- Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488013523
感想・レビュー・書評
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ほとんどのレビューが沢山の星を与えているのに、そこまでの魅力を感じることが出来なかった。
最大の理由は、日本語が難しすぎて十分な理解が出来ない。
原文由来の難しさなのか、訳の問題なのか、それともやはり、自分の読解力の問題なのか?
そして、僧院内部の細かな記述がビジュアライズ出来ない。
プロテスタントではあるけれど、普通の日本人に比べればはるかにキリストに触れている自分が、書かれている記述を頭に描けない。イタリア、フランス、イギリスの教会を経験しているのでそこそこは分かるにしても、理解出来ないで文字だけを追って行くのはつらい。
確かに、修道士が殺され、ウイリアムとアドソによる犯人探しの推理が始まった所は、いよいよ来たか!っと感じたが、その後の展開に大きなドンデン返しがある訳でもなく、最後まで読み進めるのがどんどん辛かった。 -
キリスト教、黙示録、異端と正統。
こういったキリスト教についての事柄が物語全編に記されている。
キリスト教に馴染みのない日本人には読みにくいところも多いと思う。寧ろ、キリスト教徒であるわたしの方が考え考え読むため読み進めることが難しかった。
多くの変死事件が閉ざされた空間である修道院で起きる。その事件の謎を解く探偵小説として十分愉しめる。
信仰に生きるひとが集う修道院で、何故ひとが殺されていくのか。
殺人事件とは縁遠いはずの場所で起きる事件の背景には、人間が人間であるがゆえの様々な欲が渦巻いている。
謎の“アフリカの果て”とは何のことなのか。
誰が犯人なのか。
修道院はどうなってしまうのか。
こういったことが名探偵ウィリアムとアドソの推理と活躍によって解き明かされる。
修道士となるときは誰もが敬虔な信者であったはずなのに、欲に負けてしまったり信仰を歪ませてしまう。
人間が人間である以上、誰もが罪深い。
だからこそ、ひとは神に縋るのだ。
言葉は記号。
この記号の意味することを知りたいと望み、記号が正しく伝わらないと諍いが起きる。
記号論学者であるエーコならではの作品だった。
真の愛とは愛される者の喜びを願うものだ(p225)
この言葉は愛を簡潔に説明している。
神様はいつもわたしたち人間を深い愛で見守ってくださる。
教会に行かなくちゃ。 -
神の止めどもない意思によるとすれば、この世でおきるあらゆることは異教徒の行いさえ予定調和‥‥アンチ・ミステリとも読める最後。あまりにも宗教的小説の何層にも渡って挟まれた宗教的寓話が読み解けない文化圏知識層にあることを悔やまれた。しかし解説では尚も、ラテン語などふんだんに使われた言葉は原文では解せるイタリア人は少なく、文字を記号として見るという装置であり、無理に翻訳せず記号として扱うよう、翻訳に際し、記号の研究者であり記号を愛する作者から、指示さえあったという。
それでもラテン語部を片仮名表記にしてくれた訳者の老婆心に日本語読者として感謝を表明したい。小説的にこの翻訳を行ってくれたことも、大変ありがたかった。記号でも、読みたいのだ。作者と同じようにはくみ取れなくとも。せめて、文字が読める間、翻訳ができる間だけでも。様々な本を翻訳している名も無き修道士が過去から現代に到るまで幾重に登場する舞台(増院)であるが、暗に描かれていたのはその翻訳という作業への熱意ではなかろうか。‥‥あらゆることを穿ちたくなる小説なので、こんなことを思っても許されるんじゃないかしらん。 -
中世イタリアの僧院を舞台に次々と死者が出る。そして、最後は壮絶なクライマックスを迎える。
あらすじ自体も複雑なうえ、背景となるキリスト教の歴史の理解もないから読むのに骨が折れた。また、セリフや描写が長いところも本書を難しくしている印象。
ただ、内容はそれを上回る面白さだった。話が重層的に折り重なっており、推理小説やミステリーという範疇にくくれない深さを持った作品に思えた。
主人公の一人のウィリアムが、ブリテン島出身者のステレオタイプらしく描かれたところは妙にツボにはまった。 -
おもしろかった〜!
イタリア古典は神曲地獄編くらいしか読んだことないけど、デカメロンくらいは読んでおかないといけないなあ。勉強すればするほど楽しめるとなると果がない、、!
薔薇の名前と彼女の名前を村上陽一郎さんが考察したというものが解説に載っていたけど、私はちょうど市民ケーンを観たばかりだったのでやはり彼女の名前すなわち愛という印象を強く受けた。
これはそのうち読み直したいしその時こそは読み飛ばした議論のあたりも理解してみたい -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784488013523 -
上巻の終わりから坂を転げ落ちるみたいにどんどん面白くなっていく。
アリストテレースの詩学が読みたくなった。