夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) (創元推理文庫 M き 3-2)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488413026

感想・レビュー・書評

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  • 途中で気付いたけど以前読んだことがあったらしい。
    三題噺の章、感動が半減してしまった・・・

    でもやっぱりいい。
    特に姉と「私」の関係を描いた表題作は、じんとくる。

    円紫さんが「私」を気づかい優しく見守っている様子がすごく感じられて、いいなあと思ってしまう。
    ごく単純に、色恋でなくこういう人がいるということ、いいなあ。

  • 円紫さんシリーズ二作目

    朧夜の底
    正ちゃんの働く本屋さんである悪戯を見つけた私。最初は7、8冊だけ標題が読めないよう逆にされていた。
    二度目は、十数冊、まとめて上下が逆に。
    三度目は箱入りの本の中身が入れ替えられていた。
    誰が何のために…?


    六月の花嫁
    江美ちゃんとそのサークルのメンバーの計5人で軽井沢へ行くことになった私。そこで、チェスのクィーンがなくなるという事件がおこる。
    次になくなったのは卵。その次は鏡。
    犯人は誰だ。


    夜の蝉
    私の姉に降りかかった悪意。
    円紫さんの「つるつる」と合わさって、不満や嫉妬などが描かれる。
    そこにいたのは「お化け」だった…。


    前回もそうだったけれど、主人公や円紫さんがあまりにまほのぼのとしているので、(特に主人公の私はこの時代でも浮世離れしているよなぁ…と思う)突然、生々しい現実を見せられるとぞくっとします。
    やったことは、小犯罪でも、それを心理学でいう合理化をして、あくまで自分を正当化する人。
    全てを知っていながら、被害者になりきる女。
    だからこそ、真ん中の六月の花嫁は、おぉっと思いました。
    次の巻で、花嫁になった彼女を見るのが楽しみです。

  • シリーズ第二作目。今回も「私」が遭遇したちょっとした事件を、円紫さんと共に謎解きをして解決して行く。何と行っても円紫さんの落ち着いたあの知的な口調と、それでいて鋭い千里眼を持ち合わせる、このギャップがこのシリーズの持ち味だ。
    大学の友人・江美ちゃん達と行った旅行では、犯人探しにまで挑む。(もちろん、殺人事件ではない。チェスの駒が消えた、というささやかな事件。)
    今回は、更に「私」の周りの人々の素顔が描かれて行く。
    1作目ではちらっとしか出てこなかった「私」の美人過ぎる姉も登場する。「私」の姉への愛情がテーマとなる。長い年月の姉妹のわだかまりを表現する描写があるのだけど、とても絶妙で、本当に姉を持った若い女性の気持ちを綴っているかのようだ。しかし、作者は紛れもない62歳のおじさんなのである。
    北村薫、何者なのだろう。
    そして、「私」と「姉」の名前が最後まで明かされないってのが気持ち悪い。
    私は一人称の小説が実はあまり好きじゃない。何故なら語り手一点の視点でしかストーリーが追えないからだ。(といっても村上春樹は好きだけど。)このシリーズ、最後では名前を教えてくれることを期待して読み続ける。

  • 2012年5月から7月にかけて、「朧夜の底」「六月の花嫁」「夜の蝉」の各話と、話中に出てくる噺を、噺家の柳家三三さんがひとりで演じるというシリーズの公演が東京であり、それぞれを観賞し終わった後に、それぞれの話を再読しました。

  • 女友達、といえば3人組と相場決まっている、のだろうか?
    三人だと対立しないし、安定していていいのかもしれない。

    おもしろくて、ついついシリーズで一気に読み進めてしまっている。
    「空飛ぶ馬」と同様にミステリーとして楽しめる作品だが、キャラクターにぐっと深みが出ていて、さらに読み応えが増している気がする。

  • 2作目にしてますます磨きがかかった円紫さんシリーズ。
    落語や俳句に対する深い知識と、「日常の謎」との関連付けが絶妙で、非常に上質な世界感です。登場人物たちの個性の描き方も繊細で、ミステリーとしてだけではなく、文学小説としても楽しめる作品だと思います。

  • 「私と円紫さん」シリーズの第2作とのこと。初夏から梅雨、そして盛夏のころが舞台となる。

    前作とのいちばん大きな違いはといえば、物語の世界の規模が主人公を「軸」にぐっと狭まり、そのかわりより深くなったことだろうか。前作ではホームズとワトソンのようであった「円紫さん」と「私」の関係も、本作では主役はあくまでも「私」、「円紫さん」は謎解きの指南役といった役どころで一歩引いたかたちに収まっているように感じられる。その点、読後の印象も、ミステリよりは人情噺的な色合いを強く受ける。

    読むことで感じるある種の生々しさは、前作よりも一段と「私」の内面に触れていることから生じるたぐいのものだろう。当然、その余韻もまた変わる。それは蝉しぐれのように、いつまでもシーンと頭の中に残響する。

  • このふたりは言わば『謎解き仲間』でしょうか。
    http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-891.html

  • 3編とも、謎の内容もさることながら、その謎が生まれるまでの物語の流れや、登場人物のやりとりなどがおもしろく楽しめました。「空飛ぶ馬」よりも1編が長いので、ゆったり楽しめたのが大きかったかも。

  • 推理小説というより文学。文学すぎてわからないところも多々あったけど、またゆっくり読み返したい。まだまだこの円紫さんと私シリーズは続くみたいなので先が楽しみ。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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