コリーニ事件

  • 東京創元社
3.81
  • (53)
  • (124)
  • (70)
  • (12)
  • (3)
本棚登録 : 656
感想 : 98
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010003

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 社会派。考えさせられたが、ミステリとして面白くはなかった。ただ、後書きにあるように実際に政府を動かしたんならすごい。

  • 駆け出し弁護士のカスパー・ライネンが依頼された事件はその残忍な殺害に世間が注目している「コリーニ事件」の容疑者、ファブリツィオ・コリーニだった。

    被害者と容疑者のテグスのように透明で傍目にはそこに存在していることすら気付かれない、その因縁。透明な糸はライネン自身にも結びついている。

    歴史は重く深くそこに横たわり、普段は忘れてしまいがちだが確実に、ある。

  • 事実をもとにした小説。ナチスが遺した悲しい影。

    一見、接点がなさそうな加害者と被害者。嫌疑は素直に認めるものの殺人の動機を話そうとしない。そして明らかになる真実。
    祖父の代まで遡る、ホロコーストの恨み。


    本家ドイツでは大きな話題になり、行政をも動かすことになるほど大きな影響を及ぼした作品らしい。(訳者あとがき曰く)

    残念ながら自分は身近でない分、フィクションと同じ感覚で読んでしまったので、面白さはそこそこ…という感想。

  • 小説の冒頭で殺人の描写。

    犯人はすぐに逮捕されるが 動機については自供しない。

    駆け出しの弁護士は 国選で犯人の弁護をすることになるが
    一向に動機はつかめない。

    小説の中ほどになっても五里霧中。

    それが後半に一挙に加速。
    歴史と向き合うドイツ社会がみえてくる。

    また故殺と謀殺を区別しない日本ではこのような小説は生まれないであろう。

    つまり殺したくなった動機を勘案すると
    殺人をしたのは厳罰に価するとしても
    情状酌量の余地があるかどうかという話にない。

    日本よりは ずっとドイツは社会が成熟している
    ように感じた。
    これも小説のできがよいからですね。

    久しぶりに味わう 読書の愉悦。

  • ドイツの小説には少なからずナチスの影がある。今でもそれだけ根深く、世界への影響力も強いのだろう。
    話自体は読みやすく、登場人物も明確。戦争犯罪とその後の処理について日本人としても共通性のある話題だっただけに、なんとも後味の悪い、そして考えさせられる話だった。

  • マイヤー機械工業の元代表取締役ハンス・マイヤーを殺害した自動車組立工コリーニ。コリーニの弁護を引き受けたライネン。しかしマイヤーはライネンの死んだ幼なじみの祖父だった。弁護を降りようとするライネン。弁護士マッティンガーの話で弁護を続けるライネン。動機を語らないコリーニ。コリーニの過去を調べるライネン。第二次世界大戦中に起きた事件。ドイツの抱える戦犯を裁く法律の問題。

  • このような内容の小説がドイツ人作家によって執筆されたこと自体に大きな意義があると思う。例えば、日本で今、第二次大戦中に日本軍の誰かが行った残虐行為の意味を問い直すような内容の小説を書いても、批判、或いは非難をされるだけではないだろうか。
    ドイツにおいては、本書をきっかけにナチスの犯罪を実質的に無罪にした悪法を改正する動きが始まったというから驚きだ。

  • シールラッハの孫という立場は、当事者で無ければ、分からないだろうが、エリート校にそれらが集まっている場面は、不思議な気がする。
    ナチの裁判の時効について初めて知った。この作品がそれを炙り出したのは、凄い。現実と小説が絡みあい、それが社会に影響を与える。結末は、呆気無いがそれもよしかな。

  • 著者の処女作『犯罪』を読んで、その切り口の新しさに驚いた。短編集『犯罪』『罪悪』に続いてシーラッハ初の長編(というより中編)。
    これまで同様弁護士が主人公ではあるが「わたし」ではなくなる。短編集では「わたし」が弁護士であるということのほか、個人的なことについては全く触れられていないのが特徴であり面白みでもあったが、今回は、言ってみれば「普通」になった。
    本作そのものよりも作者の来歴にふれる「あとがき」の方が感じるものがあった。
    決して駄作ではないが、シーラッハは短編で読みたい…が今回の結論。

  • 著者ならでは。

全98件中 31 - 40件を表示

フェルディナント・フォン・シーラッハの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジェフリー ディ...
ジェフリー ディ...
米澤 穂信
スティーヴン キ...
高野 和明
伊藤 計劃
津原 泰水
パトリック・デウ...
道尾秀介
三浦 しをん
アーナルデュル・...
法月 綸太郎
冲方 丁
ネレ・ノイハウス
アーナルデュル・...
小野 不由美
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×