ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫) (創元推理文庫 663-2)
- 東京創元社 (1981年7月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488663025
感想・レビュー・書評
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シリーズ2作目。
進化をテーマに描かれているみたいで、人類の起源も驚きの視点で明かされている。
テーマが壮大過ぎて、ハラハラドキドキ感が少なくて中々のめり込む事ができませんでした。
しかし、最後でのダンチェッカーによる考察は流石! 素晴らしかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「星を継ぐもの」の続編。
前作のハントとダンチェッカーと言う2人の地球人学者の切れのある掛け合いに加えてガニメアン達と地球人との友好的な交流が面白い作品。
続編も気になる。 -
「星を継ぐもの」の続編。
人類の前に2500万年も前の異星人ガニメアンが現れる。この時点でもう面白い...。人工知能の助けを借りながら意思疎通をし、人類側の謎、ガニメアン側の謎と双方の謎解きが始まる。
ガニメアンの設定も、彼らが進化してきた惑星の歴史を説明しながら納得のいくようにできていたし、思いつきではない、かなり入念に練り込まれた設定なのに感激。よくこんな話を作れるわ...。
双方の謎を解き明かしていく過程、描写も興奮する。めちゃくちゃよかった。-
2021/02/12
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りまのさん
コメントありがとうございます。いえ、早いわけではなく過去に感想を書いておいたデータをごっそりブクログに移し替えたのですよ…笑りまのさん
コメントありがとうございます。いえ、早いわけではなく過去に感想を書いておいたデータをごっそりブクログに移し替えたのですよ…笑2021/02/13 -
2021/02/13
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「…(人類は)もう最悪の段階は通り越したんだ」
この物語が生み出されたのは、1978年だそうだ。
冷戦真っ只中。70年代初頭は、一瞬東西の緊張が緩和する方向へ動き出したかのように思われたが、後半は新たな火種が燻り始めた時でもあった。
冷戦と云っても、アメリカとソ連が直接交戦しなかっただけで、その代理戦争は世界中で起きたことは周知。
そう云う時代背景を踏まえると、この物語に込められたのは楽天的な人類賛歌ではなく、作者の祈りにも近いようなものだったのではないか。
先年、ホーガンは亡くなったが、未だ紛争の絶えない人類を、彼はどんな風に捉えていたのだろう。 -
シンプルで特にひねりのないタイトルなのに、これ以上ないくらい素晴らしいタイトルだと思う。前作『星を継ぐもの』の最後でダンチェッカーが熱弁をふるった地球人の起源についてが今作の主題。専門的な要素は多いけど、多少は親しみやすさを感じられる生物学がメインなので、難しい専門用語を分かったふりしながら読み進めた前作よりかは理解しやすい。
人工知能(と呼んでいいのかな?)ゾラックが登場し始めてからは、ますます面白くなっていく。
「ルナリアンは皆、脳障害を持っていたのですか?」「地球人は明らかに間違ったことを命令されれば迷わずそれに従うのに、当然のことであるばかりか儀礼にも適っていることを命令されると、それを無視するんですか?」
闘争の概念を持たず暴力から解放された種族ガニメアンによって作られたゾラックには、地球人の習性が理解できず、いちいち混乱する場面は皮肉が効いていて笑ってしまう。ガニメアンがなぜそんなに優しい種族に進化したのかも生物学的に説明してくれるため、前作同様に納得しながら楽しく読めた。ガニメアンは物語の最後の最後まで「優しい」巨人だった。
そして、ダンチェッカーとハントってやっぱりいいコンビだなぁ。二人以外の登場人物がほぼ記号なだけともいえるけど。
訳者あとがきで「破減指向の厭世観に傾きがちな現代の読者にとっては、ホーガンのやや古風な、しかし健康な楽天主義は愛すべき味わい」と書かれていたけど、本当にそう。この読後感は健康的といえる。三作目も読むぞ〜!
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「星を継ぐ者」の続編で三部作の第二編は、2500万年前に姿を消した人類に比べて巨人な異星人、ガニメアン達との遭遇の物語。基本、人類が存在してるのは奇跡で素晴らしい存在だから未来は明るい〜だから頑張ろうと言ってて、その点ちょっと鼻につくけど、ベースとなる科学知識の弄び方は現在でも存在感を放っている。
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一言、読んで良かった!
