ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫) (創元推理文庫 663-2)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488663025

感想・レビュー・書評

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  • 2021.4.12

  •  太陽系内で地球より外の軌道(火星と木星の間)に生命が生存可能な惑星があった場合、生物はどう進化していくか。
     著者のホーガンさんは本作で別の惑星の生物進化をシミュレートしています。
     やがて生まれた知的生命は、争いを好まない平和的な種族・ガニメアンだった。
     私は地球人ではなくガニメアンに生まれたかった。
     本作品の最後でガニメアンが選んだ行動にも共感します。
      
     前作『星を継ぐもの』の感想で、学問の大切さを実感すると書きました。
     本作品でもそれを実感します。
     本作品では特に生物学方面の知識が活躍します。
     著者ホーガンは生物学の知識を、過去を研究するのみならず、別の生物進化の過程をシミュレートするという応用に活用しています。これがSFの醍醐味でしょう。
     
     本作品では前作ほど活躍しないヴィクター・ハント博士ですが、私生活で暴走しちゃいます。
     業務連絡の案内嬢の声が気に入ったハント博士は猛烈にアタックを開始。
     後で写真を見て好みのタイプだと確認し、デートにこぎつけます。
     今の社会的状況から判断すると、パワハラ・セクハラに類する行為ではないでしょうか。
     しかし、学問で立身出世して社会的立場が上になるほど恋愛や結婚に有利になるというのもまた現実であり事実です。
     中学生や高校生が生意気に
    「何で勉強するんですか?何でいい大学に行く必要あるんですか?」
    と聞いてきたら、本シリーズを読ませればいいのです。(私も読んでおきたかった)
     
     さて、本作品の冒頭で提示された謎について。
     ハント博士の盟友・ダンチェッカー博士が現在では失われてしまった酵素について問題にします。
     この酵素の生成過程において、放射性同位元素が選択的に取り入れられているようなんだよ!
     な……、何だってぇ~~~~~!
     酵素生成の際にラジオアイソトープを選択的に取り入れることは可能なのか?
     答えは本書の最後に明らかにされます。
     なるほどそうきたか。
     しかしこれには専門知識が必要です。
     生物学に詳しい人や理系学部で実験している学生なら想像がつくかもしれません。
    (だから本シリーズを読むと学問の大切さを実感します)
      http://sanshirou.seesaa.net/article/471556328.html

  • 前作「星を継ぐもの」と同様、科学的議論が面白かった。特に人類の罪の起源を解き明かすところが。しかし、結局前作で残された謎ー5万年前に巨人コリエルがルナリアンと共に月にいたのはなぜかーが解明されていない。次作「巨人たちの星」で2500万年前にガニメアンがミネルヴァを去った経緯が語られるようなので、そこでコリエルの謎も解明されるのだろうか。次作はかなり分厚く、前作・今作に比べて評価もイマイチな気がするが、読むしかないか…。ちなみに、今作で出てくるガニメアンの超優秀コンピューター「ゾラック」は、これからのAIの進歩の目標になりそう。

  • いつか読もうと思っていた三部作の2作目。
    前作で明らかになった星の生き残りたちとハントとダンチェッカーら人間が出会い、新たな謎が解明されていく!
    いわゆるファースト・コンタクトもの。良質だなぁ。ガニメデの巨人たちの優しさが、ちゃんと進化論ぽくまとまってるのがいい!人類たちの起源の秘密も明らかになる。
    正直人類がなぜ発展したか、の秘密はよくわからなかった…いやなんとなくわかるのだけど、それぞれの要素がうまく繋がらないというか。頭の悪さ。なんか時系列をうまくとらえられなかったかなぁ。
    あと前回はハントの学際的活躍にキュンキュンしてたのだけど、今回は控えめ。そのかわりダンチェッカーが活躍!
    セカンド・コンタクトにも紙幅が割かれていて、丁寧なのだけど、ちょっと退屈だったかしら。いや、ガニメアンが最初に降り立つべき土地論争とかガニメアンと一般的地球人とのコンタクトとかそれっぽくて面白かったよ!ただ個人的にはもう少し起伏がほしかったかなぁ。

