ヴァイオリン職人の探求と推理 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488178055

感想・レビュー・書評

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  • 最初に出てきた4人が事件に巻き込まれる或いは主人公の謎解きの合間に出てきてはヒントを与える、というような話を想像していたけれど全然そんな事はなかった。

    カルテットの1人が物語の冒頭で早くも帰らぬ人となったので、ならば遺された3人が仇を打つために犯人を探すという展開か、と思いきや神父はほぼ空気で推理にまったく絡んでこなかった。

    深読みしすぎて2度も肩透かしを食らった本作ではあるが、主人公のジャンニが自分の持っているヴァイオリンに関する知識を使って謎を解き、カルテットの一員であり一緒に事件を捜査しているグァスタフェステが置いてけぼりを食らっているという構図は私の割りと好みなパターンだったのでとても楽しめた。

    専門知識を持った探偵役がその知識を使って謎を解いて、専門知識を持っていない相棒が探偵役の推理についていけない専門職系のミステリーは読んでいて非常に楽しい。

    探偵役の頭がきれるだけだと読んでいるこちらとしては「へえすごい」の一言で終わってしまうけれど、専門知識を使っている場合だと「これがここに当てはまって、ここがこうで」と細かい解説も入るから、切れ者でなくても理解ができるし知識も増えて一石二鳥。

    こんな感じのミステリーをもっと読みたい。

  • オーケストラ仲間から勧められた本。
    ストラディヴァリ、クレモナなど、名前だけは聞いたことがあったものの、それ以外は全く無知だったので、そちら方面の知識を得ることができたことが、まずは収穫。
    ミステリーとしても堅実でなかなか面白く、エアイタリア旅行も楽しめる。
    ゆったりとした職人気質の主人公も、生真面目な警官も(ほんとにイタリア警察か、というツッコミも)。

    柔らかい中に、きちんと芯が通ったような印象だが、その分、インパクトには欠ける感もあり。
    2作目を読んでみたら、また分かってくるものがありそうだ。

  • 老人が探偵役のスローペースなミステリなので、途中で飽きるかと思ったら意外に最後まで面白く読めた。
    殺人事件の謎解きとしては面白味に欠けるけれど、ヴァイオリンの歴史とそれにまつわる謎としては、新鮮で面白い。ただシリーズとして読み続けるには少し飽きるかもしれない。

  • 序盤に4人が集まって演奏する場面が、何か文化的で憧れてしまうところがあって、雰囲気を幸福に共有してもらうことができた。

  • 主人公は63歳のヴァイオリン職人というところが斬新で、現代の殺人事件を追いながら過去のヴァイオリンの謎を解いていくという設定がつぼでした。ジョン・ダニングのヴァイオリン版という感じ。次作も期待。

  • イギリスの作家ポール・アダム、2004年発表の小説。主にイタリアが舞台となるヴァイオリンにまつわる歴史ミステリー?怒濤の蘊蓄が楽しめます。

    イギリスの作家が書いたとは思えないくらいのイタリアンな作品。主人公は初老のヴァイオリン職人。超一級の腕前の職人のようです。友人のヴァイオリン職人が殺され、彼がストラディヴァリの最高傑作と言われる「メシア」と同等のヴァイオリンを探していたことから、警察に協力、彼の足跡を辿ります。しかし、その過程で有名なコレクターがまた殺害され・・・。
    一応殺人事件の捜査の話なのですが、物語の焦点は完全に失われたヴァイオリンの探求です。イタリア各地を飛び回り、イギリスの荒涼としたヒースの丘の朽ちかけた屋敷へも足を伸ばし、古文書や古い絵画に手がかりを求め・・・。
    ヴァイオリンやその職人の技、ヴァイオリンの音楽、さらにはこの業界の裏の部分にまで蘊蓄が語られ、音楽好きにとっては非常に興味深く楽しい作品です。イタリア人が主人公ですがイタリアの風土への舌鋒も鋭く、特にヴェネツィアへの批評はなかなか厳しくて、訪れたことの無い私には真否の程はわからないものの痛快。またクラシック音楽への溢れるような愛情もひしひしと感じられ、読んでる途中でバッハのシャコンヌが無性に聴きたくなって来ます。
    犯人探しは付けたし、みたいな感があり、ミステリーとしてはどうなのかなと思う点も無くはないですが、でもとても面白く興味深い作品。良いです。

  • 推理物。土地勘や位置関係がないと、把握しにくい場面設定。ストーリーには引き込まれるが、どうも、身近なテーマではないだけに、ハラハラすることはなかった…

  • 読んで良かった。推理の描写はそんなに楽しくなかったのだけど。中盤にあった友人の姪御さんの演奏描画で落涙。読んで良かった。

  • 図書館にて借りる。イタリア人の名前覚えづらい。ヴァイオリンは魔性の楽器だな。こんなにたくさんの人の人生を狂わせるんだもの。

  • 1700年代のヴァイオリンをめぐっておこる殺人事件の話。ヴァイオリン業界(?)や実物自体の価値について何も知識がなく読んだが、わかりやすく書かれていたため勉強になった。殺人事件自体のミステリー性は二の次で、ヴァイオリン一つ一つに歴史と謎と想いがつまっているものなんだとロマンを感じた作品。

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