前作「星を継ぐもの」が私にとっては驚天動地、スケールが壮大で感動が大きかっただけに、続編でガッカリするのが怖く、避けてたんだけど。図書館で見つけてつい手にとった。
あとがきにもあるように、元々作者は三部作で想定してたようで私の杞憂だった、、
ということで、次も読む!
前作にも増してハントとダンチェッカー(←この人のキャラ、いいなー)の絶妙なコンビ感もいい!
ゾラックに比べたら地球の今のAIはただの優秀な計算機。自分ですべきことと、やらなくていいこと、指示外のことは自分の意志と矜持(といえるのかな?)で行動を判断。辛辣でユーモアもあり、人間臭い。私もゾラックが欲しいー。ハントの珍しい色恋の場面でも活躍してたな。
前作で経験済みなので、どうしても解読できないところはフィーリングで理解して流した(そうしないと私には読破できない)。でも論証の流れは読み飛ばさずに頑張った。見事。読者が付いて来られるよう、前作より親切に繰り返し丁寧に語ってくれてたように感じられる。
遅読の私は時間がかかりすぎて(2500万年の長旅だから仕方ない?)冒頭の場面の意味が思い出せないまま最後まで読んだ。もう一度ざっと読み返して良かった!
ガニメアンの知性や教養、平和を好む(というか暴力や対立を知らない)優しい性格、仲間の功罪を知り、人類を思い潔く地球を去る品格の高さ。素晴らしい。ただその特性さえ、人類含めDNAという生物的要因に左右されている、としているのも深い。
人類の欠点を認識しながら、それでも明るい未来を予感させる言葉をダンチェッカーに語らせてるところに、作者の希求が見える気もする。一見頭の固い融通の効かなさそうなこの科学者に、作者は一番重要なことを語らせるんだよなぁ。でも今の危うい時代でも作者は同じ作品が書けただろうか、、
この物語ではドラマティックな展開は起きない。起きてること自体は壮大だけど。
読者は淡々とノンフィクションのように成り行きを見つめ、論証されていく事実を受け止めていく。それなのにこんなにも私たちの想像力をかきたて、視野を広げてくれる。凄い作品だ。
地球での体験を心から楽しんでいるガニメアンの姿には気持ちが和む。地球(私にとってのこの世)の彩りを再発見させてくれた。
巨人の星からのメッセージ受信に心から乾杯。
こんな体験をさせてくれてありがとう!!!と言いたくなる一冊。願わくば、もう少し文字が大きいと最高!
追記:読み始め、最初にある登場人物の記載にガニメアンとありネタバレしたのには、見た私を後悔、笑。 -
SFでありながら人間讃歌なのが本当にすごい作り。
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「星を継ぐもの」シリーズ第2作、The Gentle Giants of Ganymede。
前作が、いわば考古学的な取り組みから地球や太陽系の来歴を解き明かす科学推理小説だったとすれば、この作品はSFの面目躍如といおうか、そのものズバリ異星人の登場から始まる。
かつて太陽系の5番目にあった惑星ミネルヴァで進化した人類・通称ガニメアンが、2500万年という時を隔てて21世紀の地球上に舞い降りる。今回、彼らとのやりとりを通じて明らかにされるのは、ほかならぬ地球人類の来歴である。
異星人とのファースト・コンタクトをともかくとすれば、科学的推理の課程と見事な結末は前作と同様、存分に堪能できる。
また物語の進行と合わせて作者が描きたかったのは、人類がかくも好戦的で、内輪で争ったり出し抜いたりし続けていることと(登場する「優しい」異星人たちは、そういう価値観を理解しない)、それは克服されなくてはいけない、という現代にも通じるテーマだろう。
そうしたユートピアチックな未来をオレは信じられないし、科学がこの先リニアに発展し続ける、あるいは地球上で人類が進化の最先端にある、という基本的立場(欧米的?)には現在から見ると違和感がなくもないが、総じて満足かつ爽快な読後感はさすがと言うしかない。 -
「星を継ぐもの」に大きな感動を覚え、続編の本作も手に取りました。
前作はミステリー要素が強かったが、本作は異星人との邂逅・交流を中心としたハートフル(?)な内容になっており、温かい気持ちで読むことができた。一方で、これまでの謎がしっかり解明されており、読み応えも充分あった。
オススメのSF小説は?と聞かれたら、星を継ぐものとセットで是非紹介したい、そんな素敵な作品でした。