』
    早坂大輔著

    東京に行って思うこと
    『東京を生きる』
    雨宮まみ著

    第二章 本との出会い

    お気に入りの作家を見つける
    『バベル九朔』
    万城目学著

    古本屋さんへ行きたくなる
    『気がついたらいつも本ばかり読んでいた』
    岡崎武志著

    わからないジャンルの本にチャレンジする
    『寺田寅彦随筆集』
    小宮豊隆編

    本を選ぶコツって?
    『これから泳ぎにいきませんか』
    穂村弘著

    人生に迷っている若い人に
    『べらぼうくん』
    万城目学著

    本は地図に似ている
    『サピエンス全史』
    ユヴァル・ノア・ハラリ著

    第三章 子どもと本

    言葉の本当の意味
    『ことばのしっぽ「こどもの詩」50周年精選集』
    読売新聞生活部監修

    夫婦が不機嫌になったとき
    『中年の本棚』
    荻原魚雷著

    第四章 本から得られること

    海の向こうの出来事を知る
    『ヨーロッパ・コーリングー地べたからのポリティカル・レポート』
    ブレイディみかこ著

    文章でわかる作家との相性
    『うたうおばけ』
    くどうれいん著

    電車の中で本を読む
    『夢も見ずに眠った』
    絲山秋子著

  • 著者の本に対する思いが伝わってくる一冊。

    親戚たちが大勢暮らす高知を故郷のように思い、好きなのがよくわかる。
    素直で丁寧な優しい文章である。

    第一章 高知から本を思う
    第二章 本との出会い
    第三章 子どもと本
    第四丈 本から得られること

    項目ごとにわかりやすく読みやすい。
    どれも著者自身の生活や心情を上手く絡めて、思い入れの本を紹介している。

    本との出会いのなかでも触れていたが、私にも家には「積ん読」があり、(著者の千冊近くには、比べるまでもない20数冊ほどだが)それらがいつでも「読み時」を待っている。
    確かに次はこれを…と思っていた矢先に、いま読んでいる本に影響されて、まったく違う本を読みはじめることがある。
    あるいは、いま読んでいる本に強く反撥して、別のジャンルの本を読みはじめようとする。
    これも頷ける。
    私の場合も短編が続くのは嫌だなと思ったり、長編は誰もいない休みの日にゆっくり読みたいから限られた日になる。
    昔は、通勤時の電車で往復1時間でも楽しめたが、通勤が車になると、いつどこで時間を工面かするかによって、読むジャンルも厳選する。
    偉そうにいうほど拘りもないのだが…。

    みなさんのレビューを参考にしてると、読みたい本がたくさんになり、そしてまた懲りずにこのような本を読んでるという…。



    この人いったい何が好きで何が読みたいの⁈と私の本棚を見てみなさん呆れているだろうな。





  • 大人になって本を読むことにたくさん時間をつかうようになって、ふと罪悪感を抱く瞬間がある。そんな自分を肯定してくれるような優しい文章がたくさん。癒されました。本棚に置いておきたい一冊。

  • 語る:ひとりで出版社「夏葉社」を経営 島田潤一郎さん 情報だけではない本の価値 多くの人より気の合う人へ | 毎日新聞(有料記事 2022/7/10)
    https://mainichi.jp/articles/20220710/ddm/014/200/030000c

    ひとり出版社「夏葉社」の島田潤一郎さん 拙速の失敗を避け、自省を促すための3冊|好書好日(2020.04.01)
    https://book.asahi.com/article/13257043

    「誰かのための座右の書を」 設立10年、ひとり出版社「夏葉社」島田潤一郎の仕事原論 - 産経ニュース(2019/12/17)
    https://www.sankei.com/article/20191217-PQNFNNDHTBLBLAW4QJWYM3X2IU/

    電車のなかで本を読む(仮) 島田潤一郎(著/文) - 青春出版社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784413232999

  • タイトルから、忙しいなか読書の時間をつくっている
    それくらい本を読むのが大好きな方なのだろうなと
    その思いを知りたくてこの本を手に取ってみました。

    〈こころの底から絶望したとき、
    救ってくれるのは、だれかの言葉でしょう。
    それは指針としてではなく、座右の銘でもなく、
    自分の言葉がだれかの言葉のなかに溶けてしまう
    という経験において読者を救います。
    自分の言葉だけでは足りないとき、
    それが足かせになり、牢獄になり、自分を苦しめるとき、
    本を読み、誰かの言葉を膨大に浴びることによって、
    読者はこころのなかの風景を塗り替えることができます〉

