- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488010003
感想・レビュー・書評
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社会派。考えさせられたが、ミステリとして面白くはなかった。ただ、後書きにあるように実際に政府を動かしたんならすごい。
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駆け出し弁護士のカスパー・ライネンが依頼された事件はその残忍な殺害に世間が注目している「コリーニ事件」の容疑者、ファブリツィオ・コリーニだった。
被害者と容疑者のテグスのように透明で傍目にはそこに存在していることすら気付かれない、その因縁。透明な糸はライネン自身にも結びついている。
歴史は重く深くそこに横たわり、普段は忘れてしまいがちだが確実に、ある。 -
ドイツの小説には少なからずナチスの影がある。今でもそれだけ根深く、世界への影響力も強いのだろう。
話自体は読みやすく、登場人物も明確。戦争犯罪とその後の処理について日本人としても共通性のある話題だっただけに、なんとも後味の悪い、そして考えさせられる話だった。 -
このような内容の小説がドイツ人作家によって執筆されたこと自体に大きな意義があると思う。例えば、日本で今、第二次大戦中に日本軍の誰かが行った残虐行為の意味を問い直すような内容の小説を書いても、批判、或いは非難をされるだけではないだろうか。
ドイツにおいては、本書をきっかけにナチスの犯罪を実質的に無罪にした悪法を改正する動きが始まったというから驚きだ。 -
シールラッハの孫という立場は、当事者で無ければ、分からないだろうが、エリート校にそれらが集まっている場面は、不思議な気がする。
ナチの裁判の時効について初めて知った。この作品がそれを炙り出したのは、凄い。現実と小説が絡みあい、それが社会に影響を与える。結末は、呆気無いがそれもよしかな。 -
著者の処女作『犯罪』を読んで、その切り口の新しさに驚いた。短編集『犯罪』『罪悪』に続いてシーラッハ初の長編(というより中編)。
これまで同様弁護士が主人公ではあるが「わたし」ではなくなる。短編集では「わたし」が弁護士であるということのほか、個人的なことについては全く触れられていないのが特徴であり面白みでもあったが、今回は、言ってみれば「普通」になった。
本作そのものよりも作者の来歴にふれる「あとがき」の方が感じるものがあった。
決して駄作ではないが、シーラッハは短編で読みたい…が今回の結論。 -
著者ならでは。