蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.90
  • (29)
  • (36)
  • (26)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 362
感想 : 48
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429483

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  パロディっぽいタイトルですが、純和風な怪奇短編集でありました。ホラー・ミステリー的であったり、和もの幻想小説的であったり。
     ユーモラスな語りで展開するにも関わらず、どれも微妙に陰惨な結末が訪れる。何ともすっきりしない読後感もまた好し。

  • 一遍が終わってはもっともっとと後を引くような、不思議と引きこまれる文章にすっかりはまりました。珍味のよう。
    「猫背の女」は怖かった。背中を丸めて、必死の形相で一気に読んでしまいました。

    跋で作者が言うように、私も短編集のあとがきを読むのが好きで、気に入った作品が作者にどう語られているのか気になります。私の気に入った作品は、なぜか「締切前に何も浮かばなくて苦し紛れに書いた」のようなエピソードが多い気がします。

  •  猿渡と伯爵のコンビ。短編集。
     猿渡の一人称視点の軽妙な語りで、テンポよく読めた。にもかかわらず、文章は洗練、流麗という印象を受けた。
     各編とも、綺麗さっぱり丸く収まりました、というような幕引きでなく、後に残るような読後感。かといって、それは湿っぽい後味の悪さではなく、むしろ丁寧に紡いだ糸をスパッと切ったような、妙にさっぱりとした感じもするから不思議。特に、『ケルベロス』の最後「一緒に帰ってきました。これからはひとつの人生を生きようって」という台詞は一体誰が発したものなのか、悩んでしまう。
     ひたすらマニアックな豆腐を食べる話かと思ったら、それだけにおさまらず、葱やら蟹やら蟲やら、出てくる食材はひたすらにマニアックだった。
     個人的には『カルキノス』が好き。蟹の話。冷静に殺人事件を推理する伯爵と、その予想外ともお約束とも言える結末の対比がなんとも滑稽だった。

  • ファンタジックなホラー短編集。
    話の内容的にはあまり怖くは無いのですが、後味がちょっと悪いです。

  • 集英社文庫版持ってるのだけど、書き下ろし短編もあるし、購入。
    「猫背の女」だけは怖くて再読できない。
    表題作と「カルキノス」「ケルベロス」が好き。あ、猿渡くんがもてる話ばっか(笑)。「埋葬虫」もなんか好き。
    初めて読んだせいか、「ピカルディ」より密度が濃いような。「猫ノ目時計」楽しみ!

  • 猿渡と伯爵の豆腐好きコンビを主人公としたシリーズの第一弾。軽妙な語り口で綴られる日常に侵入してくる怪異にぞわぞわと背筋が粟立つ思い。その奇想といい文体といい、やっぱり津原泰水は巧いなぁ。集英社版にはなかった書き下ろし短編が加わってるというのも嬉しいね。
    どれも素晴らしいけど、特にお気に入りは「猫背の女」、「ケルベロス」、「奈々村女史の犯罪」、「水牛群」かな。

全48件中 41 - 48件を表示

著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津原泰水の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×