外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々
- ダイヤモンド社 (2012年9月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478020890
感想・レビュー・書評
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外資系投資銀行に勤めた(ている?)経験のある筆者が、高給だがすぐ馘首されることで知られる投資銀行の内幕やその仕事の金融経済へ与える影響を述べている本である。
内幕といっても暴露ものではなく、業務内容の分類やそれぞれの実務の紹介である。リーマンショックやユーロ危機もどうして発生したかを説明し、世界経済に大きな影響を与える理由を解説する。そして、今後のこれらの大きすぎて潰せないといわれる投資銀行の今後について予想する。
読みやすい語り口で綴られているが、その内容は金融危機について書かれた多くの解説書やドキュメンタリーから窺える内容と違いはない。日本の外資系投資銀行のサラリーの話が何度となく出てきて、筆者はいくらもらっていたのだろうかなどと下世話な感想を抱かせるような三面記事的な視点で描かれてところが大きく違うところだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なぜ外資系金融の給料が高いのかわかる。ユーロ危機やリーマンショックなども外資系金融の中に身を置いてあるからので生々しく語られている。
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保険、証券、銀行のやっている仕事の内容や金融行政、業界、各企業内部の現状を批判的に述べる。社会における金融の持つ役割を認めつつも行き過ぎた行動には断固反対の立場
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リーマンショックの頃をなつかしみつつ、復習できる。独特な軽いトーンがとても読みやすい。
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著者の藤沢さんは、『金融日記』というブログでも有名。筆者が身を置いている外資系金融会社の仕組みを批判的に説明する。
サブプライムローンやCDSなどの金融商品によりリーマンショックに至るまでの過程は、『世紀の空売り』や『史上最大のボロ儲け』などで描かれているが、後知恵で言えるならリスクとリターンに関してシステム的におかしかった。
つまるところ、リーマンショックは、ゴールドマンサックスなどの巨大金融機関がToo Big To Failを半分自覚して過大なリスクを取ったがゆえに発生したシステミックな問題から発生した金融危機であることを批判している。暗黙の政府保証を背景として、失敗したときのリスクがせいぜいクビになるだけだというリスクを背景にして、銀行とトレーダーのモラルハザードは進行した。外資系金融会社のトレーダーはそのゆがんだシステムの中で合理的に行動した結果であることがわかる。金融機関の中で働く人どおしの競争意識の問題もあっただろう。そのまま多額の報酬を受け取ったのであるから、個々の立場で見ると全く合理的であったわけだ。
『外資系金融の終わり』と銘打っているが、著者がおかしいと指摘する金融スーパーマーケットは生き延び、どうも終わりには近付いていないように思う。
藤沢さん書く内容は相変わらず論理的だ。「たった2,000万の薄給」などと偽悪的に書くところは、本当に嫌味な感じがするので、悔しいかなその意味でも成功しているのかと。
付けたしのように書かれているが、伝統的なメディアに対する批判も傾聴すべきだと思う。
なお、藤沢さんはヘッジファンドは批判していない。「外資系金融」にはヘッジファンドは含まれず、金融スーパーマーケットとは一線を画している。ハイリスク・ハイリターンであるためモティベーションが健全であるからだ。大手外資系金融およびそのトレーダーがローリスク・ハイリターンであり、そのリスクが納税者に暗黙の政府保証という形で付け替えられていたことを批判しているのだ。おそらくはそのメリットを高い給与という形で受け取っていたんだろうけどね。そこも合理的なんだろうけれど。 -
グロ―バルな金融コングロマリットの実態や問題点、これからあるべき姿などが軽快な文章で紹介されている。
つくづく思うのは「お金」に翻弄されるのは本当にバカらしいということ。「お金」にはこんな世界も広がっていると認識しているのとしていないのでは、実際の生活は大きく違ってくるのではないか、と思う。
銀行は盛大なインチキなのだ。 -
金融業界の実態や経済の重要トピック解説。2012年発刊。
著者の体験談に興味を持った。なぞるぶんには読みやすい。
too big to fail -
4点強。こういう経済合理性を言い切る本は少ない。
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ホリエモンの推薦で読んでみたが、想像より面白くて当たりだった。
金融・証券について知りたくて挫折した事が何度かあったが、これほどわかりやすく書いてくれた本は無い。
読んでよかった。
外資系金融という、雲の上的な世界も知る事が出来て嬉しい。
藤沢さんの目線(金持ち度合い)が成功者視点なので、ひがんでしまう人もいそうだが、、、気にせずに読んだほうがいい。