ミツハの一族

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027469

感想・レビュー・書評

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  • 未練を残して死に、鬼となった者をあの世へと送る役目をもつ烏目と水守の物語。

    眼科医になるために医学部に通う八尾清次郎は、いとこの庄一の死によって突然烏目役の任を引き受けることとなる。
    始めは乗り気でなかった清次郎だが、水守の美しさに心惹かれ鬼が出るたびに役目を果たしていく。

    ミステリーとしても物語としてもすごく面白かったし
    最後の話は泣きました。
    富雄もやっぱり色々心に抱えてたんだなぁとか
    確かに清次郎と水守は心通じあっていたんだなあとか
    生きて結ばれてほしかったなとか。

  • 読んでいてちっとも楽しくなかった。何に未練があるのか、どうしたら成仏できるのか、その理由も弱いというかすっきりしない。ラストは少し期待したが、やはり理由が弱い。

  • この世に未練を残して死ぬと鬼となり、井戸の水は赤く濁り、貴重な水源が涸れる。鬼を見る目を持つ水守が烏目役に鬼の姿を語り、烏目役は未練を断ち切り鬼を成仏させる。一族に伝わる目を持つ清次郎と水守の連作短編集。この世に残した未練が何なのか?どうすれば願いが叶うのか?解き明かしていくうちに心を通わす2人。だからこその最終話がとんでもなく切ない…ミステリーでもありながら、とても幻想的。良かった。とても良かった。

  • 独創的なせかいにゆつたりと浸れます

  • 美しくてかなしい

  • 前世への未練を残したまま亡くなると鬼になり、水を枯らしてしまうといういわれのある村が舞台。
    特殊な目を持って生まれついたことから、鬼をあの世へと送る役割を持った二人を中心に、耽美的な雰囲気のなか、物語は進んでいく。

    謎を解きながら死者を送るいくつかのストーリーを重ねたあと、ラストは急展開となる。発想はおもしろく、好きな作風なのだが、この終わり方をするなら、最初から一貫してもっともっと妖しく倒錯した世界を極めて見せてほしかった。

  • 予想どおりの終わり方でした。

  • 大正時代を舞台とした幻想的な連作ミステリ。水源を守るための使命を与えられた烏目役と水守の物語。
    未練を残した死者が「鬼」となり、その未練を断ち切り黄泉路へ送る役目を持つ烏目役。仕方なくその役を引き受けたはずの清次郎は、水守のあまりの美しさに心奪われてしまう。その二人の交流がなんとも儚げで美しく、魅力的です。ずっと孤独に生きていた水守がさまざまな楽しみを知っていくさまも微笑ましくて暖かさを覚えます。
    鬼の未練を探り断ち切るミステリ部分も読みごたえがあります。少し恐ろしげな部分もありつつ、哀しみと優しさが感じられる作風にしんみり。ラストにはほろりとさせられてしまいました。

  • まさしく乾文学だ。村のしきたり、言い伝えによる物語。読み始めたらやめられません。

  • 大正の香り漂う美しい物語。
    オカルト要素の絡むこういったお話は沢山あるけれど、烏目役に水を守るといった確固たる責任を負わせ、小安部の人々の生活を描いたことで、夢想的な香りばかりではなくなっている。
    実際清次郎の想いは強くはっきりとしていて、確かに生きている人だという印象が強い。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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