不良のための読書術 (ちくま文庫 な 28-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.40
  • (12)
  • (20)
  • (41)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 245
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480035646

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 不良の読書家にとって悩めしい所は、
    自分は、果たして著者が好きなのか、それとも、著書が好きなのか、どちらなんだろうかと考えなくてはいけないことです。

    著者が好きなら、その著者が書いた本を、
    全部読まないといけなくなります。
    そうすると作品収集ということをやるんですが、
    幸運か不幸か判断するのが難しいんですが、
    その著者がメジャーな人で、作品が膨大にあるのなら、かなり大変です。
    世の中には、その収集だけで人生を終えてしまう人もいるぐらいです。

    ましてや外国人の著者なら、当然、原書を買い求めるのが当然なので、日本語書籍の何倍もするような本を買いに求めたり、また飛行機に乗って、わざわざ、現地に行かないといけません。

    おそらく、誰にも理解されない、イカれた行為と思われるでしょう。だから、不良なんですが。

    著書が好きな場合は、著者が好きな場合に比べて、
    時間もコストもリーズナブルで済みますが、考えるという負担が、自分に重くのしかかります。つまり、自分は、なんでその本を手にとって、面白く感じたかということです。この読み方こそ不良の読書の真骨頂です。

    コンディションやタイミングによって、読書の質は、かなり左右されます。また、その時に自分が関心あることに、読み方さえも、変化します。

    そんな状態をある程度客観的に知ることは、
    不良の読書家にとって、生命線とも言えます。

    正統派の読書家なら、テーマをまず絞り込み、
    そのテーマに関して、優れた業績をあげている人を、調べあげ、そうすると大概が外国人になるんですが、そのあと原書を揃えます。、また邦訳があるなら、翻訳者が誰であるのか、出版社は、どこかも丹念に調べあげて、一応そろえて、かなり集中して原書も邦訳も、読み込んでいきます。

    しかし、不良には、そんな事は、できません。
    なぜなら、それをするには、フランス語とドイツ語と英語が、かなりのレベルまで、できないといけないからです。

    試しに自分が影響を受けた著者の学歴を調べると、
    面白いことがわかります。私の場合は、8割以上が所謂、難関大学を卒業している方でした。日本人率92%です。ちなみに、所謂インテリと呼ばれる人は、大概が、外国人の著者に影響を受けています、これが残念なのか、どうかわかりませんが。

    著書も好きで、著者も好き、
    これは著者が好きだから、著書も好きとは、
    また違うことで、所謂、ベストセラー作家という地位を築いた人に共通して見れることです。

    有名な人の著書を読むか、無名な人の著書を読むか、これも不良の読書家にとって、また悩めしい問題です。ベストセラー作家や有名な著者というのは、多かれ少なかれ、日本人が読みたいモノ、知りたいこと、問題と思っていることを、作品として提供出来ている人です。これは、とてつもないことで、やはり不良でも読むべきです。

    無名な人の著書の場合、まず著書数が限られるので、次回作は、ほぼありません。そのため著者の問題意識の遍歴を知ることはできません。ただ著者の問題意識に自分が共鳴してしまったことは、やはり稀有な経験です。似たようなことを考える人が、自分の他にもいることを経験した人は、救われます。その経験をすることで、自信が生まれます。それが、生きる希望になることもあります。

  • 結局つまらなくてももったいないなーってなって本は全部読んでしまう

  • ところどころ、というかほぼ「読書」に関する部分は全部、著者の独断。潔いほどに根拠なし。逆にとってつけたような説明文は臭くてだめ。(リミックス云々のところとか特に)
    あと本屋さんとか出版周辺の事情(10年前の)はよくわかる。今では大分変わってるだろうけど。

  • 本はなんて怖くない!

  • 表紙のイラストといい、タイトルといい。
    そそられる人とそうでない人がハッキリ分かれそうだ。

    はじめに言っておくと、出版業界志望者は必読の1冊だ。

    適当な20〜50ページしか読まないゴダール式読書術。
    行の上の方しか読まない議事速読術。
    こんな面白テクニックも参考になる。前半はこんな具合だ。


    しかしながら、この本の真価は第5章以降にある。

    そこには書籍流通の仕組み、印税、原稿料といった出版業界の裏側についてのネタが満載だ。少し古い本なのがネックだが、それでも出版や書籍について学ぶには有益な情報が盛り込まれている。
    この本は読書術ではなく、本そのものを考える本なのだ。

    因にこの本は知人に勧められたのだが、やはりタイトルに惑わされてはいけないなと痛感した。

  • 『第11章 本を閉じてからの大切なこと』に書かれてる,読んだ本の後処理が気になって読んでみた。
    趣味が読書の人にとって一番の問題となるのが,本を置くスペース。

    著者の主張は,ほとんどの本は一度読んだらもう読まないので処分しろ,積読状態の本は読む可能性が低いので処分しろ,だ(たぶん)。
    自分でも解ってはいるが,なかなかそれができない。
    名作だからきっとまた読みたくなる,この分野の本はきっと読む必要がでてくる時がある,と考え処分できず,ついつい本がたまってしまう。

    で,私が心がけているのは,本棚のキャパをオーバーしたら,本を処分すること。
    これなら,本棚を増やさない限り,手元にある本の冊数は制限される。
    注意点としては,本はきちんと並べるということ。
    2段にしたり,横にして本と棚板の隙間に本を差し込むんだりといことはしない。
    本棚に整然とならんでない本は手に取り辛く,それでは死蔵と同じ。

    ちなみに,これ,見事にこの本にも同じことが書かれていた。
    私の方法も意外と良いではないか,とちょっと自信を持った。
    ただ,まだ,完璧に実践できていないけど。。

  • 読書術入門。年間何万点という本が出版されている中、一生のうちに読める本はかなり多く見積もってもせいぜい1〜2万冊。良書をいかに掘り出し、効率よく読むか書かれている。効率よく読むためには飛ばし読みは日常茶飯事、つまらなかったら最後まで読んでも時間のムダだから読むのを途中でやめてしまう。こういう読み方を「不良の読み方」と表現しているのがおもしろい。

  • わっはっは。2章「ゴダール式読書法のススメ」は必読。後は読みたいとこだけ読んで今すぐ放り投げろ!(統計のところだけは切り取ってファイリングしとけ)

著者プロフィール

1958年生まれ。ライター。書籍輸入販売会社のニューアート西武(アールヴィヴァン)を経て、フリーの編集者兼ライターに。90~93年、「宝島」「別冊宝島」編集部に在籍。その後はライター専業。「アサヒ芸能」「週刊朝日」「週刊エコノミスト」などで連載をもつ。ラジオ「ナルミッツ!!! 永江朗ニューブックワールド」(HBC)、「ラジオ深夜便 やっぱり本が好き」(NHK第一)に出演。
おもな著書に『インタビュー術!』(講談社現代新書)、『本を読むということ』(河出文庫)、『筑摩書房 それからの40年』(筑摩選書)、『「本が売れない」というけれど』(ポプラ新書)、『小さな出版社のつくり方』(猿江商会)など。

「2019年 『私は本屋が好きでした』 で使われていた紹介文から引用しています。」

永江朗の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×