金環日蝕

著者 :
  • 東京創元社
3.95
  • (95)
  • (151)
  • (84)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 1363
感想 : 166
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488028787

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイトルに込められた意味が最後までよく分からなかったです
    現象としては分かるんだけど

    いわゆる特殊詐欺を題材としたお話で、線と線がどんどん繋がってゆく気持ち良さが特徴的な作品でした

    ただね

    いや、登場人物全員悪人って訳にもいかないのは分かるんです
    むしろ詐欺に加担する人たちにも色々な背景を持たせないと小説にならないということも分かるんです
    でもそうなると、追い込まれた人たちや、育ってきた環境によってはしょうがないことだとか、やむにやまれぬ事情が…というような想いを加害者側に抱きそうになってしまう
    実際主人公の一人である春風は、そんな人たちに同情的な立場をとってしまう場面もあります
    しかしもうひとりの主人公錬は、一切の妥協なく詐欺を働く人々を断罪していきます
    彼の一貫した憎しみにも似た感情が、安っぽい同情に傾いてしまいそうになる読者を踏みとどまらせバランスを取っているように思います
    そして、感情に左右されずに本当の解決とは何なのかを考えさせる方向に意識を向けさせているのかな
    そんな感じがしました

    • 土瓶さん
      静養しなはれや( ˘ω˘)スヤァ
      (-_-)zzz
      (-_-)zzz
      (-_-)zzz
      静養しなはれや( ˘ω˘)スヤァ
      (-_-)zzz
      (-_-)zzz
      (-_-)zzz
      2023/01/22
    • 1Q84O1さん
      土瓶師匠やさしい(•ө•)♡
      土瓶師匠やさしい(•ө•)♡
      2023/01/22
  • 北海道大学2年・森川春風はある日、斜向かいの家に住む、老婦人がひったくりにあう場面に遭遇した。
    春風は、そこに居合わせた、高校生の北原練とともに、犯人を追いかけたが、間一髪で逃してしまう。
    しかし、その犯人が落として行った、落とし物に、心当たりがある春風は、犯人探しをしようとするが、練も仲間に加わる事になり、二日間だけと、期間を区切り、探偵コンビを組むことになる。

    落とし物を頼りに、どうにか犯人が特定されたが、物語は、意外な方向へと動いて行った。

    最終的で、別れた練の父親が、母子の写真をこっそり持って帰ったと言うところで、救われたような気分になった。

    読者をそこへ誘うような、風景の描写がとても、素敵だった。

  • 「白と信じていたものが、次々とひっくり返り、見る間に黒に染まっていく」

    舞台は北海道・札幌。
    ひったくりにあったおばあさんを助け、犯人を追った2人。女子大生と男子高校生。逃げる際に落としていった、あるストラップを手がかりに犯人を追うところから始まるが… そこから想像していた方向とは違う展開へ

    思わぬ展開に時系列、関係性を何度か読み直して、バラバラのピースが繋がっていく

    何というか、人の持っている影、暗闇がどこまでも深く、そして先が読めず。最後はまで読む手が止まらなかった。

    最初は、金環日蝕というタイトル、表紙のイメージとストーリーがマッチしていないなーと感じたが、読み進めるうちに、金環日蝕の持つ深ーい意味に納得。いや腹落ちか



  • 斜向かいに住むおばあさんがひったくりに遭う瞬間を目撃した大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。
    犯人の落とし物のキーホルダーに心当たりがあった春風は、ひとりで犯入探しをしようとするが、錬に押し切られて探偵コンビを組むことに。
    調査の結果、春風と同じ大学で犯人の正体を突き止めるが、事件は思わぬ方向へどんどん進んで行く。

    登場する中・高・大学生、理不尽な出来事の被害者であったり、理不尽な境遇であったりするが、みんな受け止め方や生き方が全然違う。
    何が正しくて何を許せないのか、悪いのは誰なのか、ちぐはぐな様でもあり均等をとっている様にも思える印象だった。
    次々と明らかになっていく真相が、予想とは違う方向へ突進していくので、最後まで目が離せない。

    「金環日蝕」魅力的な光と圧倒的な闇。
    彼らの大切な人を想う真っ直ぐで優しい光と、どうしょうもないくらいの漆黒の心の中の大きな闇、ということなのかな。

    • 土瓶さん
      回転寿司行きました(´~`)モグモグ
      回転寿司行きました(´~`)モグモグ
      2023/04/29
    • 1Q84O1さん
      戻ってきたら何かすごいことにw
      カリスマレビュアーはオーラ全開で語りかけているしw
      なぜか食べ物の話に変わってるしw
      私も腹減りましたから晩...
      戻ってきたら何かすごいことにw
      カリスマレビュアーはオーラ全開で語りかけているしw
      なぜか食べ物の話に変わってるしw
      私も腹減りましたから晩ごはんにしまーす(´~`)モグモグ
      2023/04/29
    • あゆみりんさん
      土瓶さんの回転寿司いいなぁ
      最近、はま寿司が好きです
      土瓶さんの回転寿司いいなぁ
      最近、はま寿司が好きです
      2023/04/29
  • 知人の老女がひったくりに会うのを目撃した大学生の春風は、近くに居た高校生の錬とともに犯人を追う。
    取り逃がしたが、犯人の落とし物に心当たりがある春風は錬と一緒に探し出すことになる。
    ここから物語は始まるが、想定外の面白さ。

