- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488023874
感想・レビュー・書評
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最近はまりつつある貫井徳郎さん作品。タイトルがなかなか禍々しい。今まで読んだ「悪の芽」「壁の男」とはまた違って、登場人物全てが愚かしいのでムカムカすること請け合い。
誰もが羨むようなエリートサラリーマン一家殺人事件が起こった。妻も子供2人も殺害。犯人は誰なのか?動機は?フリーのルポライターが事件の真相を追う。インタビューしていくうちにこの夫婦の人間性が暴かれていく。
どいつもこいつも…と誰一人として共感出来ない。だがそこが良い。人間の持つ醜さが泥臭くていい。容姿端麗で人たらしの女。過去を自分のいいように解釈し、改竄し、自分が傷つかないように振る舞う女。娘に手をだすゲスな父。その娘を泥棒猫扱いする母。自分の為なら彼女をだしにして地位を手に入れようとする男。そしてネグレクトで3歳の娘を衰弱死させた女。
まぁ酷いけどこれも人間の性なのか。これだけ醜い部分が描いてあるのは面白い!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一家惨殺事件が起こる。その一家は夫は有名な不動産会社の社員で、奥さんは美人。子どもは2人。家も裕福で誰もが羨むような家族だった。
その被害者家族に関係する人々をインタビューしていき、色々な人の目線で被害者を見つめていく。まさかインタビュアーがと思うも、後の祭り。
冒頭で児童虐待のニュースがあり、その後インタビュー形式で物語が進んでいき、さらには合間合間で気になる兄妹の会話がある。どこでこれらが繋がっていくんだろう?と気になり読み進めていくことになるが、最後までわからないまま。そう繋がったか!とラストはスッキリ。頭ではスッキリするも、心はスッキリできない内容。
1人に対して人によっては色々な見方がある。当たり前のことだけど、一方の話だけでは当てにならないなと考えさせられる。
それにしても、物語はしっかりと練られていて、さすが貫井徳郎といった感じ。面白かった。-
ひとしさん、こんにちは!
息子がインフルの為家にいます。朝から雪かきしてました。腰が…(涙)
そうですか…。私なんて何故かそこ、飛ばして...ひとしさん、こんにちは!
息子がインフルの為家にいます。朝から雪かきしてました。腰が…(涙)
そうですか…。私なんて何故かそこ、飛ばして読んでました。ま、読んでいても多分分からなかったかな。貫井さんの他の本も読んでみたいです。この本、なかなかでしたよね!2018/01/23 -
「慟哭」は読めそうです。ゾンビの本は750人待ちでした。これ、賞を取った本だったんですね。読むの、来年になりそう。
娘も早退してきました(...「慟哭」は読めそうです。ゾンビの本は750人待ちでした。これ、賞を取った本だったんですね。読むの、来年になりそう。
娘も早退してきました(汗)模試だったけど、体調悪くてさっぱりだったって…。ホントかなあ。
2018/01/23
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これで、2冊目の貫井徳郎さんの作品。
前回かなりどよ~んとした余韻に懲りたのに、
また借りてきてしまった。
そしてあいかわらずどよ~んとなる。
タイトルどおり、一家殺人事件の被害者を語る証言録、
その証言だけで話は展開していく。
出てくる人たちが、あまりにも救いようがないぐらい
愚かな人たちで読むのはつらいけど、
うまく組み立ててあるので、
ついつい先が気になって読んでしまった。
感想を一言で言うなら、
「慶応大学を見る目が変わった」に尽きる。
どういう意味か気になる人は、ぜひ読んでみてください。 -
田向家滅門慘案,某位男性作家的面談中,許多人娓娓道來,慢慢從各個角度可以描繪出田向夫婦本身的性格與為人(其實是還不到大奸大惡,但也不乏各種陰濕無情的手段),中間穿插一個不明的わたし的自白。作品本身筆力並不差,構成本身很像在許多人口中找犯人的懸疑感,但差不多中途就知道犯人(最開頭那一段安排新聞自爆原因為何?),最後收線卻有點薄弱,所以變成一部很奇妙的作品,就是單純享受作者撰寫人性的筆力(這部分真的不錯),但是就作品的呼應、構成本身卻略嫌散漫不夠集中,且殺人的動機就單純是莫名其妙心頭火般地薄弱,犯人根本沒有意識到之前田向太太(舊姓夏原)對她做了什麼,而只是就突然爆發而已,不但完全沒特別計畫而且砍人就像切菜般容易一次砍四人(其他人都不逃命嗎?觀察其犯行其實根本很容易留下各種證據,甚至還在那裏停車、換衣服等等),讓前面的鋪陳反倒有點可惜。
整本書最令我訝異的就是描寫慶應大學的內部生(從小一路直升)、外部生(大學才進入)生態,有著明顯的差異與鴻溝,甚至在校外吃飯、休閒都在不同區域,女性們之間的各種競爭暗潮洶湧,外部生女性拚死要擠進去抓住金龜婿的描寫,令人印象深刻。 -
一家四人が殺される事件から1年、事件を追う記者が近所の人や被害者の関係者にインダビューをしていた。
誰もが羨む様な幸せな家族、取材が進むうちに、その夫婦の過去のことや暗い部分が浮き彫りになります。
最初に出てくる幼児虐待の新聞記事は何なのかが気になりつつ、田向夫妻の噂話を野次馬気分で読み進めていました。
事件の真相は、びっくりというか意外というか、想像出来ないものでした。
最後の怒涛の告白、愚行録、なるほどという感じです。 -
一家惨殺事件の被害者に関わる人々が
それぞれの立場で自分や被害者の話をしていくという設定が
おもしろかった。
話の終結も、この人がこんな風に関係してたんだ!
