コリーニ事件

  • 東京創元社
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感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010003

感想・レビュー・書評

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  • スムーズに読めたので、★3つです。

    無理やり感情を起伏させることなく、淡々とした語りが好きです。
    客観的にシナリオの進行を理解できた。

    でも回想のシーンの視点がバラバラで、描写が細かすぎるところが、ちょっと違和感を覚えた。
    主人公が資料を通してこんなに情報量を得られるのか?
    それどもそのような描写で読者に非難させるのが目的なのか?
    キャラ数をしぼって、人物像をもっと掘り下げた方がいいかも。

    話の最後、何も評価せず、正論も反論もなく終わったのが惜しい。
    作者の立場は明白であると思う。
    それを何も言わずに読者に任せるのもいいのだが、
    ここまで書いといて、最後ははっきり言って欲しいかも。

    でも結論は変わらない。何が正しいなのか神のみぞ知ること。
    人が人を(もしくは自分が自分を)裁くことに、正しさを求めちゃダメと思う。

    あと、どんな理由があっても、どんな許されがたい人であっても
    人は人を(自分を自分)傷つけることは、自分を後悔させることだと思う。
    だから話の結末には、納得出来る部分もあった。

  • 以前から著者シーラッハの出自に驚きと興味を覚えていたが、
    ついに彼は書いたのだな、との感想を持った。
    中編とも言えるボリュームにはやや不満だが、
    相変わらずクールに淡々と紡がれる物語は、
    一気読みさせる良作品であった。

  • 淡々と語る、この文章の作り方が
    吉村昭に似ていて、とても好きです。

  • ドイツナチスの傷痕は、塞がらない。

  • 途中からどうしても止められなくなって、後半は一気に読んだ。

  • ベルリンで大金持ちの実業家を殺して逮捕されたイタリア人。殺害は認めたものの動機については一切語らない。新米弁護士のライネンは国選弁護人となるが、被害者は親友の祖父だった…
    丁々発止の法廷ドラマではなく、淡々とした描写で明らかになってゆく被害者と被告人の過去はつらくやるせないものである。罪とは、法とは、そしてドイツという国について深く考えさせられる話。
    実際にあった”法の落とし穴”には驚いた。

  • こんなにたんたんと静かに文章は進むのに、不思議な激情感覚が読んでいる間、頭の中にずぅっとあって不思議な感覚でした。
    短編もそうでしたが、初長編も記憶に残る一冊になりました。

    多くの読者同様、「パン屋」さんの話、読みたくなりました。

  • 一気読み。

  • 作者の長編第一作。『罪悪』は「シーラッ派」向きの作品だと思ったけど、本作品はそれよりは間口も広め。

    筆致は例の如く、淡々と至極シンプル。過去の記憶が鍵となるので、それを形成する人間ドラマが印象的だが、作者の人物造形は淡白なまま。がしかし不思議なもので、必要最小限の描写や台詞の方が却って想像力を刺激され、行間は常に深い闇に覆われていた。シンプル・イズ・ベストってこういうこと? ちょっと違うか。

    謎解きとしての魅力はさほどなし。肝心な伏線が繋がらないまま終わったように思えた。短編がジャブの連打だとしたら、長編はカウンター・パンチかな。

    この作者だからこそ書けた話だろう。法廷の中でも法廷の外でも、ドイツという国を下敷きにして、読み手に突きつける事実は興味深くて衝撃的。一気読みしてしまったため読書中は気付かなかったが、真相の重さはかなりヘビー。読後にじわじわ効いてくる底なし沼の陰惨さ。主人公の最後の一言がそれの答えかな。大事な言葉って結局これまたシンプルなのよね。

  • (2013/04/17購入)(2013/04/21読了)

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フェルディナント・フォン・シーラッハの作品

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