青空の卵 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 6255
感想 : 772
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488457013

感想・レビュー・書評

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  • 日常の謎とても好きです。

    でもなんだか心を描くシーンが重いというか引いてしまって、アンバランスに思えてしまう。
    男性同士の友情って一生モノだったりしそうなのに、薄グラスみたいにちょっとしたことで壊れてもとに戻らなさそうに繊細すぎて不安な気持ちになってしまう。
    硬すぎて脆い。

    本当はどっちが依存しているのかとかそういう部分は痛いほど刺さる。
    鳥井が坂木の優しさを利用しようとするヤツに対して遠慮なく厳しい言葉を投げるのも熱い。
    でも、感動の大安売りを見たときのように心の温度が下がるシーンもある。

    著者さんに本格的にハマったのが「和菓子のアン」なせいか、優しい甘さとほのぼの感と少しくらいの切なさを求めてしまっているのかもしれない。

  • 外資系保険会社勤務 平凡な坂木司
    過去の事情からひきこもってしまった大人と子どもの狭間 グレーゾーンがない鳥居真一
    そこから関係が広がっていく様々な人々のミステリー

    悲しい境遇からひきこもりとなってしまった鳥居と唯一の心の拠り所の坂木。2人の関係は、お互いに依存していると言っても過言ではないが、お互いを思い少しずつだが前に進んでいく。その2人から少しずつ関係を広がっていき、そこに起こる日常のミステリーは読み終わったあと清々しさが心に溢れる。

  • 久しぶりの引きこもり探偵。
    だいたいみんな厄介で、でも最後は楽しくなる。
    やっぱり英三郎さんが好きだなあ、かっこいいなあ。あと巣田さんも気持ちの良い女性(本性が)。
    主役ふたりの依存関係が若干心配だけど、鳥井の方が何かあったら生きていける。自分の好き嫌いがはっきりしてるから。坂木は典型的なギバー。搾取されても気がつかなそうで、きっとまた鳥井を悲しくされる。
    みんな色んな事情で生きてる。ひとりでも、みんなでも。

  • 推理小説なのか。とりいが気になる。世界の輪郭と不安定さ。

  • テンポがよろしくない。
    その上、内容、主人公がアレだと読む側の体力が保たない。

  • 肩の荷を下ろして読めるミステリー

    和菓子屋のアンも読んで思ったけど、登場実物の性格とか語り口調とかで好き嫌いがはっきりしそう
    (だいたい他人が気になりがちな根が良い主人公)

  • 「僕は無力だ。そして無力に甘んじることは罪だ」
    「生きていく上での幸福は、誰かと分かち合う記憶の豊かさにあると思う」

  • 坂木目線で話が進むからか鳥井が変わり者となっているけど坂木もまぁまぁ変わり者じゃんってなった。穏やかなミステリーなので読んでて怖くなくせず良い。

  • 人が死なないミステリーを読みたくて、調べて見つけた本。

    外資系保険会社に勤める、主人公の坂木と、
    その親友で、家族間の愛情に恵まれず引きこもりになった鳥井の二人組が、ご近所のさまざまな問題を解決する話。

    坂木と鳥井の関係は「親友」という表現は合っていないんじゃないかというほど近く、本の終盤では「恋人同志なのか?」と思ったほど。
    物語は二人の(特に鳥井の)人間関係問題を踏まえ、日々目にする街並みの、いつも目にしているけど見過ごしてしまうような、他人事と無視してしまうようなそんな小さな事柄を発端に始まる。
    猟奇的な事件などは起こらないので穏やかな気持ちで彼らの事件を読み進めることができる。

    ワンシーズンごとに一つの事件が起こる。
    夏から始まり春で終わるのは何か中途半端な気がするけれど、最後の「春の子供」は鳥井自身の家族問題が進展して新たな人生の門出のような話だったので、作者は春を最後に持ってきたかったのかな。と思った。(が、巻末のインタビューで事件ありきだったと書いてあった。)

    巻末に作者のインタビューが載っていて、影響を受けた作品について話していたのだけど、そこで
    「平坦な言葉で語ることのできる作家が好き」
    と述べていて、なるほど、このお話の読みやすさは猟奇的な事件を扱っていないからか、と思っていたけれど、使われている言葉が穏やかなんだな、と気がついた。

    とにかく水のように読みやすい本だった。

  • お友達から勧められた本で、十数年ぶりに再読。前回は子供がいない時、今回は子供を産んだ後だったので、4編目の「春の子供」に落涙。子供ができてからの自分の人生は、子供の幸せがなければ自分の幸せは絶対に来ない。確かにそうだなぁ。

    前回に比べて主人公2人の関係性がちょっと受け入れづらくなったこともあり、3編目までは少し冷めた目で読んでいたが、「春の子供」は文章もなめらか、鳥井の親との関係も明らかになり、春と言うタイトルの通り、雪解けをひしひしと感じられる良い作品だと思う。

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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