双頭の悪魔 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 2-3)
- 東京創元社 (1999年4月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (698ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488414030
感想・レビュー・書評
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3.7
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話自体は面白いけれど、マリアの行動が自己中心的で苦手だった。
両親に毎日電話をする約束でお金を貰って放浪する話だったのに、少ししたら電話はしなくなり、心配しないでください、という手紙をたまに寄越すのみ。わざわざ両親が会いに行っても橋で少し話すだけ。両親から虐待されていた話や、どちらかが病気だったり問題のあるような話も出ないので、普通に優しい両親のようだし。絵のモデルが終わるまで帰れないとのことだが、アリス曰く、絵のモデルになっていると伝えるのが恥ずかしくて両親に具体的なことを話さなかったのだろう、とあるが、いや、恥ずかしいとかの問題ではない。ショックな事件があったにしろ(前作?)、放浪のお金まで工面してもらって、大学も休学にしてもらって、大学の友人達に娘を見てきて貰えないかと頼むほど両親を心配させる。
でも本人はそこまで深く考えていない様子で、絵のモデルが終わったら帰らなきゃいけないのか〜帰りたくないな〜とボヤキ、気まぐれに両親に電話。金のある家の現代っ子と言ってしまえばそこまでだが、甘やかされて育ったんだなとしみじみ。
まぁ具体的なことはボヤかさないとこの話は始まらないのかもしれないが、解せない。
結構な長編で読むのに時間がかかったが、話自体は飽きさせることなく面白かった。また、読者への挑戦という形で、合間合間に入るのも良かった。
しかし、頑張って長編を読み進めた割には驚きの真相!というほどではなく、プロデューサーという言い回しは面白いものの、普通の読後感だった。
長編であればあるほど真相への期待値が高くなるし、ここまで長くする必要はあったのかと思ってしまう。
また、事件が起きて本編が盛り上がってきても、どうしても冒頭で自己中だったマリアの挙動が気になってしまう。
他、小野が死んだ時はその死体を不憫に思い「降ろしてあげて!」と誰か女性陣が口にして男性陣が黙って降ろしていたが、男性陣でさえ死体なんぞあまり触りたくないだろうに、何を偉そうに、と思ってしまった。 -
何十年ぶりの再読!
志度晶詩人に再会できて嬉しい。火村先生のモデルですね。
今読むと江神さんの抱える不穏さが、このシリーズの魅力の一つと感じる。 -
トリックは分からなかったけど犯人は分かった。
トリックも分かれば完璧だったんだろうけど私には難しかった。
双頭の悪魔というタイトルも読み終わったらなるほどそういうことかと納得。
家賃もなくて、当番で家事して好きなこと出来る生活をしてたら外の世界になんか行きたくなくなるよなあ…
個人的には双頭の悪魔も面白かったけど孤島パズルのが好き。
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流石話題に上がるだけあり、トリックがとても面白かった。
なかなか分厚い本だけれど、読後感といい、読んで後悔しない良いストーリーだった。 -
アリス達と、江神さんが、川の氾濫のため、別々の場所に閉じ込められる。そして、それぞれが閉じ込められた場所で、事件が起こる。なんて、贅沢な!2つも事件が楽しめるなんて。
と、思っていたら、ただ、単に2つの事件が楽しめるだけではない。3つの読者への挑戦を経て、読者は驚きの結末に導かれる。
学生アリスシリーズ、最高傑作と名高いのも納得の一作。 -
江神三部作で一番好き。