ラヴクラフト全集〈5〉 (創元推理文庫) (創元推理文庫 523-5)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488523053

感想・レビュー・書評

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  • ホラー短編集。独特の雰囲気に浸り込めますが、ほんっとじわじわとした嫌な雰囲気に満ち溢れています。宇宙とか他次元とかの恐怖、というのは個人的にあまり感じないのだけれど。それでもこの何とも言えない感じはやはり「恐怖」の一種なのかな。
    お気に入りは「ダニッチの怪」。あからさまに異形なあれよりもむしろ、姿の見えないあれの方が恐ろしく。不吉な前兆のように高まるさまざまな怪異も恐怖感を盛り上げます。そしてラストの戦いがかっこよくて印象的。

  • 科学系の話がほとんどだった第4集人は打って変わって、悪魔や呪いの話でまとめた第5集。最後についてくる「ネクロノミコンの歴史」が表すとおり、ネクロノミコン絡みの話で統一されているとも言える。

    「ネクロノミコン」に絡む部分を除き、全体にゴシック・ホラーや霊的カラーの強い1冊なため、「恐怖におののいた」と書かれていても、なんとなく漠然とした印象を受ける短編が多い。

    その中において、何らかの薬剤をフレッシュな死体に注入することでゾンビ化させる「ハーバート・ウエスト」はかなり新鮮に見える。ゾンビ映画を髣髴とさせる幕切れも良いのだが、解説的には「凡作」なのね。うん。

    また、ラブクラフトを読むには避けて通れない「ナイアーラトテップ」が出現するので、ファンにはたまらないのだろうけど、これもぼんやりしてるんだよなあ。

    そこへ来て、山羊顔の怪人ウィルバーという、古典悪魔風の男が出てくる「ダニッチの怪」のオチで、とうとうクトゥルーが再出現してくるのが、この本のクライマックスだと思うのだが、裏表紙を始め、本書の大体の解説において「ダニッチの怪」に触れられていないのは何でじゃ?

  • 第5巻。
    資料として「『ネクロノミコン』の歴史」を収録。
    ラヴクラフトの代表作のひとつである『ダニッチの怪』を始め、この巻が最も秀作揃いだと個人的には思っている。解説によると『クトゥルー神話の母胎とされるにいたった作品を収録した』とか。解説もそれぞれの作品について詳しい。

  • ■ 神殿
    ■ ナイアルラトホテップ
    ■ 魔犬
    ■ 魔宴
    ■ 死体蘇生者ハーバート・ウェスト
    ■ レッド・フックの恐怖
    ■ 魔女の家の夢
    ■ ダニッチの怪
    ■ 資料・『ネクロノミコン』の歴史

  •  あとがきに書いてあるとおり本作は後にダーレスがクトゥルー神話作る際に大いに参考にしたと思われる作品を集めたものとなっている。面白いのは、冒頭そのように書き始めたのにもかかわらず本書のあとがきの主題は「ラヴクラフトの作品とクトゥルー神話との相違点」であるという点だ。
     ラヴクラフトの作品のみを愛し、クトゥルー神話は否定的な人が少なからずいる。本書のあとがきを読めば理由がわかるはずだ。
     本作品集には、下手に首を突っ込んでえらい目に合うという話が非常に多い、相変わらず緻密な情景描写でありながらも肝心な異世界のもの達に関しては曖昧としてうまく表現できないという手法で書かれている。
     とはいえ、「インスマウスの影」などに見られるように、見えそうで結局断片しか見えなかったという想像するしか無い恐怖と比べると、はっきりと詳細を書いてしまっている。その分読みやすくなっているとも言える。
     ラヴクラフトの作品は「読んでみたけども意味がわからなかった」というのが私の感想であり、作品の最大の面白さであると思う。今のところラヴクラフト全集1~5巻まで読んだが、その点に関してはぶれていない。

  • 「神殿」
     潜水艦U29船長の手記…といった手法で書かれた作品。
     潜水艦という閉鎖空間で徐々に狂い行く船員、海底都市…ベタですが雰囲気はよかったです。
    「ナイアルラトホテップ」
     作者ラヴクラフトが夢で見たできごとをほぼそのまま綴ったもの。
     夢ならではの不条理さとそれでいて辻褄の合った世界ってのが面白いです。
    「魔犬」
     奇妙な趣味からとうとう墓場荒らしまで始めた二人が墓地に納められた魔除けを持ち帰ったことから、得体の知れない恐怖におびやかされることになる。単純なストーリーですが雰囲気作りが上手く、最後のオチも良いと思います。
    「魔宴」
     自らの一族の本当の役割を知って、その恐怖に怯える・・・って感じ。壮大なんだけどちょっと肩透かし。
    「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」
     ラヴクラフト版フランケンシュタインってとこか。
     生命を完全に実験材料としか見ていないウェストの恐ろしさとその行く末が見所かな。
    「レッド・フックの恐怖」
     警官の主人公が貧民街に巣食う黒魔術の集団を捜査する…魔術などへの関わりが明らかになるあたりから面白くなると思うが、前半がツライ;
    「魔女の家の夢」
     魔術的と数学の関係が面白かった。現実とリンクする夢の部分や魔女を倒し全てが終わったと思ったら更なるオチが待ってるとかなかなかでした。
    「ダニッチの怪」
     序盤はラヴクラフトらしいゴシックホラーでいつもの感じなのですが、後半ダニッチの村を見えない恐怖が襲うあたりから怪獣モノなテイストに(^^;
     これだけの大物だとさすがに呪術で解決は仕方がないか。

  • ダニエル・ホラー監督の映画『ダンウィッチの怪』を先に観て、
    元ネタ「ダニッチの怪」が読みたかったので購入。
    屋根裏でのたうつヤツとか、
    ウィルバーが
    ミスカトニック大学図書館秘蔵の「ネクロノミコン」を
    借りたがっていることだとかは、そのままですが、
    しかし……うわー、全然違う話だー(^_^;)。

  • だいたいどの巻にもSF冒険もの的な話が入っているんですけど、今回の『ダニッチの怪』も面白かったです。最後の一行で目を剥くタイプのオチ。

  • 全集5の読みどころ
    ラヴクラフト流フランケンシュタイン『死体蘇生者ジャーバード・ウェスト』


    『ラヴクラフト全集』の読みどころ
    1930年代のパルプフィクション・ホラーの中から生まれ、みじかい活動期間でありながら、多数のフォロワーを今なお生み出しつづけている。
    ラヴクラフトの面白さを、ぜひ知ってもらいたく選びました。
    今すぐにでも彼の小説のガジェットを使って彼のフォロワーとなることができるのも、ハマリこめる理由の一つ。

    初心者には特に、短編かつラヴクラフトらしい『ダゴン』がオススメ。

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