地下鉄は誰のものか (ちくま新書 891)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065964

感想・レビュー・書評

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  • 営団地下鉄と都営地下鉄の抱える問題を理解できた。早く一体化し、利用者の利便性を高めてほしいと感じる。

  • 東京都の人口は1,300万人。地下鉄利用者は866万人で世界一位。二位のモスクワ705万人。三位のソウル591万人。名だたる都市の中でも東京の地下鉄は際立っている。
    東京メトロ・都営地下鉄の2つの事業体がある。初乗り運賃の違い、乗換不便。統合して一元化した経営が自然な話である。
    東京メトロは超優良企業。その中で、営団地下鉄時代から現在まで、トンネル部分の地方税(固定資産税)が免除、道路使用料も免除。毎年、100億円規模の経費節減という公的優遇措置を受けている。
    都営の3倍規模がメトロだが、両者に経営能力に差はなく、初期投資回収時期に早く入ったかの差である。
    私鉄経営と地下鉄経営の違い。私鉄は、沿線開発しながら資産形成、地下鉄は公的資金投入による、金城油池での営業による借金返済。

  •  東京都副知事が,東京メトロと都営地下鉄の料金統合,経営統合について熱く語る。途中,早川徳治の東京地下鉄道と五島慶太の東京高速鉄道による新橋駅をめぐる戦前の争いが詳しいが,ちょっと詳しすぎる気も。結局戦時下の統制で帝都高速度交通営団に一本化されてしまい,戦後の営団と都営の分立とは直接関係ないし。「欲望による一元化の挫折」って章題にもなってて,既得権益死守のために経営統合ができなかった事例と言うことだろうけど,まあねえ。
     とはいえいつも使っている新橋駅にそのような歴史があったということは興味深く読んだ。早川五島対立時は,渋谷から新橋,浅草から新橋が分断されていたとはね。新橋駅の「幻のホーム」。

  • なぜ地下鉄一元化なのか?と思って読んだが、読んでみるとなぜ一元化していないのか?と当たり前に思えてくる。
    地下鉄と地上の鉄道とのビジネスモデルの違いになるほど。

    さらっと書いてあるけど五島慶太の傑物っぷりも面白かった。

  • 事業立ち上げ当初の煌々とした理念が、いつしか既得権益となり、理念を忘れた人たちが利権を守ることに汲々とする。日本の免許制事業のほとんど全てに共通する暗澹たる構図。
    さすがに読ませる文章が上手なので、地下鉄事業の歴史あたりもすいすいと入ってくる。

  • 「はじめに」だけ読めば充分。
    あとは読むだけ時間の無駄。

  • 何故東京の地下鉄は2社運営なのか。元々は都心の人口急増を背景に早川徳次と五島慶太が競争するように開発を進めたのが原点。通常路線は延伸する事で、何もなかった土地の地価の値上がりを期待し、沿線の人口増によって運賃を稼ぐモデル。一方地下鉄は既に人口過密エリアを開発するため地価の値上り益は期待できないが、人口は多いので安定した運賃収入が期待できるモデル。しかし、その欠点は当初の初期投資がかかる事であり、メトロ、都営共にそれは税金によって賄われた。現在、メトロは黒字化し都営は赤字であるがこれは初期投資からの時間の長短のよるもので、両者に基本的な差異はない。
    問題は、この二社が分離しているために利用者に運賃の違い、ホームの移動などの金銭、時間的なデメリットが発生していることである。
    統合を阻むものは一つは都営が赤字であること、二つ目は天下り利権。前者は時間が解決するため問題にならない。ゆえ、利権を解消し統合する事により税金という形で投資をした利用者便益の向上が実現できる。
    という趣旨の書。是非実現して欲しいです!

  • 都営地下鉄と東京メトロ、東京の地下鉄はこの二つの会社によって成立しているが、問題が存在している。

    その問題解消に向けて東京都副知事である猪瀬氏の考え、そして今までの動きなどが書かれています。

    また東京の地下鉄の歴史も知れて面白い。

  • この本をきっかけに地下鉄に興味が湧いた。
    地下鉄の一元化は理想的だが、一元的な整備にこだわらなかったからこそ、ここまで路線を拡充できたようにも思える。

    1920年ごろ、東京市は市営で地下鉄整備をする計画で免許を持っていたが、資金難で思うように地下鉄整備は進んでいなかった。そのため、将来の買収を前提に私営での地下鉄建設を認めた。
    ・営団地下鉄のはじまり(1927年-)
    早川徳次が浅草新橋間を開業。東急グループ創始者五島慶太が渋谷新橋間を開業。早川と五島は対立。のちに統合して営団地下鉄ができる

    ・都営地下鉄の始まり(1957年-)
    背景1. 戦後の急激な人口増加。1945年に350万だった東京の人口が1955年には800万に急増。この時点では地下鉄は銀座線と丸ノ内線しかなかったが、営団地下鉄だけでは資金が足りず、整備が追いつかなかった。
    背景2. 私鉄各社の都心乗り入れを認めなかった

  • 都営と営団の合併論がメインテーマの割には、東急の五島慶太が、地下鉄王になりたかった話がかなりの部分で、ちょっと拍子抜け。営団の株売却が話題になる中、はやく英断してくんないと、しばらく一元化は無理やね。。。

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著者プロフィール

猪瀬直樹
一九四六年長野県生まれ。作家。八七年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。九六年『日本国の研究』で文藝春秋読者賞受賞。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授を歴任。二〇〇二年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。〇七年、東京都副知事に任命される。一二年、東京都知事に就任。一三年、辞任。一五年、大阪府・市特別顧問就任。主な著書に『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『黒船の世紀』『ペルソナ 三島由紀夫伝』『ピカレスク 太宰治伝』のほか、『日本の近代 猪瀬直樹著作集』(全一二巻、電子版全一六巻)がある。近著に『日本国・不安の研究』『昭和23年冬の暗号』など。二〇二二年から参議院議員。

「2023年 『太陽の男 石原慎太郎伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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