    クールビュティーで行動力もある春風とイケメンで家族思いの錬という充分に楽しめるキャラコンビにワクワクしながら読み進める。
    だが外見だけで判断できないと痛感することが、次々と。
    春風が大学で心理学を専攻するのも過去の出来事に関係している。
    錬の父にも重い過去があり、双子の弟の足にも辛い過去があった。

    中盤以降、そうであって欲しくないという心の声が響きまくりで、どうなる?状態で一気読み。

    誰も親は選べず、貧困に抗うこともできずに犯した罪。
    だが断ち切らないと周りを巻き込むことになる。
    誰かがそばにいて明るいところへ連れださないと…
    思わずにはいられなかった。



    錬の父親、謎だが心優しい人だと感じた

  • みなさんは多くの本を読んでいるとこんな経験はないですか?
    ブク友さんと同じタイミングで同じ本を読んでいるとか、ブク友さんが読み終えた本が今、手元にあるなど…
    こんな素敵な偶然ってあるんだって思いますよね!

    しかーーーし、あるカリスマレビュアーに言わせるとそれは偶然ではないそうです
    起きていること全てに理由があるそうです
    例えば、知らず知らずのうちにカリスマレビュアーに導かれているとか
    私は本作をカリスマレビュアーに導かれて手にとった(といことになるそうですw)


    前置きはさておき本作は、

    知人のサヨ子がひったくりに遭う瞬間に遭遇した大学生の春風は、たまたまその場に居合わせた高校生の練と犯人を追いかけたが取り逃す
    犯人の落とし物に心当たりがある春風は、練と二日間だけという期間を決めて犯人を探し始める

    また一方、大学生の理緒は経済的に苦しい家庭で育ち家族を助けるために働いていたバイト先でカガヤと名乗る男と出会う

    これらの人物とその周りの人物ががどのように絡んでくるのか…
    また、それぞれが持つ過去の辛い出来事や記憶が明らかになってくる…

    物語の終盤でばらばらに散らばっていたピースが凄まじい激しさでつながっていく
    ここからはノンストップの一気読み!


    カリスマレビュアーに導かれて手にした本作、面白かったですよ!
    しかし、やっぱりひとつ訂正が…!
    残念ながら今回はカリスマレビュアーに導かれて手にとったわけではないですよ、ひまわりめろんさん(^.^;
    あっ!?
    名前出しちゃったwww
    けど、ひまわり師匠がカリスマレビュアーであることは間違いなく事実です!( ̄ー ̄)ニヤリ















    たぶん…w

    • みんみんさん
      イバラギーゼだろがʅ(◞‿◟)ʃ
      イバラギーゼだろがʅ(◞‿◟)ʃ
      2023/05/04
    • 1Q84O1さん
      確かにw
      確かにw
      2023/05/04
    • ひまわりめろんさん
      ちょっと何言ってるかわからないんですけど
      自分、銀河帝国出身ですよ
      ちょっと何言ってるかわからないんですけど
      自分、銀河帝国出身ですよ
      2023/05/04
  •  いやいや、恐れ入りました。本作は素晴らしい! 先日投稿した「2022年下半期ベスト」を修正したいほどです。もう、お年玉ですかね、年末のこの出会いは! あ、Xmasプレゼントか。まさに至福の読後感でした。

     本書は、逃亡するひったくり犯を追う大学・高校生コンビが、詐欺グループの領域に巻き込まれていく物語です。
     なるほど〜、そういうことか〜の連続で、ページをめくる手が止まりませんでした。    
     語り口が軽快で、家族や友人との会話もテンポよく、人物造形や生活感が滲み出る描写に秀でていて、最初から最後まで物語に没入!
     これらと対比するように、登場人物が背負う生い立ちや人生、どうしようもなく犯罪に手を染めてしまう人の心理が巧みに描かれ、読み手の心をえぐるように突き刺さってきます。質の高い明と暗の描き分けです。

     理不尽な悪夢・悲劇を繰り返さないよう孤独な闘いをしている人に、せめて理解しながら寄り添い、希望の光がほしいと、同調しました。金環日蝕の<中心は暗闇に沈んで何も見えないのに、その輪郭だけが強烈なかがやきを放つ>存在のように…。
     ある人が「他人と過去は変えられない。しかし、自分と未来は変えられる。」と言いましたが、関わり方次第で、他人の未来をも変え得るかもしれません。
     多くの方に、声を大にしてご一読をおすすめします。

    • Manideさん
      NO Book & Coffee NO LIFEさん、こんにちは

      この感想を読んだら、「ぜひ読みたい」と、感じてしまいますね。さっそく、近...
      NO Book & Coffee NO LIFEさん、こんにちは

      この感想を読んだら、「ぜひ読みたい」と、感じてしまいますね。さっそく、近所の図書館調べたら所蔵していなかったので、久々に本を購入しました。

      もう、他人の未来を変えてますね(笑)
      本を読むのが楽しみです ^_^
      2022/12/08
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      Manideさん、こんばんは!

