- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488457013
感想・レビュー・書評
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一言で言うと、優しい気持ちになる小説。
ただ、主人公が作者の名前なこともあって、
おそらく作者の理想や夢、こうあってほしいという思いを
小説にして空想の翼を豊かに広げているように思う
(つまり、現実はいろいろともっと厳しい)。
小説を読んでいる間くらいは人の優しさを信じてみたい、
そういうときに読むといいのかなと思った。
疲れた時とかやさぐれそうになったときに、
甘いケーキを食べたくなることがあるけど、
そういう心地よい甘さが含まれた小説だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
順番が前後しちゃいましたが。
子羊の巣とに続いてこちらを読了。
坂木&鳥井コンビの第一作であり作者のデビュー作。
このふたりの関係を気持ち悪く感じる方も多いようだけれど
わたしはなんだかうらやましい。
性別を越えた魂レベルの信頼関係という結びつきが。
それから鳥井の作る料理を食べられる坂木にジェラシーw
以前も書いたけれど
坂木司ワールドは本当にほっこりして読後感がいい。
このシリーズ3巻目にして完結編の動物園の鳥を早く読まねば。 -
久しぶりの良作でした。満足です
まずひきこもりと聞いて連想したのがオタクやニートとかだったのですが違いました(笑)
登場人物のキャラが濃く、その上分かりにくい設定だったため感情輸入がしにくくて最初少し読みずい部分がありましたしかし、物語が進んでいくとどんどんそのキャラがかわいらしく見えてきます
探偵役の鳥井は大人と子供両方を兼ね備える精神不安定者。そのギャップに幾度も戸惑いました。
異色な探偵と変わってワトスン役の坂木はいわゆる普通のお人よしなのですが、答えのない迷路でずっと迷っている感じで、どうにもにも煮え切らない印象を受けました
(坂木は作者である坂木司自身でしょうから、作者自身が煮え切らない感じだったのかもしれません。)
しかし、話が進むにつれこの二人のいびつな関係と世界観にどんどんのめりこんでいってしまいます!
人との輪が広がり、ものの価値観、考え方をあらゆる面から考慮し事件(?)の解決に導きます
分かりにくい精神不安定という状況をこうも鮮やかに書いてくれるのか!っと正直度肝を抜かされました
最初辛辣な印象だった鳥井はどんどんもろく弱い存在になっていきます
そんな彼が少しづつですが人とのコミュニケーションをし大きく前に進んでいくのが感動的でした、人情ミステリーまさにそ言葉がぴったりん作品です!
こういう文を書くのはあまりないことなのでちゃんとかけていたかが不安です。どうか、暖かい目で見てやってください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました -
優しい気持ちになれた。
昔の自分を思い出せた。
2013.8.15 -
坂木と鳥井の友情は素敵だった。
この本に登場する人物皆、大好き。
1冊で1つの謎を解明するのではなく、
1つ1つの章で謎が出来、解明されていくのがとても清々しかった。
物事の解決は、身近なものを見てつなげていくことが大事なんだと思い知らされ、
もっと自分の身近にあるヒントに着目しようと思った。 -
私たちの心は壁にぶつかったり、穴に落ちた時に支えが必要になる。
それは宗教かもしれないしお気に入りの写真かもしれないし、親や友人かもしれない。
その支えが安定しているほど自分の心も安定することができるのではないかと思う。
坂木と鳥井はお互い不安定な人間だ。
なのに二人の繋がりはとても強い。
だから二人で一緒にいつもゆれている。
外からそれをみている私は、ゆれる二つの影を奇妙に思ったり、不安を感じたりする。
それでもその不安定さは、安定しているものよりも目を引くし、どんな風にバランスをとっていくのか気になってしまう。 -
鳥井はすごい動物感があって引かれる。その点では坂木と同じなのかも知れない。でも鳥井という友達がいる坂木にも憧れる。鳥井の情緒不安定なところが好きです
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平凡であるがために非凡に焦がれる精神のまま、絶望の淵へとにじり寄っていく少年に手を伸ばした少年。邂逅を経て依存と呼ぶにふさわしい関係性を揺蕩う彼らを「日常の謎」が手招きする。
ひきこもり探偵とお人よしの語り部が出会う出来事はいつだって人間が起し、人間が攪乱していき謎足らしめている。謎に結末をもたらしてからあるときは帰結しあるときは開始されていく人間関係はどこか温かく情があった。その度に潔癖なまでのお人よしさを半ば嘘であると自虐している語り部は世界の美しさと救いに涙し、感情を引きずられてなく探偵から手を離さないといけないのではないかと自問自答を重ねていく。
やさしい話の集まりはどこか美しいが切ない。
壊れてしまいそうな繊細さが常に雰囲気として漂っている。