日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480814968

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    ・公用語

    【キーフレーズ】
    ・フランス語はかつて世界で最も尊敬されていた言語だそうだ。
    ・ヘブライ語は日常的に使用されなくなって2,000年のブランクの後、50年程度かけて完全復活した
    ・非対称的な関係の言語
    ・明治維新が失敗し、日本が西洋列強支配下にあったとすれば、現代文学は存在しなかったであろう
    ・地形的に日本がフィリピン、マレーシアのようになっても不思議はなかったこと
    ・漢文という普遍語
    ・魯迅でさえ、漢字を捨てなければ中国の未来はないと唱えたこと
    ・ラテン語と漢文の関係
    ・シンガポール、インドの人たちが英語で文章を綴ること

    【想像したこと】
    ・方言としての東京近辺の言葉の存在
    ・もし、大阪弁を標準語にするとしたらすべきことは?
    ※こう考えると、どのように言葉が立場を向上させるのかが分かり易い。
    ・改めて文語体を読むと情景が想像でき美しく感じる

  • 興味深い。本読みなら一度は野心を

  • ひたすらに面白い。日本のエリートが高度な英語の使い手にならなければ、日本語が亡びるという。一見矛盾したような内容が、むつかしい言葉も使わずにしっかりと説明されている。

  • 小説家としての視点から、国語としての日本語、普遍語としての英語の将来について考察している。筆者は、グローバル化の進展にも関わらず、日本人の英語は未だ道案内のレベルを目指すにとどまるとし、国レベルでの危機感の薄さを嘆いている。中でも、学校教育について言及した最終章は興味深い。グローバル化の流れにあっても、日本において英語が国語になることはないという視点に立ち、今後は国語としての日本語教育の見直しと、英語教育における差別化が必要であると述べている。差別化とはすなわち、国策としてバイリンガルを育成するというもの。議論の分かれるところだが、平等主義を廃し、世界と渡り合う人材の育成が必要であるという点には同意できる。近い将来、海外メディアの前に立ち、巧みに英語を操る日本のトップを見る日が来るだろうか。

  • 少数言語は滅び、英語が増える時代へ。しかし、日本語が亡びるのは読まれるべきものが読まれなくなるから。
    学校教育での日本語軽視。国語では書き言葉を読む訓練をすべき。
    伝統的仮名遣いの文語から表音文字での書き言葉に。
    読める日本語量を増やすことが大切。

    優秀な文学も読む人がいなければ意味がない。
    日本文学が知られたのは太平洋戦争でアメリカが日本を知るため利用したから。
    明治までは漢文が書き言葉の主流。

    参考文献
    想像の共同体、浮雲、翻訳と日本の近代

  • 読み終わったというか、良いところに入るまえに新幹線に忘れた。残念。

  • お若い方々とお話すれば、納得。

  • (「BOOK」データベースより)
    「西洋の衝撃」を全身に浴び、豊かな近代文学を生み出した日本語が、いま「英語の世紀」の中で「亡びる」とはどういうことか?日本語と英語をめぐる認識を深く揺り動かし、はるかな時空の眺望のもとに鍛えなおそうとする書き下ろし問題作が出現した。

  • 自国文化を見直すのに良い契機となる本。

  • 日本語と文化の行く末に警鐘を鳴らす一冊。「国語」としての日本語を守る、先ずは徹底的に日本語を学ぶべき、という筆者の意見に異論の余地はありません。筆者の意識を醸成した幼少期から、仮名の生い立ち、言語学、日本の教育への批判まで、テンポ良く広範囲に展開されます。日本語を通して日本の文化を守るためにも英語もまた学ぶ必要があります。その必要性を「誰もが片言でも通じる喜びを得るため」と理解するのであれば、学ぶのは英語である必要は全くありません。ジェスチャーだけで十分です。「読まれるべき言葉」が文化をかたち作るということにはっとさせられます。

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著者プロフィール

水村美苗(みずむら・みなえ)
東京生まれ。12歳で渡米。イェール大学卒、仏文専攻。同大学院修了後、帰国。のち、プリンストン大学などで日本近代文学を教える。1990年『續明暗』を刊行し芸術選奨新人賞、95年に『私小説from left to right』で野間文芸新人賞、2002年『本格小説』で読売文学賞、08年『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』で小林秀雄賞、12年『母の遺産―新聞小説』で大佛次郎賞を受賞。

「2022年 『日本語で書くということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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