      コメントありがとうございます。
      本当は、あまり人に本をすすめるのは抵抗があったのですが、ちょっと力んでしま...
      Manideさん、こんばんは!

      コメントありがとうございます。
      本当は、あまり人に本をすすめるのは抵抗があったのですが、ちょっと力んでしまいました。
      思いっきり推薦し、ドン引きされてもなぁとか、人それぞれだし〜とか、でも、誰かと共感できたら喜びは倍増! とも思っちゃいます。

      Manideさんは図書館派なのでしょうか?
      書籍代、馬鹿になりませんね…。
      他人の未来を変えた是非が問われますね。ドキドキ。
      責任はもてませんが(無責任!)感想楽しみにしてます♪
      2022/12/08
  • 大学生の春風は、近所で知人の老女がひったくりにあう現場に遭遇…近くにいた高校生の錬とともに犯人を追いかけるも取り逃がしてしまう…。犯人が落としたキーホルダーを手に、2人で犯人捜しをすすめる…。
    また大学生の理緒は家族の生活を守るために必死でバイトをしていたが、バイト先で出会ったカガヤから特殊詐欺の名簿作成のバイトをすすめられ…。

    一見関係なさそうに思えたけれど、読み進めるに連れて見事につながります。なんだが、特殊詐欺に身を置かなければならない状況とか、読んでいて苦しくなり感情移入してしまいます。なんだか、悲しいなぁ…何とかしてあげられないものか、考えてしまいました。すべての未来のある若者が、自分の夢を安心して追いかけられる社会になるよう、願わずにはいられません。

  • みなさん読まれてて遅ればせながら面白く読了です。
    こんな時間まで一気読み(*_*)

    ちょっと危ないくらいに犯人を探す女子大生
    頭も容姿も性格も良い子すぎて逆に怖い高校生
    犯罪に対して何か暗い過去があるんだろうと思って読んでいきました。
    読書をしていて辻褄が合って行く快感というのは良いものです♪

    悪に手を染める理由は親?育った環境?お金?
    何がその一線を越させるのか…
    何を言い訳にするのか…

    タイトルの金環日蝕を日食としなかったのは何故かしら?
    蝕むという意味を込めて使ったのでしょうか?



    久しぶりに話題作を読んだ気がするな笑



    • 1Q84O1さん
      夜更かしお疲れさまです!
      ひとまず睡眠ですね(¦3[▓▓]
      夜更かしお疲れさまです!
      ひとまず睡眠ですね(¦3[▓▓]
      2023/05/10
    • あゆみりんさん
      みんみんさん、蝕むって読むと、なんかすごいですね。
      蝕む、言葉の圧がすごい…
      みんみんさん、蝕むって読むと、なんかすごいですね。
      蝕む、言葉の圧がすごい…
      2023/05/10
    • みんみんさん
      でしょ?読む前に調べたら日食だったから
      以前は日蝕だったって書いてあった_φ(・_・
      なんかジワジワ〜って黒くなるっていうか
      されていくって...
      でしょ?読む前に調べたら日食だったから
      以前は日蝕だったって書いてあった_φ(・_・
      なんかジワジワ〜って黒くなるっていうか
      されていくって感じ?
      あ〜犯罪に染まるいやな感じにピッタリだなぁと!
      2023/05/10
  • ことごとくの一冊。

    女子大生と男子高校生の二人が偶然遭遇した老女のひったくり事件。
    その犯人を追っていくシンプルなミステリかと思いきや、複雑かつ奥深い要素を孕んだミステリだった。

    想像がつく点もあれど、ことごとく覆されていく感覚と、人の顔、内に隠し持つものをことごとく見せられる感覚が同居するテイストは素直に面白かった。

    点と点が繋がりを繰り返しまるで最後に壮大な円を描いたその内側にあるものは決して明るいものだけではない。

    置かれた環境に左右される理不尽さ、犯罪に蝕まれていくやるせなさはいつだってしんみり心に残る。

全166件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

岩手県生まれ。『陸の魚』で雑誌Cobalt短編小説新人賞に入選。『いつまでも』で2008年度ロマン大賞受賞。集英社オレンジ文庫に『鎌倉香房メモリーズ』シリーズ(全5冊)、『どこよりも遠い場所にいる君へ』コバルト文庫に『屋上ボーイズ』、ノベライズ『ストロボ・エッジ』『アオハライド』シリーズ、他の著書に『パラ・スター 〈Side 宝良〉』などがある。

「2022年 『読んで旅する鎌倉時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

阿部暁子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×