  • 最高級クラスのSFです。星を継ぐものの破壊力がすごくて、ずっと気になっていた次作。けれど、前作を超えれることなどないだろうと思って手を出さなかった。馬鹿でした。のめり込むほどおもしろかった。こんがらがった謎がきれいに解けていって、フィクションなのに自分たち人間のルーツを学んでいるようで、ほんとにホーガンさんには脱帽です。SFとか読んだことないし難しそうって思ってる方も、最初は我慢して読んでほしい!すぐ続きが気になってはまりこみますよ。

  • 木星の衛星ガニメデで、氷漬けの宇宙船が発見され、地球の動物、植物がその中に収められていることが明らかになった。その調査中に、2500万年前にイスカリス系から脱出してきたシャピアロン号が姿を現す…。

    ファーストコンタクト物ですね。ですが、よくある戦ったり、いずれかが異常に強く制圧されたりのないタイプで、「優しい」というタイトル通り、終始友好的に話が進む。

    最初の部分は正直意味不明であったが(後に理由が判明)、地球からの調査船の話からは非常に丁寧に背景まで描かれ、さらには物理学メインではなく、生物学メインという描き方をされているために、個人的にはわかりやすかった。

    たくさんのガニメデ人(ガニメアン)と地球人が出てくるものの、この作品の主となるのは、やはりコンピューターで通訳のゾラックであろう。非常に人間ぽく、「なぜそうするのか?」と聞き出してくれるため、ストーリーが展開していく。

    メインの生物学の話、進化の話、一部遺伝学の話は非常によく考察されており、二酸化炭素がダメなどおかしなところは有るものの、素人から生物学者まで楽しめるはずだ。光のほとんど届かない星には、黒い植物が生えるし、肉食の動物のいない世界では、防御機能が発達している。

    いやー、この歳になったし、ディックやホーガンの超有名所もそろそろ読破しておかないとな、と『星を継ぐもの』の前に、肩慣らしに読んでいたわけであるが、訳者あとがきに「『星を継ぐものの』続編である」と書かれており、腰がくだけた(裏表紙のあらすじや帯は読まない派)。初めの読みにくかった部分や、全く出てこない5万年前の月人(ルナリアン)は、すでに説明されとんかい。

    いろいろツッコミどころは有るものの、生命の起源を根本的に定義し直し、パラレルではないが、パラレルワールドを描くというアイデアは、一読する価値がある。

  • 傑作SF小説『星を継ぐもの』の続編。
     
    宇宙SFものが好きな人には
    文句なしにおすすめできる作品です。
     
     
    木星の衛星ガニメデで発見された
    2500万年前と推定される宇宙船。
     
    そして、人類はガニメアンと遭遇。
     
    やがて、ガニメアン、人類の
    壮絶な過去を知ることになる。
     
     
    前作『星を継ぐもの』と同様
    スペースミステリーとでもいうべき
    謎解きに重点が置かれた本作。
     
    読んでいて先を知りたいとワクワクしてくる
    作品です。

  • 壮大だった。
    ちょうど良いタイミングでガニメアンがやってくるのはすごい展開だし、ガニメアンも地球人と早く打ち解けすぎでしょ、とも思うが、最後に謎が解けていくのは圧巻で、ワクワクした。

    3巻では、『星を継ぐもの』の冒頭の謎が解明されるのでは、と思う(●^o^●)
    楽しみ!

  •  星を継ぐものの続編です。
     今度の謎も人類にまつわるもの。そしてガニメデの巨人達の歴史がついに明らかになります。
     論理が解きほぐされていくのが面白い作品でした。

  • 「星を継ぐもの」の続編。
    前作の謎が明かされ、さらには異星人とのコンタクトへ。
    純粋なSF要素は薄れるものの、著者の未来感がかいま見える一冊。

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