双頭の悪魔 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 2-3)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 4644
感想 : 388
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  • Amazon.co.jp ・本 (698ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488414030

感想・レビュー・書評

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  • 3.7

  • 話自体は面白いけれど、マリアの行動が自己中心的で苦手だった。
    両親に毎日電話をする約束でお金を貰って放浪する話だったのに、少ししたら電話はしなくなり、心配しないでください、という手紙をたまに寄越すのみ。わざわざ両親が会いに行っても橋で少し話すだけ。両親から虐待されていた話や、どちらかが病気だったり問題のあるような話も出ないので、普通に優しい両親のようだし。絵のモデルが終わるまで帰れないとのことだが、アリス曰く、絵のモデルになっていると伝えるのが恥ずかしくて両親に具体的なことを話さなかったのだろう、とあるが、いや、恥ずかしいとかの問題ではない。ショックな事件があったにしろ(前作?)、放浪のお金まで工面してもらって、大学も休学にしてもらって、大学の友人達に娘を見てきて貰えないかと頼むほど両親を心配させる。
    でも本人はそこまで深く考えていない様子で、絵のモデルが終わったら帰らなきゃいけないのか〜帰りたくないな〜とボヤキ、気まぐれに両親に電話。金のある家の現代っ子と言ってしまえばそこまでだが、甘やかされて育ったんだなとしみじみ。

    まぁ具体的なことはボヤかさないとこの話は始まらないのかもしれないが、解せない。

    結構な長編で読むのに時間がかかったが、話自体は飽きさせることなく面白かった。また、読者への挑戦という形で、合間合間に入るのも良かった。
    しかし、頑張って長編を読み進めた割には驚きの真相!というほどではなく、プロデューサーという言い回しは面白いものの、普通の読後感だった。
    長編であればあるほど真相への期待値が高くなるし、ここまで長くする必要はあったのかと思ってしまう。
    また、事件が起きて本編が盛り上がってきても、どうしても冒頭で自己中だったマリアの挙動が気になってしまう。
    他、小野が死んだ時はその死体を不憫に思い「降ろしてあげて!」と誰か女性陣が口にして男性陣が黙って降ろしていたが、男性陣でさえ死体なんぞあまり触りたくないだろうに、何を偉そうに、と思ってしまった。

  • 素敵な装丁なのですが、犯人のネタバレをしていることがどうしても納得できない。なぜこれでOKがでたのか…しかし、犯人がわかっていたとしても、完璧に推理することは難しい。
    それだけこの作品はとてもよく練られていて、読了後は感嘆のため息が出てしまった。
    学生アリスの作品は、青春というか、甘酸っぱい、若さと活力に満ち溢れていて、火村先生もいいけど、江神さんもいいな…と、そんなことを思いながら読み進めていると、骨太のミステリにぶち当たるので、作家アリスシリーズとはまた別の面白さがある。

  • 一番きついやつだった…
    犯人指定は正直アンフェアだろうな…
    だけれどもこれは場所が場所なので
    不可抗力といえば不可抗力よね…

    まあ1ケースは完璧に巻き添えやね。
    そりゃあそうなっても文句は言えませんわ。

    で、その事件を乗り越えて出てきたのは…
    本当に悪魔だろうね。

    名探偵の推理すらも嘲る
    まさに悪魔に相応しい人間。
    負の叡智の塊だろうね。

    だけれどもそんな悪魔も
    結局はミスにより
    命もろとも散らしてしまいますが…

    背景情報があるので
    なお一層つらい…

  • 何十年ぶりの再読!
    志度晶詩人に再会できて嬉しい。火村先生のモデルですね。
    今読むと江神さんの抱える不穏さが、このシリーズの魅力の一つと感じる。

  • トリックは分からなかったけど犯人は分かった。
    トリックも分かれば完璧だったんだろうけど私には難しかった。

    双頭の悪魔というタイトルも読み終わったらなるほどそういうことかと納得。
    家賃もなくて、当番で家事して好きなこと出来る生活をしてたら外の世界になんか行きたくなくなるよなあ…

    個人的には双頭の悪魔も面白かったけど孤島パズルのが好き。




  • 楽しみにしていただけあって、最高の時間だった。

    交換殺人はピンときたけど耳に結びつけることができず。

    願わくば、一縷のネタバレもなく挑みたかった……
    もう二度と、如何なる場合であっても、巻末の解説は読まないことを誓った。

  • 流石話題に上がるだけあり、トリックがとても面白かった。
    なかなか分厚い本だけれど、読後感といい、読んで後悔しない良いストーリーだった。

  • アリス達と、江神さんが、川の氾濫のため、別々の場所に閉じ込められる。そして、それぞれが閉じ込められた場所で、事件が起こる。なんて、贅沢な!2つも事件が楽しめるなんて。
    と、思っていたら、ただ、単に2つの事件が楽しめるだけではない。3つの読者への挑戦を経て、読者は驚きの結末に導かれる。
    学生アリスシリーズ、最高傑作と名高いのも納得の一作。

  • 江神三部作で一番好き。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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