シャドウ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M み 5-1)
- 東京創元社 (2009年8月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488496012
感想・レビュー・書評
-
道夫秀介作品らしさが詰まった一冊だと思いました。
精神的な病と性被害と母の死というとてもショッキングな題材なだけに序盤は読むのが辛い気持ちになった。主な語り手が小学生の男子であるということと、身近な人が死ぬということで、「ひまわりの咲かない夏」を彷彿とさせて、身構えていたが、それよりは論理的な展開で安心して楽しく読めた。途中から二転三転する登場人物たちの認識を追走するのは、とても心地良かった。
結末がハッピーエンドと言っていいかは、議論の余地があると思うものの救いのある終わり方でとても良い読後感でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリーとして評価の高い作品だったのだが、良い意味で違った。
ミステリーというよりは主人公の凰介の成長のお話だったと感じた。
読んでいる途中、内容に重い内容もあり考えさせられることも多かったが、作者の文体のうまさや流れ、伏線などがとてもまとまっており、それほど重く感じることもなく一気に読んでしまった。
悲しいなあとも感じたが、結果良かったとも感じられる、読後にも色々と考えさせられる複雑な良い作品でした。
一番印象に残ったのは、人間の執念とはすさまじいものであること。
洋一郎すごい。
説明
人は、死んだらどうなるの?――いなくなるのよ――いなくなって、どうなるの?――いなくなって、それだけなの――。その会話から三年後、凰介の母は病死した。父と二人だけの生活が始まって数日後、幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが……。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは? いま最も注目される俊英が放つ、巧緻に描かれた傑作。第七回本格ミステリ大賞受賞作。 -
ミステリーなんですが、子供の成長物語的な色が強い感じがしました。後半の伏線回収は流石です。
-
疑念や劣等感、満たされない気持ちを各々が抱いた2つの家族の話
ドキドキハラハラというよりも
終始低めのテンションで、それでも高速で展開していく物語に引き込まれる
浴槽に浸かりながら読んでいたので、毎日少しずつ進んでいく感じは連続ドラマを見ているようだった
凰介幸せになってね、、 -
いつものこととはいえ、見事にミスリードされた。全てが怪しく見えてしまうし、もしそれが真実なら、それはあまりにも凰介にとって地獄すぎるよ地獄……と勝手に焦って、妙に疲れてしまった。
なんであんなに緊張感をもって読み進めてしまったんだろう……面白かったけど! -
ミスリードにまんまと引っかかりました。
母親を亡くした凰介が「父親に守られる存在」から「父親と一緒に乗り越えていく存在」へ逞しく成長していく姿がよかった。 -
2023/02/27読了
ほんためチャンネルでヨビノリさんが紹介してて購入した。
どんでん返し作品として紹介されて身構えた上でどんでん返しを喰らった。
読み終わったあと、風呂で「やばい」と50回くらいつぶやいた。
精神の倒錯にこっちが倒錯する感じ、本筋が最後に全部明らかになる感じ、全部やばかった。
やばい。 -
道尾さんの本は絶対ミスリードされちゃいますよねー。2家族の絡み合いといったら昼ドラ並みのドロドロさ。。。向日葵の咲かない夏からのシャドウだったため、なんといっても主人公たちがほんとに大人!!!!(本当に君たち小学生??)と思うところは多々ありますが、一気読みしてしまいましたね!