クララ殺し (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 814
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025502

感想・レビュー・書評

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  • 多数の横文字登場人物と理詰めの推理に頭が追いつかなくなることがあったが、話自体は面白かった。特にビルとスキュデリのやり取りは好きだった。
    アーヴァタールの誤認は前回もあったな…とちょっと気になったが、誰が誰かを考えるのも醍醐味の一つだから仕様が無いのか。

  • +++
    大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向こうでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが…。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム。
    +++

    『アリス殺し』の姉妹編。前作と同じく、というよりも前作以上に、要素が複雑に絡み合っており、しかもあちらの世界とこちらの世界も複雑に入り組んでいて、謎解きにかかる辺りからはことに、頭の中がグルグルしてくる。誰が誰のアーヴァタールで、誰と誰が通じているのか、さらには誰が改造されて元とは違う存在になっているのかが複雑で、解きほぐせなくなってくる。しかも、罪と罰の観念もあちらとこちらでは違うので、なにを持って解決とするのかも不確かで、いささか消化不良気味でもあり、哲学的と言ってもいいかもしれない。次々に暴かれる本体とアーヴァタールの相関関係が判ってくると、どんどん先を知りたくなる一冊でもある。

  • 残酷童話シリーズ。いや、こんなシリーズ名ではないと思いますが。

    車椅子でクララときたらハイジだろうって思ったのですが、クララ違いでした。
    アリス殺し読了済なので、一筋縄ではいかないことは理解済。似てるから同じとは限らない。
    ホフマン作品は読んだことないなー。くるみ割り人形は、改変済ののあらすじ読んだくらい。

    というか一番突っ込みたいのが、諸星ダンもとい隼人貴様…どこにの世界に飛んでんだお前!
    なんで銀色の巨人になってんだよちょっと羨ましいなおい!

  • むずいーー

    アリス殺しを読了後だから
    ホフマン宇宙と地球のアーヴァタールが全く違う姿かもとは考えてたけど、人数多くて、名前も耳慣れなくて人形だったり蛇だったりオートマータだったり誰が誰やら。

    最後にどんな話から取ってきたのか作品名とそれぞれのあらすじが載せてあるけど、くるみ割り人形すらちらーっとしか知らなかった。

    井森がビルでないパターンすら考えてたけど、そこは違わなかった。

    人形のマリーがくらら
    クララがドロッセルマイアー教授
    ドロッセルマイアーは礼都
    スキュデリは徳さん岡崎徳三郎

    最後の今回は違う展開なんだよってアリスの話に戻ってもビルは死なずに済んだのかな。

    蒸着の予定を譲ってと食堂で若い女性に呼び掛けられる。
    井森は
    「スナークは?」
    女性は凍りついた
    「元の世界に帰るには君の協力が必要、さっ合言葉に答えて」
    「ブージャムだった」
    世界はがらりと変わった。

  • 「アリス殺し」の続編。前作の手口はわかっていた筈なのに、今回も綺麗に騙された。トリックを悟らせない書きぶりが見事です。

  • 「アリス殺し」続編
    蜥蜴のビルが迷い込んだ『ホフマン宇宙』。そこの住人のクララとドロッセルマイヤー。彼等のアーヴァタールが地球の井森に捜査を依頼。命を狙われているクララとくららを助ける事は出来るのか。
    出ましたねー、続編。
    ビルがいいなぁ、面白い。実際相手をすると大変なんだろうけどね。蜥蜴だし。できれば関わり合いたくないないんだけど、なんでそうなんの?って感じに会話が横滑りする様は読んでて楽しい。成り行きで捜査をするビルと井森の活躍と会話を楽しんでください。

  • まさかの「アリス殺し」続編。ビル&井森が「ホフマン宇宙」で起こる事件に挑むのだけれど……ホフマンって何? と思ってしまいました。いえいえ、ご存じない方でもきちんと最後に解説がありますので安心です。今作も前作同様、それぞれの世界とアーヴァタールを巡る謎があるので、前作を先に読む方がいいかも。
    今回も謎はかなり複雑に入り組んでいてぐるぐる。ただし、前回のパターンを踏襲すれば、真相の5割くらいは分かったかも? でもこの世界独特の要素も踏まえて、すべての仕掛けを見抜くことはかなり難しそうです。ほんっとうに根性悪いなあ(誉めてます)。
    しかしそれにしても井森……○○されすぎっ!(笑) ここまで来ると同情よりむしろ笑えてきてしまいます。そして小林泰三さんの他の作品に登場するある人物までが出てきたり、当然「アリス殺し」とのリンクもあったりと、サービス満点の一冊でした。

  • "「でも」ビルは顔を上げた。「僕の地球でのアーヴァタールは人間なんだ。だから、人間になった時の気持ちはだいたいわかってるよ」
    「よくわからないけど、それは魔法じゃないのね」
    「よくわからないよ」ビルはにこやかに答えた。
    「そう。よくわからないのね」
    「まあ、僕にとってはたいていのことはよくわからないんだけどね」
    「さあ、ビル、次に行きますよ。一人ずつ話を聞くたびに、少しずつ全体像が見えてきましたよ」"[p.140]

    ハイジのクララじゃなかった。でも最初の登場シーン的にその勘違いも誘っているようにも思える。
    ホフマン作品を読んだことがなかったので、最後の解題でああそうだったのかとようやく気付けた。
    礼都さんや徳さんが出てくるのは嬉しかったけど、諸星隼人をそう絡めてくるのかと驚いた。
    『不思議の国のアリス』を井森が聞き取れないところと、最後のアリスへの繋ぎがまた良かった。

    20180707 再読
    他人の人生でいたずらをするドロッセルマイアー=新藤礼都という構図が鳥肌。くわばらくわばら。
    丁寧に事件を解決していくスキュデリが良い。
    新藤礼都は本当に徳さんのことが苦手そうだ、と思いながらぱらぱら読み返すとなるほどドロッセルマイアーはスキュデリに対して苦手意識があるらしい。
    井森は最後の合言葉をきっかけに、ビルを不思議の国へと戻すことができたのだろうか。
    最後のくるみ割り人形と鼠の王様の解説の、一番最後、くるみ割り人形では主人公の名前がマリーからクララと改められていることに、ぞっとする。私の物語を返して、が二重の意味で読み取れる。

  • アリス殺しの予備知識で裏があるのは察していたけど、今回は元ネタを知らないせいで名前も馴染みがないし混乱。ハイジのクララかと思った。相変わらずビルの間抜け感が好み。

  • 約4時間で読み終えました。

    前巻程の臨場感は無くとも、躍動感があります。
    そして井森に対して少しimageが変わりました。
    前巻はあれ程頼りになる存在だったのに、今巻は意外と間が抜けています。
    同じ場所で3度殺されるなんて……。
    頭の回転は変わりがないだけに、これが残念でもあり彼らしくもあります。

    それから登場人物の相関で驚く様な事があり、2巻読了後はこのseiresは是非続けて欲しいと感じました!!

    少し意外だったのが、今巻は前巻の前に起きた事件だと言う事です。
    その直後に前巻の話が立て続けに起こり、井森も疲れているだろうに…。

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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