    など、おそらくこの本を進んで読んでいる人の多くが味わったことがあるだろう思いが文章化されています。

    そして仕事があり小さいお子さんを育てているなかで
    読書の時間をとるのは本当に大変なことだろうと思いました。

    でも著者が本当にこの本を読んでほしいのは
    都会で仕事と子育てに奮闘している人達ではなく
    本を読む習慣のない、高知の親戚たちのようです。

    自然に恵まれ楽しく暮らしている人たちに
    読書は必要ないかもしれない。
    自分が良いと思うことを人に勧めるのって難しいなと
    あとがきを読んで思いました。

  • 高知県生まれで東京育ちの筆者。大学卒業後アルバイトや派遣社員をしながら小説家を目指していたが、ある日、編集経験のないままに出版社を立ち上げる。
    本に対する思いは人一倍強く、単に好きというのではなく、正面から見据えている。

    付箋が付いたのが三か所ありました。
    ・新書一冊分の知識ですべてを知り得たと勘違いしたときに、本は良薬ではなく、悪薬にもなるのだと。
    ・本はときに、地図に似ています。自分がどこにいるのかわからなくなったとき、本を手にとり、自分が今いる場所をたしかめます。
    ・紹介したいのが」、プレイディみかこさんの「ヨーロッパ・コーリング・地べたからのポリティカル・レポート」(岩波書店)はとにかく面白いですし、政治に少しでも興味があるなら手にとって欲しい一冊です。

    早速、手にしたいですよね。

  • この題名だけで共感して読みたくなってしまいます。電車の中がこの世で一番本を読める空間です。電車通勤万歳。
    夏葉社の島田さんの本は軒並み読んでいますが、こちらはエッセイプラス読書紹介です。読みたい本がまた増えました。

  •  夏葉社の島田潤一郎氏による本にまつわるエッセイ集。夏葉社、サイドレーベルの岬書店含めて魅力的な本がとても多くてよく読んでいる。それらの仕掛け人である著者の本を初めて読んだのだけど、とてもオモシロかった。タイトルからして本好きは間違いなく刺さるのは当然のこと、本を通じた生活や社会にまつわる考え、提案がどれも優しいかつ鋭くて読み終わるのが惜しかった。
     4章で章立てされており、それぞれテーマを用意した中で本にまつわる話をそれぞれ展開していた。毎回1冊の本を紹介しているのだけど、本のレコメンドがめちゃくちゃ良くて本著を読むだけで読みたい本がめっちゃ増えた。それはマイナーなものだけではなくメジャーなものまで。特に万城目学について、雑な映画化によって何となく敬遠していたけど、著者の紹介でとても読みたくなった。どのエッセイにもまっすぐな本への愛が溢れていて、自分が天邪鬼なこともあり余計に刺さった。
     また絶賛子育て中なので、第三章の「子どもと本」は子育ての中における本、読書にまつわるエピソードが読んだことのない視点の連続で興味深かった。この章に限らず本好きに刺さるパンチラインがそこかしこに仕掛けられており、その量と質は今年、いや人生レベルでトップクラス。本が好きな人はもちろん万人に勧めたい本にまつわる本だった。最後にラインを引用。

    *私たちのこころのなかにある、忘れてしまうような些細なこと。けれど、たいせつなこと。それらをあたらしく言葉にしようとする試みを、文学と呼ぶのだと思います。*

    *これらの小説を支えているのは、私たちが日々の生活のなかで忘れてしまうような小さな出来事やこころの動きです。ぼくはその泡沫のような何かに、人生のいちばん魅力的なところがあるのではないと思うのです。*

  • やさしい。
    本を読むこと、本の面白さ、楽しさ…それらにあふれたエッセイ集。
    詠みたい本が増える本でもある。

  • 題名に共感して惹かれ、新大阪⇔東京の新幹線で読了。旅の記憶に本が結びつく感覚が好きだし、今回もこの本をお供に良い旅ができた!

    書評エッセイや本紹介エッセイって沢山あるけど、島田潤一郎さんのこの本は新しい読みたい本に出会えると同時に島田さんどんな人なんだろう?まで知れるのがわたしは嬉しい。

    この本のどこかで「家に1000冊ほどの積読本がある」(たしか1000って書いてあったと思う)と書いてあって、こんな大量に積読してても良いんだって安心した。(何を恐れてるのかわかんないけど笑)

全68件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1976年高知県生まれ、東京育ち。日本大学商学部会計学科卒業。大学卒業後、アルバイトや派遣社員をしながら小説家を目指していたが、方向転換。2009年9月に出版社・夏葉社を東京の吉祥寺で創業した。著書に『古くてあたらしい仕事』(新潮社)、『父と子の絆』(アルテスパブリッシング)、『90年代の若者たち』『本屋さんしか行きたいとこがない』(岬書店)がある。

「2022年 『あしたから出版社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島田潤一郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×