という感じで、
最後まで予想できない展開だった。
以前に読んだ
角田光代の「坂の途中の家」を思い出させるお話。
人の印象というのは
それを語る者のフィルターがかかる。
それは絶対じゃなくて、
あくまでも語った人が感じたイメージでしかない。
最後はちょっと重く切ない。。 -
惨殺された夫婦の人間像を、知人・友人の証言から描き出すストーリー。タイトルの通り、人間の愚行のオンパレードでした。
「人間は馬鹿だから、男も女も馬鹿だから、愚かなことばっかりして生きていくものなのかな」。まあ愚かだからこそ、愛おしいのかもしれませんが。
それとこの小説を読むとよく分かるのですが、人が誰か(もしくは何か)について語るとき、所詮ある一面でしかないんですよね。これが真理だ、と自信たっぷり言う人間は疑ってかかったほうがいいよね、やっぱり。鵜呑みにするなんてもってのほか。
それにしても貫井さんって、相変わらず読者を引き込むのが巧いなぁ。読み出すと他のことが手につかなくなる。 -
映画化されると知り、早速読みました。この語り口、最初湊かなえさんかと思いました。いろいろな人の証言で、事実が語られていくところ。田向夫妻のあぶり出され方に、私ですら反感が感じられていって、人の見方って怖いな、と思いました。衝撃、いやミスとまではいかなかったけれど、軽く語られたラストは重かったです。
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普通に長編(260ページ)だけど、約2日で読んでしまった。女性が書いてはいないけど、イヤミスみたい。
最初にある女が3歳の自分の娘を衰弱死させたという新聞記事が出てくる。以降はリッチで幸せそうな田向一家が惨殺され、その事件を調べるルポライターが関係者にインタビューしていく形式で話が進んでいく。
まあ、このテの作品で予想がつくのは、一見善良そうな田向夫婦が実は狡猾で嫌な人物だとわかっていくところ。さて、彼らは誰に恨みを買っていたのか…
犯人探しというよりも…人を利用することしか考えていない人間がいて、なぜかいつも利用されてしまう立場の人間がいて…虚しい関係性だなと思う。真相がわかっても、どっちもどっちって感じなので、カタルシスはありません(笑。
ラスト近くで意外な人物の意外な正体には驚いたが、あまり伏線がなかったような気もするので、ちょっとアンフェアに感じた。 -
図書館より
一家惨殺事件の被害者の関係者たちの証言と、ある兄妹の妹の告白が交互に展開し事件の全容を明かしていく小説。
全て語り口調で展開する小説なので、やはり思い出してしまうのは湊かなえさんの作品。出版は『告白』よりこの本の方が早いみたいですが。
証言だけで展開する小説は、証言する人物によって全然被害者や事件に関する見方や持っている情報が違うわけで、これが騙されやすいかつお人よしの読者である自分にとっては面白いんですよね(笑)
証言者が増えるごとに「え、あの人って実はこんな性格だったの? さっきの人はこんな風に言っていたのに」と自分の中で思い浮かべていた像がどんどん崩されて行く感覚が楽しいというか(笑)
タイトルの『愚行録』というのも味わい深い。証言者が語っていくごとに被害者の所業……というほど悪いことをしたかどうかはともかく、人間に特有の悪意、嫉妬から起こした行動が透けてきます。それは証言者の側の方にも言えて、彼らがいわゆるエリートである被害者たちにどのような感情を持っていたかも透けて見えてそれもある意味では愚行なんですよね。もちろん犯人が行った殺人も愚行ですし、そうした人間の悪意を楽しみながら読んでいる自分自身も愚行なことをやっているのかも(笑)
同じ構成の作品を先に何作か読んでいたので、展開については読めてしまったのですが、きちんと作りこまれていて十分に楽しめました。貫井さんは初読だったのですが、今後もお世話になりそう。