シャドウ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M み 5-1)

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488496012

感想・レビュー・書評

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  • 道夫秀介作品らしさが詰まった一冊だと思いました。
    精神的な病と性被害と母の死というとてもショッキングな題材なだけに序盤は読むのが辛い気持ちになった。主な語り手が小学生の男子であるということと、身近な人が死ぬということで、「ひまわりの咲かない夏」を彷彿とさせて、身構えていたが、それよりは論理的な展開で安心して楽しく読めた。途中から二転三転する登場人物たちの認識を追走するのは、とても心地良かった。
    結末がハッピーエンドと言っていいかは、議論の余地があると思うものの救いのある終わり方でとても良い読後感でした。

  • ミステリーとして評価の高い作品だったのだが、良い意味で違った。
    ミステリーというよりは主人公の凰介の成長のお話だったと感じた。

    読んでいる途中、内容に重い内容もあり考えさせられることも多かったが、作者の文体のうまさや流れ、伏線などがとてもまとまっており、それほど重く感じることもなく一気に読んでしまった。

    悲しいなあとも感じたが、結果良かったとも感じられる、読後にも色々と考えさせられる複雑な良い作品でした。

    一番印象に残ったのは、人間の執念とはすさまじいものであること。
    洋一郎すごい。


    説明
    人は、死んだらどうなるの?――いなくなるのよ――いなくなって、どうなるの?――いなくなって、それだけなの――。その会話から三年後、凰介の母は病死した。父と二人だけの生活が始まって数日後、幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが……。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは? いま最も注目される俊英が放つ、巧緻に描かれた傑作。第七回本格ミステリ大賞受賞作。

  • 久しぶりに読書の楽しさを感じた作品でした。
    続きが気になり過ぎて読むのを中断するタイミングが全くなく、一気読みしてしまったので、時間がある時で良かった…笑

    伏線回収が見事。これはもう道尾さんならお決まり。無理に読み返さなくても、重要な部分は頭の中にしっかり印象づけてくれている。それも自然に。

    この作品で見事なのは、こんなに不気味な雰囲気で物語を進めておいて、最後の最後は読者に少し感動すら覚えさせてしまうと言うところ。


    洋一郎、凰介、恵。
    性的異常者であった精神科医、田井を突き落として殺した。洋一郎は、精神を病んだ演技までして殺害計画を立てていたが、恵が突き落とそうとしたところを庇い洋一郎がトドメを刺したという結果に。

    人を殺しておいて、しかも精神を病んだフリで裁判を免れるなんてなかなかヤバいのだが…
    それが原因で洋一郎&凰介親子も絆を深め、恵も父親との関係が修復され始める。
    という、なんとも爽やかな終わり方だった。


    えー!こんなんあり?!って普通なら思うかもしれないけど、ハッピーエンドとしか思えなかったなぁ。笑  道尾さんマジックにかかっているのかも。


    向日葵の…から読んでなかったけど、今のところ全くハズレない。お友達の強いススメで読んでみて本当によかったなあ。

  • K図書館
    本格ミステリー大賞
    ほんタメきっかけ

    小学5年生凰介の母親の病死、数日後に幼馴染の亜紀の母親が自殺、亜紀の交通事故
    凰介が真実に迫る

    《感想》
    二転三転して良かった
    あの人が悪い人か?いや、この人か?と何回か騙された
    細かく読み返して見ると匂わせ部分があったとは、さくさく読んで見落としてしまった
    文中にムンクが出てきた
    「よりによってなぜムンク(複製画)を買ってくる?」と突っ込みを入れてしまった
    ムンクは精神異常の象徴で、それをわざと買ったことで、逆にいいチョイスなのかと気づいた
    そういう小道具を用いるのは非常に良い

    主人公の凰介は冒頭幼かったのに、後半では「僕街」アニメのような、女の子を守る男性に成長してカッコよかった

    ここでのシャドウとは、他人に自分を投影して、自分の心の歪みを隠蔽しようとした意味(本文の精神科医の談)
    だからシャドウは一部分のことではないかと、素人ながら思ったがそうではなかった
    登場人物一人ひとりに当てはまると再確認、鳥肌がたった
    道尾作品はもやもや感を醸し出すのが上手い

  • ミステリーなんですが、子供の成長物語的な色が強い感じがしました。後半の伏線回収は流石です。

  • 疑念や劣等感、満たされない気持ちを各々が抱いた2つの家族の話

    ドキドキハラハラというよりも
    終始低めのテンションで、それでも高速で展開していく物語に引き込まれる

    浴槽に浸かりながら読んでいたので、毎日少しずつ進んでいく感じは連続ドラマを見ているようだった

    凰介幸せになってね、、

  • いつものこととはいえ、見事にミスリードされた。全てが怪しく見えてしまうし、もしそれが真実なら、それはあまりにも凰介にとって地獄すぎるよ地獄……と勝手に焦って、妙に疲れてしまった。
    なんであんなに緊張感をもって読み進めてしまったんだろう……面白かったけど!

  • ミスリードにまんまと引っかかりました。
    母親を亡くした凰介が「父親に守られる存在」から「父親と一緒に乗り越えていく存在」へ逞しく成長していく姿がよかった。

  • 2023/02/27読了

    ほんためチャンネルでヨビノリさんが紹介してて購入した。

    どんでん返し作品として紹介されて身構えた上でどんでん返しを喰らった。

    読み終わったあと、風呂で「やばい」と50回くらいつぶやいた。

    精神の倒錯にこっちが倒錯する感じ、本筋が最後に全部明らかになる感じ、全部やばかった。

    やばい。

  • 道尾さんの本は絶対ミスリードされちゃいますよねー。2家族の絡み合いといったら昼ドラ並みのドロドロさ。。。向日葵の咲かない夏からのシャドウだったため、なんといっても主人公たちがほんとに大人!!!!(本当に君たち小学生??)と思うところは多々ありますが、一気読みしてしまいましたね!

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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