パーフェクト・ブルー (創元推理文庫) (創元推理文庫 M み 1-1)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488411015

感想・レビュー・書評

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  •  少し遠くの海に行く電車の中で読みたいなと思って読み始めました。
     犬目線という発想もですが、とても引きこまれる物語でした。つい、感情移入をしすぎてしまい、電車の中でホロリとしてしまった上に「自分の大好きな姉が死んでしまったら・・・」といらぬ想像をしてしまい、半べそ気味で道を歩いていました。
     なんとこの作品、宮部みゆきさんの初の長編作品です。
     犬のマサの話、とても面白い本でした。続編があるようなので、次はそれを読みたいと思います。

  • 中のよい兄弟の兄の死亡。
    殺したのは誰か。

    探偵小説、運動競技小説の二本柱かと思って読み進みました。
    最後になって、社会派小説、家族小説だと分かりました。

    推理小説の王道を行く、だいどんでんがえしというか、
    種明かしというか。

  • 宮部みゆきさんの作品で好きな作品は? と聞かれたら、私はこの本か『今夜は眠れない』シリーズのどちらかと答えます。
    宮部みゆきさんの熱心なファンの方からしたら「どういうチョイスだ」と言われてしまうかもしれませんが。

    特にこの『パーフェクト・ブルー』は、初めて読んだ時、兎に角号泣でした。
    家族の物語自体にすごく弱いのですが、ましてやこの切なくて胸が締め付けられそうな真実。
    もう何度読み返したことか。
    悲しいけれど、それでも好きな作品なのです。

    この作品が好きすぎて、私の中ではマサの物語はこれで完結してしまっているので、短編集の『心とろかすような』の方は読んでません。
    いつか、読む時は来るかも知れませんが。

    最後に。ネタバレ色が強いので引用の方には書けなかったこの小説で一番心打たれた部分を。

    「私はね、進也、克彦と同じくらい、お前のことを誇りに思ってきた。お前の一本気な気性が好きだった。だが、私にとって何よりも大切だったことは、お前たち二人がいることだった。一緒にいることだった。お前たち二人が、私と母さんといるときに、お前たちにだけしか分からない無言のサインで何かを通じあわせているとき、どちらか一方にしか話してないはずのことをいつの間にかもう一人も知っていることに気づくとき、私は本当に幸せだった」
    (p.337より)

    この台詞は、本を閉じていても蘇ってくる。時々不意に思い出す。
    本当に、色々な感情が交ざった、印象的な台詞だと感じます。

  • 犬の視点って何!?っていう驚きは特にはなかった。
    ただただパーフェクト・ブルーという単語が美しい。
    宮部さんの小説に溢れるせつなさがすごく特徴的に現れてる話かなと思います。

  • 最初は、よくある青春もののミステリーかと思ってて、第一章で「なーんだ。もう解決~?」って思ったんだけど、それがどっこい!
    その裏には隠された真実が隠されていて、それも社会性のあるすっごい真実が!
    こういうとこ、宮部さんだよね~。
    しかも、最後、諸岡氏の口から語られた真実にまたもや驚かせられて、してやられてしまった~。
    久しぶりの本格ミステリで、入り込んで読んでしまったわ~。

    進也と克彦の兄弟愛。
    普通、兄弟のどっちかが有名になると、もう片方がひねくれるというのがパターンなんだけど、これはそんなことがなく、性格は違うけど根本的には一筋通った少年たちでお互いを信頼してた。こういう兄弟愛。いいね~。なんか、それだけでも泣ける。。。

    それぞれのキャラもちゃんと設定してあって、どれも好感がもてるのよ。
    私としては、もうちょっとマスターを登場させてもらいたかったけど。。。。
    なんか読み終わってちょっと興奮しています。

    しかし、人体実験とか、動物実験とかって最低。
    命のあるものが命のあるものの命を奪うのはとっても悲しいことです。
    しかも、それが子供であると特にそう思います。
    今の製薬会社にはこんなことがありませんように。。。。

  • タイトルの背景にある深い意味、伏線の張り方から回収、終盤での急展開・・・ミステリーにおける必要な要素が全て完璧!しかもストーリーテラーが優秀な元警察犬という意外性。必読の一冊です。

  • 私が持っているのは1992年の初版本なので、カバーの絵が違う。
    再読してみると、その後の宮部作品に登場するキャラクターがたくさんいることに気づく。
    ちらっとしか出てこないが、宗田淳一の弟省一は、「日暮し」シリーズに出てくるおでこちゃんの原型のような気がする。ああいう、記憶力や推理力に長けた少年(しかもちょっと大人びて小生意気というキャラクター)を描くのが、宮部さんはとてもうまいし好きなんじゃないかなあと思う。
    「大人の事情」というやつに翻弄される悲劇も描かれているし、親子のどうしようもない断絶も描かれていて、これが長編デビュー作なんだから、やはり宮部みゆきは怪物である。

  • こーれーは!何度読んでもいい。読みすぎて表紙が切れました。

  • メモ:
    ・著者がプロ作家として世に出した処女作。
    ・文庫で350pの長編だが、ダレずに面白く読み切れる。
    ・読後感が良い。暗い・重い感じを引きずらない。
    ・犬の目線で終始描かれている。

  • 元警察“犬”のマサの語り口も面白いし、何より「パーフェクト…」という言葉がある人物から語られた時のゾクゾク感と言ったら!!
    そして〈「兄弟」って良いものだなぁ…〉って読み終えてそれをすっごく感じました。
    ハラハラドキドキ、最後は悲しいけれど心が暖かくなれる物語です。

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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