ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ
- CCCメディアハウス (2011年3月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784484111049
感想・レビュー・書評
-
「真の発見を目指す旅で必要なのは、新しい土地を探すことではなく、新しい目を探すことである」プルースト
まーたまたまたカタカナ戦略ですか。。。と思いつつも、「イノベーションのジレンマ」の共著者だけあって面白いところもあった。
『デザイン思考』との共通点
「顧客価値提案」がスタート。顧客の、未解決で重要な課題を見つける。「何が必要ですか?」と聞かない(もっと安い、もっと性能がいい、とかありきたりの答えがかえってくるのが関の山)。「どのような課題を処理したいですか」と聞く。観察する。→利益方程式(事業の重要な指標を考える)、ビジネスモデルを考える。(ただしこれは線形ではなく反復的プロセス)
プランに1年かけるより、早期に、安価に、頻繁にテストしよう
膨大な量のケースを整理しただけあって興味深い類型:
ある商品・サービスの競争の中心の変化:機能性→信頼性→利便性→価格(ここまでくるとコモディティ)
問題解決事業の形態変化:1.ソリューション工房(体系化され切れていないものを扱う。医院、弁護士事務所、会計士事務所、コンサルなど(だいぶもう体系化されてきているような気もするが))→2.バリュー付加プロセス型(ほとんどの製造業)→3。ネットワーク促進型(通信ネットワーク。証券取引所。消費者が実権を握る)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なかなか良い
-
ホワイトスペースという考え方が新鮮。概念だけでなく、具体的な事例やビジネスモデルの手法も記載されており、なかなか読み応えのあった一冊。
-
Kodama's review
IKEA、FEDEXのように中核となる事業領域の外側にある『ホワイトスペース(空白)』を狙え!とのことでした。
(11.08.06)
お勧め度
★★★☆☆ -
新事業の開発が成功しないのはえてして、まだ一つの仮説にすぎないものを確定的な事実と決めつけて行動するからだ。必要なのは、早期に、安価に、頻繁に、テストを行うことだ。少額の投資で多くのことを学び、新しい発見に基づいてビジネスプランを修正出来れば、新事業開発につきものの不確実性を大幅にやわらげられる。
-
ホワイトスペース戦略という言葉に惹かれて購入し、読んでみた。
ビジネスモデルにイノベーションが必要な事は良く分かった。
ただ、ブルーオーシャンやニッチなどと近く改めて言うほどの事ではないような。
遠くのホワイトなスペースを目指すためには、イノベーションというよりは、ニューアイディアを構築するという方が適しているのでは・・・。 -
企業内での新規事業開発が前提だが、
新しいビジネスモデルを世に問うために必要な要素を網羅的に記しているので、
新規開業の際にも役立ちそう。
顧客価値と利益を生む方程式、
これがビジネスモデルなのではなく、
加えて資源確保のシナリオや業務プロセスまでを組み込んで
初めてビジネスモデルだということ。
また、PDCAサイクルをビジネスモデルそのものに組み込むという考え方はズッポリ腹に落ちた。 -
【感想】
自分が社長になったとして、新たなビジネスチャンスに取り組むか否か、取り組むならどういう戦略を立案するか思案したとしたら、真っ先に本書をひも解くだろう。ただ、「ストーリーで学ぶ競争戦略」を合わせて読んで思ったが、同じビジネス成功例でも違う型で読み解くことができるので、誰のどんな理論が一番か、ということは一概に言えないな。
【特記事項】
・「自社のビジネスの最も中核をなす部分」ですら変える必要が生じる。
●ホワイトスペース=既存のビジネスモデルの対象外の領域=コアスペースでも、その隣接スペースでもなく、新たなビジネスもであるを確立しないと活かせない領域=既存の組織かつ既存の顧客ニーズとは違うもの
