- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488006518
感想・レビュー・書評
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人は自由を制限する束縛や抑圧から解放されたとしても、解放後に待ち受ける無制限の自由がもたらす孤立と孤独の感情に耐えきれず、自ら自由を捨て他人からの束縛を再び望むようになる。
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社会的条件は性格を通して、イデオロギー現象に影響すると説く本。
偽の自己とは、他人に期待されている役割を自己の名で行う代理人。 -
社会心理学者のフロム氏による代表作です。本書は80年ほど昔の本になりますが、2019年現在で読んでもまったく色褪せない内容を含んでいると思いますし、おそらく80年後にもまだ読まれているでしょう。歴史を作り上げていくのは「社会的経済的条件」「イデオロギー」についで「社会的性格」が重要な役割を果たす、というのが本書の主張になります。具体的には自由からの逃走を引き起こすような「社会的性格」の存在に本書は警鐘を鳴らしているわけです。
人間は束縛からの自由を得るとき(フロム流に言えば消極的な自由を得た時(〜からの自由))、気持ちの高揚感を得ると同時に、孤独感や自分の無意味感、無力感を同時に感じてしまいます。その際に人間が取りうる行動としては大きく2つある。1つは「積極的な自由」つまり、「〜への自由」ということで積極的・自発的に活動を行うこと。もう1つはより大きな権威などに寄り添って自分の自由を放棄してしまう、つまり自我を失うけれども心の拠り所を得る行為にでるわけです。後者の例として本書ではプロテスタンティズムやナチズム、またサディスティック/マゾヒスティックを例として挙げています。おそらくこの現象は社会の激変期に起こりやすいのだと思うのですが、AIやロボットが人々の仕事を置き換えていくような時代が本格的に到来すると、フロムが警鐘を鳴らしているような「社会的性格」が広く出現するかもしれない、と思いました。 -
感想
なぜ自らの命令者を志向する人間が少ないのか。自由とは責任を伴うからである。権威あるいは権力に我々は屈する。自らの意思を以て。 -
フロムの自由についての鋭い指摘には唸らされる。
正直自由でない人間の方が圧倒的に多いはずだし、それは大人になればなおさら難しいはず。
悲観的な物言いかもしれないが、小さな鍵穴にうまく鍵を通そうとひたむきに努力していく、そんな地味な作業でしか自由とは向き合えないんじゃないのかな。
自分の心理分析にも応用してみたいと思う。
これは名著でしょ。 -
3.7
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資本主義社会の軋轢を言語化してくれてると共に、人は自由が増えると束縛を求め自由から逃走してしまうと論じている。理不尽なようだが、何かに依存しないと生きられないから人は束縛を求めてしまうのでありフロムの言うことは正しい。
スッキリしない読後感ではあるが、彼の別の本も読んでみようと思う。 -
金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=28924
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BN00887973 -
資本主義社会を踏まえて、人として何が「正しいこか」についてが書いてある。