こころの情報学 (ちくま新書 204)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058041

感想・レビュー・書評

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  • 四章がちょっと面白いかな。一から三章は教養、五章はボンヤリした話なのが残念。

  •        -2009.02.24

    情報なるもの-その意味解釈や処理加工は、生物の身体内に蓄積されてきた情報系に基づいて実行され、結果として情報系自体も変化する。こういった累積効果こそが<情報>の基本的な性格なのだ。

  • 『情報伝達の神話』という朝日新聞のコラムを書かれた西垣通氏の著書ということで購入。
    情報学の専門家が、一見すると無関係と思われる心の問題について掘り下げている点が興味深い。「情報から心をみる」「機械の心」といった章立てに惹かれたが、実際に読んでみるとやや難解で、思っていたような内容とは違っていた。ただ、筆者の言わんとする「情報が心を、心が情報をつくる」という部分は最後のあたりで伝わってきた。

  • 新書だったが、ちょうどいま気にしているイシュー、例えば人工知能や生命についての哲学事項、が整理されていて、意図せずとても参考になった。

    デカルトの二元論の否定から始まり、生命システムの定義や、「言葉」の心的システムに対する意味や、社会体制に対する意味など、大いに参考になった。

    特にアフォーダンスとオートポイエーシスの理論の補完的結合は自分としては新しい知見だった。
    また、「中心と周縁/詩人と異化」の論についてはよくかみ砕きたい。


    未来に対する考察としては次の2点をよく考えたい。

    1)言語性について、王の身体性(声)から新聞のような言葉への変化が社会の変化とリンクしていたとして(情報の独立性が増したとして)、技術の時代にはどうなるだろう

    2)経済の時代には権力の源泉が「論理性」であったとして次の時代には何になる?
     →情緒性が復活する?(エコーチャンバーでは復活しつつある)
     →つまり言語に変わるコミュニケーション手段が現れたとき、言語が持つ形式性はその権力を失う

  • 今更ながら、AIが熱くなているので積読からチョイス。人間は日々進化していくので、AIが使われればもっと進化するかもしれない。AIが追い抜いていくほうが早いかもしれない。

  • バーチャルリアリティ(仮想現実)を使ったゲームが多くなっています。今年の夏、ハイジャックを起こした犯人はゲームで飛行機の操縦の練習をしていて、本物も触りたくなったと言っているとか。現実と非現実の区別がなくなる若者がふえ、そのための犯罪がふえていることも事実でしょう。この10年の間にコンピュータを取り巻く状況は一変しました。特にインターネットは21世紀、誰も無視することはできなくなると思われます。こういう時代だからこそ、人間のこころについてじっくり考え直す必要があります。本書では情報というキーワードをもとにこころを考えていきます。理系・文系のへだてなく話は進みます。オートポイエシスやアフォーダンスなど最先端の話題にも話はおよびます。しかし難解になりすぎることもなく、こころについてこれからどのようなことを考えていけばよいのかの非常に良きガイドになると思います。たとえば本書に紹介されている本の著者を数名日本人だけ書き出してみると、脳研究の津田一郎、社会学の大澤真幸、心理学の佐々木正人、経済学の岩井克人などがいます。これらの研究者の発言は今後気にとめていかないといけないでしょう。(僕はこういう名前を聞くだけでかっこいいと思ってしまうんだけどなあ。いつかみんなの中でもそう思ってくれる人が出てくるかなあ。)人間とは本来、外部の環境から与えられる(アフォード)ものの中から意味を見出し、学習し成長していきます。しかし、パソコンやテレビを通して脈絡のない情報が押し寄せるために、若者たちが混乱し、うまく自己が形成されないのも当然と言えるでしょう。現在、我々を取り巻く機械情報の量はヒトの処理できる量をとっくにこえています。こんな中で生きていくにはどうすればよいのか、本書をじっくり読みながら考えたいものです。

  • 人間の「こころ」とは何か。情報は心にどう関連してくるのかを書いた基礎情報学の入門書。以下に詳しい感想が有ります。http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou22401.html

  • 何が言いたいのか...(´・ω・`)

  • 情報にまつわるさまざまな問題を包括的に扱う情報学という学問の立場から、人間の心について論じた本です。

    本書では、人間を単なる情報処理機械と考える立場が退けられ、みずから情報を創生するオートポイエーシス・システムとして捉えるべきだとされています。ただしそれは、歴史的に形成される自己循環的な閉鎖系であり、それゆえ人間の心を理解するためには、生物の進化史をたどる必要があるとされます。こうして、動物の心から検討を始めて、人間の意識がどのようにして形成されたのかという、大きな問題についての見取り図が描かれることになります。

    さらに著者は、人間の心をアフォーダンス理論を手がかりにして考察しています。ただし、アフォーダンス理論では、情報は環境世界にあらかじめ実在すると考えられているため、情報は自己循環的な閉鎖系の中にあるとするオートポイエーシス理論と衝突します。そこで著者は、環境世界の中で行動することによって意味作用が生まれるという仕方でアフォーダンスを理解し、オートポイエーシス理論と補完的な関係にあることを示そうとします。

    とはいえ、人間の心は他の生物と大きく異なっています。著者は、人間は言葉によって構築された文化的環境の中に身を置いていると考えることで、アフォーダンスの想定する「リアリティ」の内実を拡張し、人間の心の特異性を説明しようとします。

    新書のサイズで扱うにはかなり大きな問題が扱われていて、理解が追いつかないところもあったのですが、刺激的な本でした。

  • 第4章がおもしろい。共同体の書き方が、すごくシンプル。終盤、若者の心の問題になったのは、戸惑ったけど。

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著者プロフィール

東京経済大学コミュニケーション学部教授/東京大学名誉教授

「2018年 『基礎情報学のフロンティア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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