・ある会社にとってホワイトスペースでも、別社にとってはそうではないことも。
・ロッキード・マーチンのハイブリッド飛行船
●アップルや格安航空会社が成功したのは、ホワイトスペースに乗り出したから。
●ビジネスモデルの4要素:
・顧客価値提案:顧客が未解決の課題+それを解決する提案。シンプルでエレガントな提案を。課題の重要度が高いほどよい。
・利益方程式:収益モデル(価格×数量)、コスト構造(直接費+間接費)、1単位あたりの目標利益率、経営資源の回転率
主要経営資源:人材、技術、商品など
主要業務プロセス:たとえば業務プロセス、ビジネスルールと評価基準、行動規範など
●既存の利益方程式、主要経営資源業務プロセルに多数変化を導入しないといけない、事業を行うために全く異なるルールや規範を取り入れないといけないときは、ホワイトスペースと言える。
●内なるホワイトスペース:既存市場の変革
→競争規準に変化が生じる場合(機能性→信頼性→利便性→価格など)
→既存市場内の未解決ジョブがある場合
事例:フェデックス、IKEA
●かなたのホワイトスペース:新市場創出
・消費しない障壁には、資金、技能、アクセス、時間障壁がある。
・ある問題に関する知識や理解がふかまると、それを解決する仕方もおのずと変化し、そこにチャンスが発生する。
・ソリューション工房型:一般化できない問題に対して個別の解決策を提供。弁護士など
・バリュー付加プロセス型:法則的に課題解決ができるようになってきたとき。医療サービスのミニットクリニック
・ネットワーク促進型:SNSなど
●はざまのホワイトスペース
→市場の予測不能の変化
→テクノロジーに予測不能の変化
→政策の予測不能の変化
事例:電気自動車に関するベタープレイス社
●イノベーションのプロセス
1:顧客のジョブ(未解決の課題)を知る
2:それを解決しながら利益を上げる方法を考える
3:実行する
1について。
・顧客価値提案について
顧客に「何が必要?」ではなく「どのような課題を処理したいとお感じですか」と聞く。
機能面だけでなく、情緒面、社会面を考える。
何を+顧客が入手する方法(アクセス)+支払いスキーム
<商品・サービス選択肢>
種類:商品とサービスの間
機能:限定と多数の間
形態:有形と無形の間
カスタマイズ:対応すると対応しないの間
セット販売:単一とセットの間
寿命:消費財と耐久財の間
<アクセス選択肢>
販売ルート:直接と間接の間
サポート:簡素と充実の間
頻度:多いと少ないの間
販売時期:随時と限定の間
価値の発生時期:即時と後日の間
使いやすさ:支援必要と支援不要の間
意思決定:計画的と非計画的の間
購入場所:従来と新場所
<支払いスキーム>
支払い形態:即金とローンの間
価格:固定と変動の間
支払い単位;数量と価値の間
支払い回数:1回か分割か
支払い時期:前払いか後払いか
支払い人数:単独か複数か
2について
・利益方程式と主要業務プロセスを考える。
・ビジネスモデルのアナロジー(例)
親睦団体との提携
仲介
セット販売
携帯電話型:利用頻度に応じて課金を変更する
クラウドソーシング型
中抜き型:仲介を省く
共有型
フリーミアム型:基本を無料にし、上級を有料に
リース型
サービス削減型:サウスウェスト航空
プロセス逆転型:アマゾン
従量制料金型
髭そりと替刃型:高価な本体を安くし、替刃を何回も売る
リバース・オークション型:最高価格を設定し、そこから下げていく
逆・髭そりと替刃型:安価な消耗品を購入させ高い本体を購入させる
サービス移行型
標準化型
定期購読型
ユーザーコミュニティ型
3について。
何回も小規模なテストを重ねる
新旧を比較するときに、新しくすると高い機械を買わないと
いけないから古いままでいい、というのはフェアな比較ではない。
【参考文献】
イノベーションへの解
本業再強化の戦略
コア事業進化論
アップル・コンフィデンシャル
なぜマネジメントなのか
オープンビジネスモデル
ハーバード流イノベーション戦略のすべて
イノベーターは死なず
映画「実録ペンタゴンウォーズ」
創造的破壊
組織は戦略に従う
アマゾン・ウェイ