薔薇の名前〈下〉

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488013523

感想・レビュー・書評

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  • 「薔薇の名前(下)」ウンベルト・エーコ著・河島英昭訳、東京創元社、1990.01.25
    426p ¥2,000 C0097 (2020.02.23読了)(2020.02.08借入)(1990.03.23/5版)
    殺人事件は、ヨハネの黙示録に沿っているとか。
    ウィリアムスとアドソは、事件の解決のために手掛かりを求めて文書庫の中を探し回っています。
    二組の使節団がやってきたことにより、話が異端者の方に重点が移って来て、異端審問の心理学的なものになってきました。
    科学的捜査が行えなかった時代には、拷問が有効な手段のようです。
    拷問による自白によって犯人は、見つかり、事件は解決したはずなのですが、事件は続きます。
    アドソは、性の喜びを知ったために、愛についてあれこれと考察しています。
    最終的に事件は解決しますが、殺人はヨハネの黙示録に沿って計画的に行われたものではなかったようです。なんか、拍子抜けした印象です。
    殺人の動機については、343頁から347頁当たりまでに述べてあるのですが、よくわかりません。アリストテレスの哲学書が、キリストの教えを覆しかねない、ということのようですが。
    事件を解決したかに見えたウィリアムスは、以下のように言っています。
    「一連の犯行を支えているかに見えた『黙示録』の図式を追って、私はホルヘにまで辿り着いたが、それは偶然の一致にすぎなかった。すべての犯罪に一人の犯人がいるものと思い込んで、私はホルヘにまで辿り着いたのだが、それぞれの犯罪には結局、別の犯人がいるか、誰もいないことを発見したのだった。邪悪な知能に長けた者の企みを追って、私はホルヘにまで辿り着いたが、そこに何の企みもなかった。」(371頁)

    【目次】
    第四日
     讃課/一時課/三時課/六時課/九時課/晩課/終課/終課の後/深夜課
    第五日
     一時課/三時課/六時課/九時課/晩課/終課
    第六日
     朝課/讃課/一時課/三時課/三時課の後/六時課/九時課/晩課と終課のあいだ/終課の後
    第七日
     深夜課/深夜課
    最後の紙片
    解説  河島英昭
     一、作者と作品の構成/二、物語の舞台/三、正義と異端の争い/四、書物の書物
     /五、徴から記号へ/六、削除された物語/七、小宇宙―迷宮と薔薇
    付記

    ☆関連図書(既読)
    「薔薇の名前(上)」ウンベルト・エーコ著・河島英昭訳、東京創元社、1990.01.25
    「ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』」和田忠彦著、NHK出版、2018.09.01
    「ウンベルト・エーコの文体練習」ウンベルト・エーコ著、新潮文庫、2000.09.01
    (2020年3月1日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    中世、異端、「ヨハネの黙示録」、暗号、アリストテレース、博物誌、記号論、ミステリ…そして何より、読書のあらゆる楽しみが、ここにはある。全世界を熱狂させた、文学史上の事件ともいうべき問題の書。伊・ストレーガ賞、仏・メディシス賞受賞。

  • ようやく読み終えた…。難解で理解できてないところもあるけれど、話がどう動くかまったく読めなくて面白かった。

  • 分厚い単行本で上下巻、しかもすごい重厚な内容…ドッと疲れました。それにしても、やっぱりこれは、ミステリというか文学でした。教皇に法王、経典に関する色んな解釈、などなど、諸事情にある程度通暁していないと、本当の意味での背景には辿り着けない。真犯人は意外な人物だし、その方法もなるほどって感じなんだけど、ミステリとしてだけ読むなら、この長さは要らない訳で。サラッとミステリに慣れた(毒された?)頭には、なかなか追いつけない気持ちが強いけど、読み切ったぜ的充足感は味わえました。映画も観てみたいかも。

  • 上巻を読むには1ヶ月かかったが、下巻は2日であった。これは「カラマーゾフの兄弟」の読後感に近い。

  • ★館長の本棚★小林図書館長推薦
    ★SIST読書感想文大賞2019 推薦図書★ 推薦者コメント
    主人公修道士ウイリアムが巨大な図書館を有する中世の修道院に到着するところから話は始まる。殺人事件が起こり、その事件の謎解きに、ワトソン君にも擬せられる若い修道士アドソも参加して話は展開する。中世と言いながら、何時の時代でもある「時代」が切り取られたような、すばらしい小説である。

    【所在・貸出状況を見る】
    https://sistlb.sist.ac.jp/opac/home/result/ja?q=448801352X&target=l

  • 2019.3.20 読書会

    中世、異端、「ヨハネの黙示録」、暗号、アリストテレース、博物誌、記号論、アンチミステリ…

    「虚無への供物」と似た印象。いろんな要素が錯綜する展開と、アンチミステリなところが。
    しっかり本格ミステリ。複雑で読み応えあり。

  • 下に入ったらいよいよストーリーの展開が早くなり読むペースも上がった!
    知識不足で消化不良の箇所もたくさんあるけどそれなりに楽しめたかも?
    またいつか読み直した時違う読み方ができるようになっていたい
    とりあえず読み終わったので映画ver.をみたいと思います

  • 1

  • 前から気になっていたので、年始までに読みきろうとチャレンジ。上下巻で800頁。途中何度もくじけそうになった。一応、読み切ったが、中世の歴史、社会、国家と宗教の関係、記号学、特にキリスト教についての相当な知識を持っていないと、一回で読了したという気持ちにはなれないと思う。「全世界を熱狂させた文学史上の事件ともいうべき問題の書」と帯にあるが、ぴんとこなかった。ミステリーとして、ページを捲るワクワク感を、強く感じられなかった。文中に、様々なキリスト教、例えば聖書にまつわる引用、他の本との暗喩、隠喩があるのだが、多少の知識はあるものの背景もわからないでの、ちょっとお手上げだった。だからこの本の深みに入れないかったのかもしれない。一つだけ読後思ったのは、異端という言葉の意味、この本の中では異端=悪である。現代でも、他者と区別するために使われるが、自分は異端であることが嫌いではないので、どうも好きになれない。自分にとって中世は、基本的に暗いイメージがあるが、それはキリスト教の各宗派間の一種の戦争が、深い影を落としているのではないだろうか。同質である事を人は本能的に望む傾向があると思うが、(異端)人と違う事で、区別や差別を受けない社会の方が望ましいのではないかと思う。

  • 2018/12/26 詳細は、こちらをご覧ください。
    『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1186.html

    2018/10/1 追記
    今この本が話題になっているのかなぁ
    2006年のブログ記事にアクセスがあった! 
     『ダ・ヴィンチ・コード と 薔薇の名前』~ パそぼのあれこれフリーク:Part2
    URLは ⇒ https://blog.goo.ne.jp/pasobo-arekore2005/e/cac2c1dbb2c313289f522abbd1b2291a
     
    これを機会に、また読んでみるのもいいね!

    2016/11/1 追記
    著者のウンベルト・エーコ氏が 無くなったとのこと。
    2月19日、『薔薇の名前』を始めとする数多くの記憶に残る作品の著者が、ミラノで息を引き取った。84歳。
    彼の最後の反骨の行動は、出版社「テーセウスの船」の設立だった。

    2009/7/6 記
    映画もおもしろかった!
     

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウンベルト・エーコの作品

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